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[経済・経営・商学部系統の総合的研究]学べることガイド

  • 【学部リサーチ 2019年版】経済・経営・商学部系統の総合的研究
  • [2019/11/8]

金融や商取引、企業経営などを学ぶことができ、“実学”の要素が強い経済・経営・商学部系統。
ビジネスの発展により新しい分野も広がっている。

経済学:国家から個人までの経済活動を考える

 「経済」という言葉はもともと中国古典にある「経世済民」を略したもので、本来は「世を治め民を救う」という政治全般を意味する語であったが、幕末から明治時代にかけて英語のeconomyの訳語として用いられるようになる。

 経済活動とは、人間が生きていくために欠くことのできないもの、あるいは人間の生活を豊かにするために必要なものを手に入れるために行うさまざまな営みのことを指す。たとえば個人が家族の食事を作るために商店で食材を買うこと、企業が商品製造に必要な資材を調達すること、あるいは国家がインフラの整備をしたり国防のために費用を使ったりすることなどをいい、経済活動を行う個人や企業、国家などは「経済主体」と呼ばれる。経済学は、こうした経済主体の経済活動によって引き起こされるさまざまな現象を研究する学問である。

 大学の経済学部では、理論、政策、歴史の3部門を中心に学ぶ。理論(経済理論)とは、アダム・スミスやリカード、ケインズといった大経済学者が著書などで展開した経済理論。政策(経済政策)とは、さまざまな国や政府でとられてきた、あるいはとられるであろう政策。歴史(経済史)とは、歴史的立場から経済現象の解明を行うもので、これらに統計学、応用経済学といった分野を加えて学んでいくのが一般的だ。

 これらのうち経済理論の研究は、経済学部や経済学科の中でもっとも重視されている分野で、マクロとミクロとからなる経済理論を理解することが経済学部生としての第一歩となる。


経済学科

 経済学分野では最も設置数の多い学科。経済学という学問はきわめて対象の幅が広く多岐にわたるため、学ぶ内容も専攻やコースなどの分野によって少しずつ異なるが、主に学ぶ科目としては経済原論、経済史、経済学史、経済学説史、経済思想史、経済政策論、国際経済学、財政学、金融論、農業経済論、工業政策論、労働経済論(社会政策論)、統計学、計量経済学、公共経済学などがある。


国際経済学科

 経済学分野の中でも、国際経済の全体的な理解を中心として、理論が比較的重視される学科。貿易論、国際金融論、海外市場論、国際経済関係論などについて学ぶことを通じて、日本の持つ役割や方向性などを考えさせる。国際経済政策・国際ビジネスの2つのコースをもつ青山学院大の国際経済学科(国際政治経済学部)のように、政治学と強く連携する分野も多い。


金融学科
金融経済学科 等

 金融とは資金の需要と供給を意味する言葉で、預貯金、融資などを行う銀行などが金融業とされるが、広義では、保険会社、生命保険会社、ノンバンクも含まれる。円や株式の値動きが日々刻々変化するのは、政治や経済、社会などのさまざまな要因が複雑に絡み合っているため。金融に携わる者には、これらの学問に対する高度な専門能力が必要とされている。

 金融学科は現在、東京大、中央大、武蔵大に設置されている。そのうち中央大では、証券制度を活用した資金運用技術や、国内外の金融制度、損害保険と生命保険のしくみに関する学習に重点を置いた科目群を設けている。


経済工学科

 情報技術の活用、工学的な手法の導入など計量的手法で現代経済を解明していくことを目的とした学科。この学科を唯一設置している九州大では、経済システム解析、政策分析、数理情報の3分野を設置。経済システム解析分野ではマクロ・ミクロの両レベルで、数理情報分野では統計的、数理的手法で現代の経済問題を分析している。


金融公共経済学科
応用経済学科 等

 自治体やNGOやNPOなどの公共経済部門の経済活動・政策に焦点を当てた学科。環境問題、インフラ整備、都市、医療などの問題を研究し、公共経済部門がどのような役割を果たしていくべきかを考察するのが目的。

 日本大の金融公共経済学科(経済学部)は、政府や地方自治体などの公共経済部門や金融に関わる専門人材の養成を目的に、公共経済と金融の2つのプログラムを設置している。


経済情報学科
経済情報システム学科 等

 経済学と情報科学の両方を学際的に学ぶことのできる学科で、AIやビッグデータなど情報技術の発展が経済にますます大きな影響を与える中、注目すべき学科と言えるだろう。

 中央大の経済情報システム学科(経済学部)では「企業経済」「経済情報」の2つのクラスター(科目群)を設置。さまざまな経済的研究と情報科学、実践的情報処理技術の学修を一体化し、グローバル化する企業や地域経済のリーダー育成を目指す。


≪経済・経営・商学部系統≫ Trend & Topic

キーワードは“経営”と“国際化”

 経済・経営・商系統の学部・学科は、非常に多くの大学に設置されている。国公立大では経済・経営・商学部といったオーソドックスな学部名が多いが、特に私立大では政治、情報、地域など他の学問分野と融合したものなど、非常に多岐にわたる学部・学科名が見られる。

 中でも、ここ2~3年で興味深い動きの一つが経営系統の学部・学科にまつわる新・増設や改組だ。2017年には関東学院大が経済学部経営学科を募集停止し代わって経営学部を新設するなど、従来経済学部などの下部に位置していた経営系学科を学部として独立させるような動きが目立つ。また、日本体育大が2018年にスポーツマネジメント学部を新設するなど、経営系統と異分野の融合にも注目したい。この例は、広い意味での経営(マネジメント)学が、今後の成長ビジネスとして期待されるスポーツと結びついて学問に発展したケースと言えるだろう。

 また、もう一つ見逃せないのはますます加速するグローバル化への対応だ。2019年には横浜市立大(国際総合科学部を国際教養・国際商・理の3学部へ)と兵庫県立大(経済・経営学部を国際商経に統合)の2つの公立大で大きな改組が行われた。

 経済・経営・商学部系統は元来、社会情勢の変化が研究テーマに影響しやすい分野。変化のスピードが激しい時代だからこそ、他分野も含めて幅広い視野をとり、自分に合った学部・学科を柔軟に検討できるようにしよう。



経営学:企業や組織の管理・運営を研究

 経営学は、企業が巨大化し、国際化するとともに、それを専門的にコントロールする人材が必要になってきたことから20世紀になって誕生した学問。その始まりは、米国の技術者フレデリック・ウィンズロー・テイラーが製造業における業務効率化のために研究・発案した「科学的管理法」であると言われている。

 経営学が米国で誕生し発展したのは、工業化が進展する中で、大規模化する生産システムを合理的に運営・管理できる人材の養成が必要となったためだ。そうした事情もあって管理論が経営学の中心分野として発展していき、その後、さまざまな学問の知見を取り入れて、組織構造論、組織シンボリズム論、組織認識論などが生まれていった。

 さらに、組織と市場との関係を研究する新しい分野として、企業の活動分野をどのような戦略を立ててどう拡大していくかなどの多角化戦略論や、個々の事業についてどのような競争方法をとるのかという競争戦略論などの戦略論が発展し、組織論とともに経営学の2大分野となっていった。

 現代の経営学にはこれらに加え、知識創造論、ビジネス・システム論、ビジネス・モデル論などの新しい分野が次々と誕生している。さらに、医療やスポーツ、観光など産業界の特定分野における経営管理を専門的に学ぶ学部・学科の設置も目立つ。また、経営学の主な研究対象である企業に加え、自治体やNPO、NGOなどの非営利企業も研究対象になっており、環境や持続可能性をキーワードとした研究も盛んになっている。


経営学科
産業経営学科 等

 企業の管理、運営についての理論と実際を学ぶ学科で、経営学、経営情報学、商学、会計学の全分野が含まれる。経営学の基礎を学ぶ経営学総論、各部門の理論や実際を学ぶ経営学各論、および会計学、簿記、原価計算などが代表的な科目である。

 私立大の場合は企業経営、国際経営、経営情報などとコース分けしていることが多い。企業の活動には法律知識が欠かせないことから、法律科目も開講する。


国際経営学科

 経営学における基礎・応用知識を身につけたうえで、世界の多様な社会や文化を理解するグローバルなビジネス人材を育成することを目的とした学科。通常の経営学科で学ぶのと同じ基礎・専門科目と並んで、英語をはじめとする語学力・コミュニケーション力の養成や海外研修に力を入れる大学が多い。

 たとえば立教大学の国際経営学科(経営学部)では「バイリンガル・ビジネスリーダー・プログラム(BBL)」という基幹科目で段階的に英語コミュニケーション能力を養うほか、2年次以降の専門科目はその約70%を英語で開講している。


公共経営学科
公共マネジメント学科 等

 NPOやボランティア組織、行政団体などの非営利団体の経営に焦点をあてた学科。

 明治大の公共経営学科(経営学部)では、行政組織に加え、医療、福祉、教育、まちづくり、環境保全、国際協力、公的施設、スポーツ組織など、大きく広がっている公共サービスの運営について学んでいる。


医療経営学科
医療経営管理学科 医療経営情報学科 等

 医療福祉分野に焦点を当てた、経営学分野における新しい流れの一つ。

 現在、多くの病院・福祉施設が経済的困難を抱えているが、それは経営の専門家ではない医師らがこれらの経営を行っていることも大きな原因とされている。

 広島国際大の医療経営学科(医療経営学部、2020年より健康科学部)では、経営学、経済学から法律、医学、医療までの多彩なカリキュラムで、保健・医療・福祉機関における経営管理の専門家を養成している。


観光経営学科
観光ビジネス学科 観光マネジメント学科 観光産業学科 等

 観光産業・ホスピタリティ産業の経営、市場開拓などへの人材輩出に焦点をしぼった学科。

 帝京大の観光経営学科(経済学部)では、観光地の計画と経営およびその枠組みとなる政策・法制をはじめ、国内外のホテルの歴史、経営の実態から、マーケティング戦略、環境対策、リスクマネジメントなど幅広く観光に関する知識を養う。


経営情報学科
経営情報科学科 等

 経営に役立つ情報の集め方、その処理方法、さらにこれを活用させるための理論を学ぶ学科。日本の大学では産業能率大学が1979年に経営情報学部を設置したのが始まりと言われる比較的新しい学問分野であるが、近年の急速なIT(情報通信技術)の進展に伴い、関連学部・学科が増えている。

 その専門科目は経営・行政・会計などの経営分野、応用数学・統計・社会モデル論などの数理分野、情報処理・情報ネットワークなどの情報分野の3分野で構成される。

 県立広島大の経営情報学科(経営情報学部)では、1年次で経営学、マーケティング、簿記、情報リテラシーなどの経営情報学基礎科目を、2・3年次ではオペレーションズリサーチ、経営システム計画論、プログラミング演習などの学科専門科目を、実験・実習を多用して学んでいる。


経営戦略学科

 経営戦略とは、企業などの組織が関わっている産業やその市場、ライバル企業などの状況を分析・検討し、組織が存続し発展していくための戦略を立て遂行すること、また、その後一定期間ごとに遂行状況を評価するまでの一連のプロセスのことを言う。経営戦略学科では、これらのプロセスすべてについて学ぶことができる。

 法政大の経営戦略学科(経営学部)では、国際経営、戦略的意思決定、経営分析などに関する専門科目を多数配置、グローバルな戦略策定と事業創造を担う人材育成を目指している。


スポーツ経営学科
スポーツビジネス学科 スポーツマネジメント学科 等

 グローバルな規模で発展を続けるスポーツビジネスをマネジメントできる人材の養成を行う学科。米国のバスケットボールリーグ(NBA)や大リーグ(MLB)などのプロスポーツでは、GMなど球団幹部はほぼ例外なく経営のプロ。日本でも、プロ野球の楽天やJリーグ球団などで、その仕組みを取り入れ成功した例が多く、それらを目指してこれらの学問をする流れができつつある。

 静岡産業大のスポーツ経営学科(経営学部)では、経営の基礎理論を学んだ上で、スポーツビジネスの経営、マーケティングなどを学ぶカリキュラムが組まれている。


ホスピタリティ経営学科
ホスピタリティ・マネジメント学科 等

 ホテルやレストラン、航空業界など、ホスピタリティ産業の専門人材を養成する学科。

 大阪学院大のホスピタリティ経営学科(経営学部)では、ホテルや外食、観光、航空といったホスピタリティ業界の経営者の育成を目的としている。



商学:流通とマーケティングが二大テーマ

 商学という学問は、「商取引の学問」として出発し、中世ヨーロッパで体系化された。そこでは、商取引、貿易、交通、金融・保険などの知識とその実践技術が教えられていた。

 現代では、商取引の主体は、個々の商人ではなく企業などの法人であるのが一般的なため、商学は企業の商業活動=取引を対象とする学問といえる。そして商学部は、企業の商取引、なかでも流通とマーケティングの研究を大きなテーマとする学部となっている。

 マーケティングは、一般にもよく話題になる言葉だが、わかりやすく言うと、顧客のニーズをくみ取って、他の企業より効率的に製品を作り販売するための企業活動全般を指す。商品・サービスの企画・開発、市場調査・分析、価格設定、広告・宣伝、販売促進から 集客、接客、顧客情報管理に至る非常に幅広い分野を対象とする学問だ。

 流通は、生産者などから消費者に製品を販売するための物や貨幣、情報などの流れのことで、かつては生産者→問屋(中卸)→小売店→消費者というオーソドックスな流通経路の研究が主だったが、現在では、途中の流通業者を省く「中抜き」や、生産者直売、ネット販売などと大きく変化した流通経路だけでなく、所有権・貨幣・情報などの流れ(商流)、製品の販売経路管理などへと研究の範囲が広がっている。

 商学部では、マーケティングと流通を両輪としたうえで、会計やファイナンス(財務)、ビジネス情報学などを学んでいくのがふつう。会計学科や会計学専攻では、公認会計士や税理士などの専門会計人養成のプログラムが組まれている。


会計学科
会計情報学科 会計・ファイナンス学科 等

 企業会計の基本を身につけるとともに、公認会計士、税理士などの会計専門家養成を視野においた学科。

 立教大の会計ファイナンス学科(経済学部)では、導入科目、基礎科目を経てアカウンティング、ファイナンス、マネジメントの科目を学び、企業や組織の「お金」の調達・活用・管理に関する知識を身につける。


流通マーケティング学科
流通科学科 流通情報学科 等

 生産者と消費者をつなぐ流通について学ぶ学科。流通と経営、流通とマーケティング、流通と情報など、さまざまな視点から研究が行われている。

 東京経済大の流通マーケティング学科(経営学部)は、生活者のニーズと新しい製品を結びつけて商品が売買される場=市場を創造する流通マーケティングに関し、「小売経営論」「消費者行動論」といった科目や企業実習などの実践教育を多用して知識とスキルを磨いている。


貿易学科
商業・貿易学科 等

 貿易の理論と実際について学ぶ学科。貿易の相手国の産業構造やマーケットなどについて学ぶことでグローバルな視点を築こうとしている。

 福岡大の貿易学科(商学部)では、1年次に貿易、経営、流通、金融、簿記の入門科目を「貿易基礎ゼミ」とともに学び、2・3年次では、国際貿易論、市場分析論、貿易政策、海上保険論などの専門科目を専門ゼミと合わせて学んでいる。


≪経済・経営・商学部系統≫ Trend & Topic

公認会計士試験、合格率11.1%

 経済・経営・商などビジネス系学部で取得できる国家資格で最難関とされるのが公認会計士資格。公認会計士は、会計学、財務会計、管理会計などの会計分野の専門知識と、監査論、企業法、租税法などの法律知識を身につけ、株式会社などの各種法人の会計監査、企業の経営相談・コンサルティングなどを行う会計の専門家。

 公認会計士試験は、企業等で働く公認会計士を増やそうという国の方針から、2006年以降、合格者数の拡大が行われ、合格者数はそれまでの1,200人程度から最大4,041人(2008年)まで増えた。

 しかし、合格者数の増に反して企業での採用は進まず、合格者が監査法人に殺到して就職難となったことなどで国の方針は変更。以後、合格者数は徐々に削減され、2013年には1,178人とほぼ元の水準に戻った。現在は、試験の合格者のほとんどがいわゆる「4大監査法人」を中心に就職するほか、IT企業をはじめとする企業の採用も徐々に増えている。

 2018年度の公認会計士試験は、受験者(願書提出者)数11,742人。最終合格者は1,305人(合格率11.1%)で、ほぼ前年並みの合格率となった。

 大学別の合格者数(学部卒:公認会計士稲門会調べ)では、慶應義塾大が144人でトップ。2位が早稲田大の115人。3位は中央大と明治大が同数でそれぞれ77人。5位以下は、東京大、京都大、立命館大、一橋大、関西学院大、立教大の順。


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