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学群長インタビュー「体育専門学群の魅力とは?」筑波大学 中川昭先生

  • 【学部リサーチ 2019年版】教育・教員養成・体育・健康科学部系統の総合的研究
  • [2019/10/7]

スポーツや健康、学校体育の分野を
けん引し社会のニーズに応える

《国立》筑波大学 体育専門学群 学群長
中川 昭(なかがわ あきら)先生

1955年大阪府生まれ。東京教育大学体育学部卒業後、1983年に筑波大学体育科学研究科を単位取得退学。大阪教育大学助教授、筑波大学体育科学系助教授などを経て現職。高校・大学とラグビーに打ち込み、筑波大学ラグビー部では監督や部長を務めた。日本コーチング学会会長、日本体育学会副会長などを歴任。

中川先生のご専門についてお聞かせください

 ラグビーコーチング学という学問です。具体的にはラグビーの試合中の状況判断や戦術などについて研究します。勝敗にどんな要因がどのように影響しているかといったゲームの法則性を明らかにしたり、選手のパフォーマンス評価の手助けとなる数量的なデータを出したりすることもやっています。高校時代から始めたラグビーをきっかけに、現在の専門に関心を持ちました。

 高校は大阪府立天王寺高校という学校です。今は弱くなりましたが、当時はラグビーの強豪校で、全国大会にも何度も出場しており優勝経験もあります。ただ都市部の学校だったせいか、生徒の体は小さかった。地方にある学校の体の大きい生徒たちに試合でどうやって勝つかというと、頭を使うようにと教えられました。ラグビーはフィジカルが非常に重要な競技ですが、頭を使う場面もたくさんあります。15人の選手がいかに効率よく機能的に動くかということになると、体だけの問題ではなくなります。知的な能力や戦術的な能力に長けた選手が何人かいないとチームは強くなりません。私自身はフィジカルや足の速さはそんなに優れていませんでしたが、戦術的な能力に強みがあるという自覚があったことから、ラグビーで頭のトレーニングはできるのかということに関心がありました。そこに理屈があれば、戦術面に長けた選手を育てられると考えたのです。当時は身体や体力に関する研究は盛んでしたが、頭脳面に関する研究はほとんどありませんでした。近年は頭脳面を鍛える研究も進んできていますが、まだまだ分からない部分も多く研究し甲斐のある分野です。


体育学ではどのようなことを学ぶのですか?

 「体育」という言葉から、学校の授業としての体育をイメージする人が多いかと思います。しかし私たちは体育という言葉をもっと広い意味でとらえています。体育学には大きく分けると、学校体育と競技スポーツ、生涯スポーツ、健康という4つの分野があります。

 競技スポーツは競技力をいかに高めるかということを研究します。生涯スポーツは、誰もが一生涯スポーツをやれるような環境をいかに作るかなどについて考えます。近年は社会的にもスポーツの価値が広く認められてきました。また、健康分野も最近注目されています。医学では「どうすれば病気にならないか」という側面から健康を考えるのだと思いますが、体育学では健康の維持や増進のために運動がどのように関わればよいのか考えます。健康の維持や増進に関する社会のニーズは年々高まってきていると感じています。

 学校体育は従来から大切な分野と認識されてきましたが、最近は部活動の体罰など学校の中で様々な問題が起きており、これからどのようにして学校体育を進めていくかということが研究課題として非常に重要になっています。筑波大学のルーツは教育者の養成機関である東京高等師範学校にあり、講道館柔道の創始者でもある嘉納治五郎先生が長らく校長をされていました。嘉納先生が校長の時に体育科が設置され、これが現在の体育専門学群につながっています。ですから学校体育をどうするかという課題は、ルーツから考えても筑波大学体育専門学群の重要な研究対象であることは間違いありません。


筑波大学体育専門学群の教育の特長を教えてください

 筑波大学体育専門学群は、体育学で扱う4つの分野がさらに39の専門領域に分かれています。39もの多くの領域にそれぞれ専門家が配置されているというのは世界的に見ても稀で、筑波大学が誇れる点だと思います。入学した学生は、1、2年時は基礎的なことを幅広く学び、3年生になる時点で専門を選びます。また本学の場合、学生にはさらに学びを深めてほしいとい うのが組織としての狙いですので、大学院での研究につながるような指導を行っています。体育学は近年、学問としての発展により様々なことが高度になっているので、学生にはできれば大学院の修士レベルの学力や専門性は身につけてもらいたい。そのうえで社会に出たりさらに進学したりしてほしいです。体育専門学群の学生は現在、1学年約240人のうち毎年50~60人が大学院に進学していますが、進学者をもっと増やしたいと願っています。


学生の教育方針や育てたい人材像をお聞かせください

 私たちは重要な教育のポリシーとして「自主自律」を掲げています。運動部の部活動でも練習はもちろんしっかりやりますが、生活面など練習以外の部分は自分で考えて自分でやるように指導しています。普段の学業でも教員があまり多くを手助けするわけではありません。そういう意味では、自分の頭で考えて自分で色々なことができるということが身についている学生は多いと思います。また、「文武合一」という精神も大切にしています。高校生までは勉強とクラブ活動の「文武両道」でよい。ただ体育を学ぶため大学に入ると、学んだことを実践する、そして実践したうえで不明なことをまた学ぶ・研究するというループが大切となります。闇雲にやるのではなく頭を使い、何事も理にかなったことができるようにと指導しています。例えば体育専門学群では栄養学も学びますが、学んだことを自分の食事で日々実践できなければ勉強した意味がありません。

 具体的な人材像としては、私たちが意識しているのは体育分野の将来のリーダーの養成です。学生たちには、体育をはじめ様々な分野でみんなを引っ張っていけるようなリーダーとして、社会で活躍してもらいたいですね。


受験生へのメッセージをお願いします

 学校体育、競技スポーツ、生涯スポーツ、健康という体育学の4つの分野で、将来その分野をけん引するリーダーとして活躍したいという希望を持っている人には、ぜひ受験してほしいと思います。また、筑波大学体育専門学群では多様な研究領域を扱っているので、まだ専門にしたいことは決まっていないが幅広く体育分野を学びたいという人にも適しています。

 将来、体育分野で国際的に活躍したい人も歓迎です。筑波大学には留学生も多く在籍していますし、大学院にはスポーツ国際開発学という新しい分野もあります。2020年に東京でオリンピックが開かれることもあり、競技スポーツにも注目が集まっています。筑波大学には世界レベルのアスリートを目指せる環境が整っているので、競技スポーツのプロの世界で活躍を目指す人にもぜひ入学してもらいたいです。


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