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学部長インタビュー「人間福祉学部の魅力とは?」関西学院大学 大和三重先生

  • 【学部リサーチ 2019年版】社会・社会福祉学部系統の総合的研究
  • [2019/9/4]

「3つのC」を体得、福祉の心で
社会に貢献する人材を育成

《私立》関西学院大学 人間福祉学部 学部長
大和 三重(おおわ みえ)先生

1979年、神戸女学院大学文学部卒業。商社勤務後、ノースカロライナ大学大学院に留学。東京都老人総合研究所、神戸女子大学講師、関西学院大学助教授を経て、2011年に人間福祉学部教授となり、現職に至る。博士(国際公共政策)。社会福祉士。専門は高齢者福祉、介護人材育成、福祉NPO。著書に『介護人材の定着促進に向けて』など。

先生が社会福祉の研究に進まれた理由は?

 私は、最初は児童福祉に関心がありました。当時は福祉に関する職種がまだ少なく、一旦は商社に就職したものの納得できず、恩師の故荒川義子先生に相談し、アメリカの大学院に進学しました。そこで先生から「これからは高齢者福祉の時代よ」と薦められたのがきっかけで、高齢者福祉を専門に研究するようになりました。

 現在の主な研究テーマは、介護人材の育成と継続性の向上です。老人ホームの介護職など、「3年で7割辞める」といわれる離職率の高さが常態化し、問題になっています。就業意欲を高め、なおかつ定着を図るためには、地位向上や待遇の改善が喫緊の課題です。

 また、出入国管理法の改正によって、外国人介護士の受け入れが可能になり、不足する介護の担い手として期待される一方、言語や文化の違いを超えた受け入れ態勢は、決して十分とは言えません。社会福祉は地域密着のローカルな存在から、「多文化共生」の視点が必要な「グローカル・ソーシャルワーク」への変貌が求められているのです。

 私のゼミでは、介護福祉の現場を知ってもらうため、3年次に学生が月1回、課外活動として大学付近の認知症の方々が暮らすグループホームに出向き、話し相手やゲームの相手になるなど交流を図る「あったカフェ」を行っています。「こんな一面があるんだ」といった思いがけない気づきもあり、認知症をもつ方々に対する認識が変わる、よい機会になっています。


「人間福祉学」とはどのような学問でしょうか?

 「人間福祉学」とは、やさしく言えば、人間の幸福を追求する学問です。

 本学部では教育理念として「3つのC」、Compassion(人への思いやり)、Comprehensiveness(幅広い視野)、Competence(高度な問題解決能力)を掲げ、それらを身につけた人材の育成を目標としています。そして、本学のスクールモットー「Mastery for Service(奉仕のための練達)」を最も体現する学部と自負しています。

 本学部は3学科で構成されています。社会福祉学科は1952年に設置された文学部社会事業学科以来、「関学の福祉」と呼ばれる伝統と実績を持ち、専門職はもとより、ソーシャルワークマインドをもって社会に貢献する人材を輩出してきました。社会起業学科は、社会問題を「起業」(社会的企業の創立)というビジネスの手法で解決することを目指します。人間科学科は「こころ」(スピリチュアリティ)と身体の両面から人間を理解し、QOL(Quality of Life)の向上を図る人材を育成します。


人間福祉学部の学びの特徴を教えてください

 関西学院大学は、2014年に国のスーパーグローバル大学事業(SGU)に選ばれ、「ハンズ・オン・ラーニング」、具体的には実習、インターンシップ、フィールドワークなど、キャンパス外での体験学習の充実を推進しています。もともと、本学部はそうした機会が多かったのですが、さらに国際交流や体験学習の機会が増えました。

 社会福祉学科は、国家資格(社会福祉士、精神保健福祉士)取得を目標とするため、必修科目と実習が多いカリキュラムです。3年次には「ソーシャルワーク演習」で準備した後、180時間の実習に参加します。さらに、精神保健福祉士を目指す人は、4年次も実習に参加します。この他、現場体験として「ソーシャルワーク・インターンシップ」も通年で実施しています。

 社会起業学科では、全員が国内でのフィールドワークを経験し、取り組むべき課題に対して理解を深めます。また、海外留学のチャンスが多いことも特徴で、中でもカナダのクイーンズ大学と提携し、2年次の春学期に実施する「社会起業英語中期留学」は、参加者に20万円の奨学金が支給され、現地でボランティアにも参加できる、充実のプログラムです。さらに、海外へのフィールドワークや、福祉機関、企業、NPO・NGOなどへのインターンシップを通じ、グローバルな視点や行動力を身につけていきます。

 人間科学科の特徴は、「デス・エデュケーション」「悲嘆学」など、スピリチュアルな痛みを理解し、死から生の大切さを学ぶ科目に表れています。一方、スポーツ科学など、身体の側面からQOL向上を目指すアプローチも行っています。そして、終末期患者へのターミナルケア、悲しむ遺族を支えるグリーフケア、リハビリ施設など、多様な現場でフィールドワークを行います。

 この他、3学科共通の専門科目として、「死生学」「人間多様性論」など、ぜひ学んでほしい科目群を用意しています。


現場を見据えた実践教育力を入れているのですね

 実習やインターンシップなどを支援するため、本学部では「実践教育支援室」を設け、10人のスタッフが、豊富な実習先を用意したり、学生の相談に乗ったり、模試や直前期の専門講座を行ったりするなど、実習体制や国家試験対策の充実を図っています。

 実習先の現場に出る準備として、対人コミュニケーションのスキルアップのために「コミュニケーション・ラボ」を設けています。学生3人1組で、例えばソーシャルワーカーと相談者、オブザーバーの役割を分担し、模擬相談のロールプレイをカメラ2台で撮影します。2分割されたモニター画面を見ながら、お互いの技能について指摘しあい、スキルを高めていきます。


福祉の分野を目指す人の適性とは何でしょうか?

 やはり、思いやりのある人が向いていると思います。他人の悩みや痛みを理解し、誰かのために役立つことを喜びとする人に入学してほしいですね。

 「聞き上手」であることも必要です。例えば、支援計画を立てる時は、相談者に寄り添い、本人の希望をうまく引き出すことが大切です。ただし、本当に必要な対策とずれている場合もあるので、さまざまな要因を想定しながら丁寧に聞き出し、最適な提案をするには熟練したスキルが求められます。

 AI(人工知能)の進化に伴い、将来的に現在ある職業の46%が失われるそうですが、福祉の専門職は、最も代替しにくい職種のひとつと言われています。本学部は「“AI時代”に負けない素養を身につける学部」なのです。


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