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学部長インタビュー「外国語学部の魅力とは?」獨協大学 江花 輝昭先生

  • 【学部リサーチ 2019年版】文・人文・外国語学部系統の総合的研究
  • [2019/5/7]

外国語は、自分の限界を超え、広い世界へ飛び立つためのツール

《私立》獨協大学 外国語学部 学部長
江花 輝昭(えばな てるあき)先生

1955年、福島県生まれ。東京大学文学部卒業、同大学院人文科学研究科博士課程修了。獨協大学に勤務、助教授、同教授を経て現職。専門は17世紀フランス文学・文化で、特にモリエールをはじめとした古典主義喜劇を研究対象とし、共著・翻訳多数。「日本笑い学会」の正規会員でもあり、落語をこよなく愛する。


フランスの喜劇を研究するようになったきっかけは?

 私の専門は、17世紀フランスの古典主義喜劇です。絶対王政の下、古代ギリシャ・ローマの影響を受け、悲劇と喜劇の峻別が始まった頃の作品群ですが、近年はあまり上演されません。

 現代でも、アメリカ映画がビジュアル的な魅力があるのに対し、フランス映画はあまり動きがなく、登場人物がひたすらしゃべるなど、とりつきにくい印象があります。そうした特徴は、17世紀の演劇から伝統的に受け継がれているのです。その面白さを理解するには、受け身では難しく、積極的に文化的背景を理解する努力が必要です。

 また、「笑い」はその社会の規範や常識からの“ずらし”によって生じるので、文化的背景の理解が不可欠です。いま、グローバル化の進展とともに世界的に頻発する異文化間の衝突を緩和するためには、「笑い」も含めて異文化への謙虚な態度が必要であり、その入り口となるのが「言語」なのです。

 私は「日本笑い学会」というユニークな学会にも属しています。いわゆる「無アクセント地域」の出身なので、上京後は標準語のアクセントがわからず、笑われまいと口が重くなってしまったことがありました。これではいけないと向かった先が「落語」でした。笑うことで気分的な落ち込みを解消するだけでなく、古典落語から正統江戸弁や東京語を、さらに人前での話し方や付き合い方を学びました。落語は「人生の師匠」でもあるのです。研究対象をフランス喜劇にしたのも「笑い」が縁でした。卒業論文を書くにあたり、フランス文学史上で最大の喜劇作家であるモリエールに行き着き、今に至るわけです。


外国語を学ぶ意義とは何でしょうか?

 大学で外国語を学びたい人には、その運用能力を高めて外国人と接する仕事に就きたいという動機があることは確かですが、もう一つ、「相対化」という大事な意義があるのです。

 外国語を学ぶとは、その文化を学ぶことでもあります。日常の言語だけでは身近な環境からの発想を抜け出せませんが、他の文化を学び、その視点から自分たちを客観視することで、独善に陥らず相対化できます。それも「三角測量」のように複数の文化間で比較すれば、正確に自分の立ち位置を測れます。そのため、全ての外国語学部の教育は、「複言語・複文化主義」といって、複数の言語をしっかり学び、世界の多様性を理解するようになっています。

 私のゼミでは「翻訳」をテーマにしていますが、ただ逐語的に訳すだけでは翻訳とはいえず、フランス語独特の発想に思い至らないと、とんでもない誤訳になるので、良い翻訳のためには異文化理解が必要不可欠です。

 例えば「今朝、私は紅茶を飲んだ」という文も、あまり紅茶を飲まないフランス人なら「この人はかなり変わっている」と読み取るでしょう。翻訳は、原文から離れず、しかも原文のニュアンスを汲み取り、日本語として洗練された文章にしなければならないのです。


外国語学部の各学科には、どんな特徴がありますか?

 4つの学科に共通するのは「語学学習好き」であること。外国語の基礎的な勉強は、必ずしも楽しくはありませんが、どの学科も外国語能力を向上させたい意欲が強く、地道な努力をいとわない学生がそろっています。

 1~2年次は、外国語の運用能力を高める授業が多く設定されています。例えば、英語・交流文化の2学科では、英語能力別にクラス編成され、1クラス20人程度の少人数教育で鍛えていきます。TOEIC800点以上の取得が、卒業までの目標です。それを支えるのが、専任・特任教員の約2 割、非常勤教員の約5割を占めるネイティブ教員で、きめ細かい指導を行っています。この段階で培われた語学力をツールとして、3~4年次には自分の関心ある地域の文化・歴史・社会などを研究します。

 外国語科目を中心に必修科目が多いのですが、英語学科では「国際ツーリズム論」「世界ブランド論」「ポップカルチャー論」「ディズニー論」といった授業が、特に女子に人気があります。

 交流文化学科は「英語とツーリズム」を二本柱としています。観光業界を志向する学生のニーズに応える形で、10年前に開設されましたが、実務家を専任教員とする一方、観光の負の側面も学ぶ授業を開講しているのが特徴です。また、「国際会議・イベント事業論」「国際NGO・ボランティア論」といった授業が人気で、ボランティアやNGOによって国際貢献したい、という学生の関心の高まりを感じます。

 ドイツ語学科とフランス語学科は、学生の気質が対照的で、前者はまとまりの良さ、後者は個性の強さが特徴といえます。いずれも、1~2年次は語学のクラスが基本となり、徹底的に鍛えられます。卒業までの目標として、それぞれドイツ語検定2級、フランス語検定2級の取得を目指します。

 また、フランス語にはTCFという、TOEICのような検定があり、フランス語学科では2年次の12月に全員が受験しますが、7~8千円の受験料がかかるところ、大学からの補助で無料受験できます。

 各学科とも3~4年次のゼミは必修ですが、同時に卒業論文作成のため、交流文化以外の3学科に、それぞれ3~4つ用意された「コース」を選択します(英語学科は2年次から、他は3年次から)。


外国語学部は、大学全体の外国語教育も担っているとか…

 本学には「全学共通カリキュラム(全カリ)」という、全学部の学生が自由に選択できる教養科目群を準備しています。中でも英語プログラムは、全学の英語以外を専門とする学部・学科で、統一された英語教育を展開していますが、本学部の教員も大きく寄与しています。また、他に14の言語を学べますが、ドイツ語とフランス語については、ドイツ語学科とフランス語学科の教員が全て担当し、使用教科書も進度も共通化するなど、全学的に統一された語学教育を提供しています。


どのような受験生に入学してほしいですか?

 初めて学ぶ外国語は、わからないことだらけですから、未知のものを恐れない好奇心とチャレンジ精神を持った学生に入学してほしいですね。

 一方、外国語学習を効率的に行うためには、実は母語である日本語の運用能力と、日本語によるきちんとした思考力が大事です。思考の質を高めるには、まずは読書が有効です。手始めに何か1冊、通しで読んでみてください。

 外国語は、自分の限界を超えて、新たに広い世界に飛び出すことを可能にするツールです。必ず、皆さんの人生に大きな益をもたらすことでしょう。


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