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学部長インタビュー「薬学部の魅力とは?」静岡県立大学 賀川 義之先生

  • 【学部リサーチ 2019年版】医学部・歯学部・薬学部の総合的研究
  • [2019/4/4]

病院や製薬企業との密接な連携で、意欲ある薬剤師と研究者を育てる

《公立》静岡県立大学 薬学部 学部長
賀川 義之(かがわ よしゆき)先生

1983年に静岡薬科大学薬学部製薬学科を卒業、同大学院薬学研究科修士課程を経て、85年から三重大学医学部附属病院に勤務、96年に副薬剤部長。医学博士。2000年~01年、米ミシシッピ大学へ留学。05年から静岡県立大学薬学部教授、13年から現職(19年3月で任期満了)。専門は臨床薬剤学で、薬の副作用を研究する。


先生はどのような研究をされていますか?

 もともと、将来性のある分野といわれた「分子生物学」を学ぶために薬学部を選んだのですが、入学後に薬の効き方や作用を研究する「薬理学」に興味を持ったのがきっかけで、医療現場で臨床研究をしたいと考えるようになりました。修士課程修了後、三重大学病院に就職し、薬物血中濃度と有害な事象である副作用との関係を研究したことが、現在につながっています。

 当時、薬の有効性ほどには、副作用は関心が持たれていませんでした。しかし、薬と患者さんの相性や、他の薬との飲み合わせ次第で、死に至る危険や、死なないまでも日常生活に支障をきたすなど、注目すべき問題です。

 副作用の原因は、薬の成分の血中濃度がどう変化したかで裏付けることができるのです。現在は、てんかんの治療に使う抗てんかん薬を2種類以上同時服用した場合、副作用が起きた時に、相互作用の中でなぜ血中濃度が変化したか、メカニズムを研究しています。また、抗がん剤を投与した時の白血球の減少と血中濃度の関連を調べ、薬物の代謝を司るタンパク質の遺伝子を観察しながら、どんな人が副作用を起こしやすいかも研究しています。


6年制学科と4年制学科の違いについて教えてください

 薬学という学問は、新しい薬を創り出したり、既存の薬から新たな効能を見つけ出したりする「創薬」から、実際に医療現場で薬を調剤し、適切に使用して治療に役立てる「臨床」まで、全てのプロセスを網羅しています。

 薬学部には6年制学科と4年制学科がありますが、簡単に言えば、薬を創り出す研究者になりたい人は4年制学科を、薬剤師の資格を取得し、薬を使って患者さんを治したい人は6年制学科を選ぶことになります。どちらにするか迷っている人は、オープンキャンパスに来て、実際に教員や学生と話をしてから、自分の進路を決め、学科を選択すればいいと思いますよ。

 本学部では、4年制学科である薬科学科でも、ほぼ全員が修士課程に進学しますので、いずれにせよ6年間学ぶことが前提です。修士課程修了後は研究職として、業界を代表するような製薬企業に多く就職します。それら企業には卒業生も多く、本学部の教員との共同研究も盛んなので、創立100年を超す歴史の恩恵といえるでしょう。

 一方、6年制の薬学科では、病院の実務にも生かせるほど実践性の高い卒業研究を行っているので、即戦力として病院の薬剤師となる卒業生が多数います。ただし、製薬企業の研究・開発職になる学生も2~3割ほどいます。

 両学科とも、3年次後期に全員が研究室に所属し、教員の指導の下、最新の研究機器を駆使した研究に取り組み、卒業論文をまとめ、成果を発表します。


静岡県立大学薬学部の学びの特長は?

 薬科学科では、研究能力の向上を重視し、早いうちから研究のおもしろさに触れることができるよう、1年次に製薬企業への見学を行っています。さらに、従来は3年次後期から研究室に所属していましたが、2019(以下、19)年から、一定期間ながら2年次から研究室に所属できるようにしました。

 薬学科では、4年次の共用試験を経て、5年次に半年間、病院・薬局における実務実習を経験します。主な実習先である静岡県立総合病院内の薬学教育・研究センターには、実務経験が豊富で研究実績もある6人もの専任教員が常駐し、現場の薬剤師と共同して指導を行う、全国的にも珍しいアメリカ型の薬剤師教育を行っています。他にも浜松医科大学病院など県内の大規模病院・薬局と提携し、充実した実習環境を整えています。基本的に学生の希望に沿って実習先を選べるため好評です。

 実習後には、全員が口頭とポスターで成果を発表します。「医療現場で具体的にどのように関わったか、医師や薬剤師にどのような提案をしたか、その根拠は」といった発表を行うことで、より深い臨床知識に基づいた、医療チームの一員として必須のコミュニケーション能力を身につけます。実際に、実習中に学生の改善提案が採用されることもあるのです。

 薬学科は、薬剤師国家試験の合格率が、新卒者で17・18年とも95%を超える高い水準を保っています。本学部では、国家試験を控えた6年次の12月上旬に卒業研究の発表・提出を行い、1月上旬に「総合薬学演習試験」という卒業試験も行うことを考えると、学生のがんばりを誇りに思います。とはいえ、6年次の早い時期から準備がスタートし、土・日曜日を使った対策学習や補講など充実した対策を行っています。


最近、最も大きく変わったことは何でしょうか

 18年入学者から、4年制学科では薬剤師国家試験の受験資格を取得できなくなりました。そのため、本学部では入試を、学部一括募集で3年次に進路を決定する形態から、18年に学科別募集に変更し、入学段階から明確にコース分けをしました。それにあわせて薬科学科のカリキュラムを、モデルコアカリキュラムに配慮しつつ、臨床系科目を選択とし、有機化学など創薬系科目の必修化を強めるなど、より基礎研究重視の方向に変更しました。


薬学を学び、研究するのに必要なものとは?

 薬学の現象の多くは、物理の法則に支配されています。また、実験や測定は高度に機械化されていますが、なぜその測定ができるかメカニズムを理解していないと、誤った結果が出ても気づけません。このため、物理学の知識が必要であり、本学部では個別試験で物理と化学を必須としています。

 将来的に伸びるためには、国語・英語の能力も重要です。国語は論文を書く力につながります。論文を書くことで、自分の研究の問題点や、研究対象とすべきことが浮かび上がってきますから。また、研究では海外文献を読むことも多く、近年は外部資金を導入し、学生の海外研修や、国際的な学会での発表を積極的に支援しているので、英語力の重要性も増しています。

 薬は人を助けることもあれば、逆に殺めることもあります。そのため、医療人としての強い倫理観が必要であり、薬について突き詰め、患者を治す“覚悟”をもって入学してください。


この記事で取り上げた大学

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