page_top

学部長インタビュー「医学部の魅力とは?」秋田大学 尾野恭一先生

  • 【学部リサーチ 2019年版】医学部・歯学部・薬学部の総合的研究
  • [2019/4/3]

卒後を見据えた教育を早期から実践。人対人の関係を重視し臨床能力を磨く

《国立》秋田大学 医学部 学部長
尾野 恭一(おの きょういち)先生

九州大学医学部医学科卒業。同大医学部助手、講師を務めた後、1996年秋田大学医学部助教授、2007年同大医学部教授。2017年4月同大医学部長、大学院医学系研究科長に就任。専門は生理学(電気生理学、心臓循環生理学、筋生理学)。主な研究分野は、心臓血管系の電気生理学、不整脈に関する基礎的研究。


最近の医学教育の動向について教えてください

 卒前・卒後のシームレスな医師養成を行うため、卒前に学生の臨床技能を審査する流れが全国的に進んでいます。臨床で求められる技能を、卒業前の段階で身に付けて、学生がスムーズに臨床研修に入れるようにするためです。これを受けて2020年から全国の医学部で、Post-CC OSCE(臨床実習後の客観的臨床能力試験)が導入されます。これまでの4年次での臨床実習前の共用試験CBT・OSCEに加えて、臨床実習後にその総括としてPost-CC OSCEが実施されます。これにより学生は、より意欲的に臨床実習に取り組むことになり、卒前に教授陣から技能を見極められて臨床研修に臨むことができるようになります。

 秋田大学では、このPost-CC OSCEと同様の取り組みをAdvanced OSCEとして20年前から行ってきました。しかも、その試験項目はPost-CC OSCEよりも多岐に渡ります。厳しく臨床技能を審査した上で、学生を臨床に送り出したいという当時の先生方の想いで実現され、今に至ります。それゆえ、本学の医学生の臨床能力は非常に高いものと自負しています。


どのような学び方が医学部では求められますか

 医学で学ぶ情報量は膨大です。さらに医学は年々進歩し、医療技術は早いスピードで更新され、ますます高度化しています。1年とかからず、学ぶ情報量は2倍になると言ってよいでしょう。暗記では到底、間に合いません。

 大事なのは、自分で調べられることです。これからの時代、「知っていること」はそれほど重要ではないかもしれません。知らないことに対して、どう調べて情報を集めるか。そして、理解をしてから、その問題にどうアプローチするか。そうした問題の発見から、解決に至る考え方や行動が特に大事です。言い換えれば、問題解決能力。

 臨床医になれば、毎日、多くの、異なる症状の患者さんを診ます。知らない症状を持った方も訪れます。その時、どう最適な治療を考え、実現するかに医師の実力が表れます。知識量だけでは対応できません。知らないことに対して、どう調べて、解決に導くか。それは、臨床の場ではもちろん、学生が医学を学ぶ上で欠かせない姿勢です。

 もうひとつ大事なのは、コミュニケーション能力。実際は、これが一番難しい。医学がどんなに進歩しても、基本は人対人の関係。いかに患者さんと信頼関係を築き、会話から多くの情報を引き出せるか。それができて最適な治療を施すことができます。これは、他の医療職たちとの関係においても同様です。医療は1人ではできません。チームで治療にあたる今の医療現場では、他の医療職とのコミュニケーションをとおして、よりよい医療を実践することになります。

 本学では、コミュニケーション能力を早くから磨けるように、1年次にもOSCEを導入しています。挨拶の仕方や話の仕方など、患者さんとの接し方の基本を指導して、チェックしています。最近は、外国人の患者さんを診る機会も増えていますから、これを日本語と英語の両方で行っています。これも、全国的にまだ例の少ない取り組みです。多職種連携教育のほうも当然、力を入れて行っています。


先生が従事される研究医について教えてください

 臨床医は、目の前で苦しまれている患者さんを助けるために全力を尽くします。一方、研究医は、自分の研究の成果によって、何万人もの患者さんを助けることを目指します。

 ひと昔前は治らなかった病気も、今では治るものが多くあります。がんも、だんだん治る病気になってきました。その背景には研究医の絶え間ない努力の成果があるのです。医療現場で、がんの患者さんを救う臨床医の仕事も大変重要ですが、そこで使用される治療法は、基礎医学の研究成果が土台となって実現されたものです。

 研究は、誰もが成果を出せるものではない、大変厳しい世界。しかし、そこに従事する研究医がいるからこそ、医学は飛躍的な進歩を遂げています。治療や検査、手術の技術、さらに医療機器の開発にまで、研究成果が応用され、救えなかった命が救えるようになりました。そうした進歩を支えているのが研究医なのです。


医学を志す受験生にメッセージをお願いします

 皆さんに、考えていただきたい課題があります。それは少子高齢化です。

 これは、どの診療科においても切実な問題です。特に高齢の患者さんには、全人的医療が求められます。身体や精神などの一側面からだけでなく、性格や社会的立場、家庭、生活スタイルなど、総合的にとらえて医療にあたります。より高度なコミュニケーション能力も必要になるでしょう。高齢者医療には、医学だけ学んでいても適切な治療につながらない難しさがあります。

 そして少子化の問題。日本の人口は減少していきます。秋田県の人口は、平成元年には約124万人。25年後になると60万人を切ると言われています。一方で、医学部は全国的に見て入学定員を増やしている方向です。25年後、人口が今の2/3になり、一方で医師が多くなった時代に、医師となった皆さんは必要とされるでしょうか。

 医療現場も劇的に変化しています。AIによる診断、ロボットを使った医療の導入など、医学の進歩は加速していきます。皆さんは、そういう時代に向かって医学を学ぶことになります。

 そのような未来で、医師として活躍し続けるには、どうすればよいか。それは、AIやロボットにはできない技術を身に付け、磨き続けていくこと。とは言っても、どんなに進歩しても、原点に戻れば、医療は1対1の人間関係で行われるもの。しっかりコミュニケーション能力も磨いて、人に頼られる医師になることを目指してください。

 本学医学部の教職員は、学生が医師として一生活躍できるように、一丸となって教育に取り組んでいます。先述の臨床実習後OSCEの早期導入がひとつの例ですが、そのほか授業や設備においても、充実した最先端の教育環境を用意して、学部総出で教育にあたっています。それができるのは、やはり学生への愛があるからこそ、です。

 医療者は、一生勉強です。次々と課題が立ちはだかり、治療法は日進月歩で進化します。それに付いていくには絶えず勉強して、新しい知識を習得して、技術を学び変えていかないといけません。ただし、医学は本だけを読んで勉強するものではなく、人対人の中で磨かれていくもの。そういう世界に魅力を感じて、楽しめて、自分を磨いていける人にぜひ医学部を目指していただきたいと思います。

この記事で取り上げた大学

螢雪時代 【定期購読】のご案内

国公立大&難関私立大合格!のために読む雑誌

★月刊誌「螢雪時代」は毎号それぞれをご購入いただけますが、年間を通じてご希望の場合は『定期購読』をお勧めいたします。
年間・10か月以上(2020年3月号までの範囲で継続)の購読をお申し込みいただくと、 素敵なプレゼントも進呈!

月刊誌「螢雪時代」は大学選びのための大学情報・入試情報と、合格するための学習方法を毎号満載し、志望校合格をめざす受験生を強力にサポートします。
6月7日までの予定で、ステキなプレゼント付きの『定期購読キャンペーン』を実施中です!

学部・学科内容ガイド 記事一覧

学部・学科内容ガイド 記事一覧に戻る

“秋田大学”の関連記事一覧

今月の入試対策

supported by螢雪時代

大学を比べる・決める

My クリップリスト

0大学 0学部 クリップ中