page_top

学部長インタビュー「国際人間科学部の魅力とは?」神戸大学 岡田章宏先生

  • 【学部リサーチ 2018年版】法・政治・国際関係学部系統の総合的研究
  • [2018/12/3]

多様なコミュニケーションの力で国際社会を“共につくる”リーダーへ

《国立》神戸大学 国際人間科学部 学部長
岡田 章宏(おかだ あきひろ)先生

1955年愛知県生まれ。1986年名古屋大学大学院法学研究科博士課程修了。その後神戸大学教育学部講師、同大発達科学部助教授、人間発達環境学研究科教授等を経て2017年に新設された同大国際人間科学部の学部長に就任。基礎法学を専門とし、著書に『近代イギリス地方自治制度の形成』(桜井書店)などがある。


「国際+教育」という組み合わせは珍しいですね

 はい。他の大学では、国際系の学部の多くは法学や経済・経営学など社会科学系の学問が軸になっていますが、2017年に国際文化学部と発達科学部が再編統合して誕生した本学部は、そうした流れとは少し異なります。

 国際文化学部と発達科学部が設置された1992年は、日本が「バブル経済」崩壊を迎えると同時にグローバル化の波が押し寄せ始めた時代であり、「異文化理解」というキータームに沿って設置されたのが国際文化学部です。一方、子どもの成長を“下から支える”という戦後教育制度の考え方を拡張し「人がそれぞれ持っている能力を“開花(=発達)”させる」という考え方に基づいて設置されたのが、教育学部から発展した発達科学部でした。以後、両学部は四半世紀にわたり研究を続けてきましたが、グローバル化は2000年代に入って本格的な広がりを見せ始めます。日本を訪れる外国人の数も、日本から海外へ出ていく日本人や企業の数も、それ以前の10年とは比べものにならない規模となりました。もはや止めようもないこのグローバル化のもと、海外とのつながりの中で新しく生まれる問題(グローバルイシュー)をどう認識し、解決していくかを考える力が、これからを生きる人材にとって必要な素養だと考えますし、この国際人間科学部をつくったコンセプトもまさにそこにあります。

 例えば、近年では日本を訪れる外国人の数が毎年のように最高記録を更新しています。日本自体は人口が減少する一方、海外からやってきた人々が新しいコミュニティをつくっています。新しい社会がもたらす課題に対し、私たちはまだ解決のノウハウを持っていません。これから新しい社会をつくるにあたって、これまで国際文化学部で培ってきた異文化に対する認識やコミュニケーションの方法論とツール、そして発達科学部が取り組んできた、人間の本来の力を開花させる手法を合わせることにより、他者と協働しながら国際社会をつくるリーダーを育成したいと考えています。


国際人間科学部ではどんなことが学べますか?

 まず、本学部の4つの学科をご紹介します。グローバル文化学科は英語をはじめとする多様な言語のほか、文化人類学や社会学、政治学からITまで、さまざまな角度からコミュニケーション能力を身につけることが柱となっています。

 発達コミュニティ学科は、さまざまな実践活動を通して人間の発達を支えるコミュニティ形成を実現することを目指し、社会教育学や心理学のほかに、スポーツ科学、音楽、美術、ダンスなど他には見られない実技系のプログラムが配置されています。

 環境共生学科は文理融合が特徴です。環境の問題もまたグローバルな課題。先端的な科学を用いながらもいかにして社会とつながっていくかが大きなテーマです。「サイエンス・カフェ」など、市民と連携する取り組みも行っています。

 最後に子ども教育学科です。本学部の中では異色に見えますが、私は大きな柱の一つだと考えています。というのも、教育という分野は学校での外国人児童の急増など、いま急速にグローバル化が進んでいるからです。この学科は大学の教員養成系学科として、まさに“グローバルイシュー”を解決する次世代を育てていく場として位置づけています。

 国際人間科学部になぜここまで多様な学問分野があるのかと疑問に思われる人もいるかもしれませんが、この学部に置かれた学問はどれも今日の社会に拡がる具体的な問題とつながり、解決法の発見を目指しています。そして、学部としては、それらが有機的に結び付くことで、人々が相互に違いを認めつつ協力して人間らしく生きられる社会を構築したいと考えています。


国際人間科学部の教育の特長を教えてください

 国際人間科学部としての学びを支える大きな特徴が、学部生370名全員に必修としているグローバル・スタディーズ・プログラム(GSP)です。

 端的に言うと「海外へ行く」ことを中心にしたプログラムですが、海外へ行けばいいということではなく、そこでさまざまな“実体験”をすることが大きな目的です。GSPは「事前学修」「GSコース」「事後学修」の3つのステージで構成されています。事前学修は座学形式で、自分が属する学科や専門性の中にどんなグローバルイシューがあるのかを見つけ、そこでやりたいことを考えるステージです。実体験に入るステージ「GSコース」には、実践型・研修型・留学型の3種類を設定しています。実践型は海外スタディツアーやインターンシップに参加し、グローバルイシューと直接向き合う内容です。研修型はどちらかというと、やりたいことがまだ絞りきれない学生に向いていて、まずは海外へ語学研修に行ってもらいます。これもただ海外へ行くだけではなく、帰国後に国内でのフィールド学修を行う形となります。ある学生はイランで語学とともに古典音楽の研修を受け、帰国後、淡路の人形浄瑠璃のサポートをしました。留学型は文字通り、世界各国にある本学の協定校との交換留学や中期留学を行い、現地で自らのフィールドを見つけて学ぶというものです。


育てたい人材像についてお聞かせください

 まず、専門性を持った人材ということですね。国際人間科学部のような学際系学部は専門性がないとよく言われますが、決してそんなことはありません。専門性をもった学問が多数あるのが学際系なのです。ここで学んだ学生は自らの専門性を活かして国際社会の人々と協働し、新たな課題・問題の解決に取り組むアグレッシブな人間になってほしいと考えています。


受験生へのメッセージをお願いします

 社会の中で自分が学びたいことを真剣に考えていける人、したいことに対して積極的な姿勢の人にぜひ来ていただければと思います。受験生のときにはつい闇雲に勉強しがちですが、そこで「何のために勉強するか」というイメージを持てる人は強いと思います。

 本学部は先ほどお話ししたように、多様な学問分野を設けた学部です。しかし、それは「何でもあり」とは違います。「多様性」とは自分の内面が多様になることではなく、逆にしっかり軸を持った人が多数いることなのです。その軸を持つためにも、積極的に周囲を見渡し、大いに悩める人。そんな人と、ともに学ぶことができればと願っています。


この記事で取り上げた大学

蛍雪時代

螢雪時代・7月号

国公立大&難関私立大合格!のために読む雑誌

先輩合格者の「合格体験記」、ベテラン予備校講師の「科目別アドバイス」をはじめ、センター試験関連情報 や大学入試の分析&予想など、お役立ち情報満載の月刊誌。志望校・合格へあなたをサポートします。

「螢雪時代」のご案内は、こちら

学部・学科内容ガイド 記事一覧

学部・学科内容ガイド 記事一覧に戻る

“神戸大学”の関連記事一覧

今月の入試対策

supported by螢雪時代

大学を比べる・決める

My クリップリスト

0大学 0学部 クリップ中