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学部長インタビュー「経済学部の魅力とは?」埼玉大学 柳澤哲哉先生

  • 【学部リサーチ 2018年版】経済・経営・商学部系統の総合的研究
  • [2018/11/2]

人間社会のあらゆる局面に関わる経済学は、間口が広く「つぶしがきく」

《国立》埼玉大学 経済学部 学部長
柳澤 哲哉(やなぎさわ てつや)先生

1962年生まれ。1986年、東北大学文学部哲学科卒業。同大学院経済学研究科、香川大学を経て、2002年より埼玉大学経済学部助教授、2006年より教授、2016年より現職。専門は経済学史で、特にマルサスの研究で知られる。著書に『経済学史への招待』(社会評論社)、共著『経済倫理のフロンティア』(ナカニシヤ出版)など。

哲学の道から転じて、経済学を志したきっかけは?

 大学では最初、文学部に入学し、哲学を学びました。人間の信じる“真理”が、社会状況や環境の変化により、いかに変容していったかに興味があったのですが、そこから経済思想の変化に関心が移り、大学院では「経済学史」を専攻することになったのです。

 私が主に研究対象としたマルサスは、18世紀末から19世紀前半のイギリスで、産業革命に伴う人口急増と深刻な食糧難に対し、産児制限による貧困層の救済を説いた著作「人口論」で知られる経済学者です。古代から現代に至るまで、時代ごとに直面した課題を、人間がどう認識し、いかに解決しようと考え、どこに限界があったかを知ることが、経済学史を研究する意義といえます。

 そして、経済学史を学ぶことは、経済学全般を俯瞰するのに役立つとともに、他者を理解することの難しさを知り、なおかつ自分の立場を相対化して物事を見る訓練の役割を果たすことができると考えています。


埼玉大学経済学部ではどのように学ぶのでしょうか?

 本学部は経済学をはじめ、経営、法律、国際経済と、幅広く社会科学を学べる学部であり、同時に少人数のゼミナール(以下、ゼミ)教育を重視しています。

 1年次には、「入門科目」で専門分野に通じる経済学・経営学・法律学の基礎を、「ツール科目」で統計や情報処理、アカデミック・スキルズ(大学で学ぶための方法や知識)を学び、さらに「プレゼミ」で文献の読み方、レポートの書き方、プレゼンテーションや議論の方法を身につけるとともに、批判的かつ相対化して物事を見る力を養います。

 こうして社会科学を研究する基礎を学んだ上で、1年次後半に「経済分析」「国際ビジネスと社会発展」「経営イノベーション」「法と公共政策」という、4つの「メジャー」(主専攻に当たる)から1つを選択し、2年次から所属します。この「メジャー」は、2015年に3つの学科を1つに統合し、新たに導入した制度です。

 各メジャーでは、必修科目・選択必修科目とともに、2年次からゼミに所属し、2・3年生が切磋琢磨しつつ、さらに深く学ぶ分野・系統を選んでいきます。そして、自ら問題を発見し、解決していく学びの集大成として、4年次に卒業論文をまとめ上げていきます。私のゼミであれば、学生と相談してテーマとする経済学者・学説を絞りこんだ後、著作や文献とじっくり向き合い、格闘する日々を送ることになります。

 一方で、他のメジャーの科目も選択できます。その際、1つのメジャーから10科目以上履修した場合、そのメジャーを「マイナー」(副専攻に当たる)として認定します。雑多な科目をばらばらに学ぶのでなく、体系的に学ぶことで、専門性をもう一つ、確実に身につけることができます。そのため、本学部では「マイナー」のスタイルで学ぶことを強く奨めています。

 ちなみに経済分析メジャーの場合、公務員志望の学生は「法と公共政策」、企業への就職を考える学生は「経営イノベーション」の各メジャーの科目も選択するケースが多くみられます。


グローバル教育に力を入れているそうですが…

 近年、本学部が最も力を入れているのが、グローバル教育の充実です。

 例えば、経済分析メジャーなら“Introduction to Economics”といったように、各メジャーで英語による必修の入門科目を開講しています。

 また、全メジャーの共通選択科目として「日本研究」という、日本の経済、経営から文化に至るまで、英語で幅広く学ぶ科目群を用意しています。留学生はもとより、海外留学を考えている学生はぜひ選択してほしい科目です。

 そして、4つのメジャーの学びに加え、「グローバル・タレント・プログラム(GTP)」という、英語教育を重視し、国際的に活躍できるグローバル人材の育成を目指す教育プログラムを、2014 年から実施しています。

 1年次は、通常のカリキュラムに加え、英語ゼミなど、英語による専門科目を3~4科目、他の学生より多めに学びます。夏休み中には海外の大学で、3週間の実践的な英語研修を体験します。

 2年次から各メジャーに所属しつつ、2年次後半から3年次前半にかけて、1年間の交換留学へ行きます。そして、4年次には卒業プロジェクトとして、英語で卒業論文をまとめます。

 GTPは決して楽なプログラムではありません。参加していない他の学生と比べ、授業も課題も多く、レベル的にもチャレンジを要求されます。しかし、1年間留学すると、普通なら卒業に5年程度かかるところ、交換留学のため休学扱いにならず、4年間で卒業できるカリキュラムになっており、しかも留学先の学費が免除されるところが、このプログラムの大きなメリットといえるでしょう。また、途中で挫折したとしても、所属メジャーのカリキュラムを履修しているので、通常コースの学生として卒業することが可能です。

 本学の学生は、ともすれば「おとなしく真面目」と評されますが、GTPでは積極的かつ行動的な、良い意味で「とがった」学生が目立つのが特長です。

 GTPは、基本的に前期日程の「国際プログラム枠」という、英語重視の3教科型入試で募集します。学部内の教育プログラムを、最初から一般入試の別枠で募集するケースは、全国的にも珍しいのではないでしょうか。

 本学部にはGTP以外にも、フランスのパリ第7大学と提携し、2年間の交換留学をすることで、最低4年間で両大学の学士号を取得できる「ダブルディグリー・プログラム」がありますが、これにもGTPの学生が、積極的にチャレンジしています。

 GTPの学生に刺激を受け、それ以外の学生にも、留学を身近に考える雰囲気が醸し出されつつあります。実際、海外への長期留学生の数は、本学が国立大学の中で2 番目に多いのです。


どのような人が経済学に向いていますか?

 経済学の間口は、受験生の皆さんが考えているより広いものです。人間社会のあらゆる局面が対象となるので、興味のあることを積極的に探し出そうとする人なら、必ず学びの対象が見つかります。さらに、理論的に物事を見ることができる人なら、経済学を学ぶ適性は十分にあります。

 経済学部は、必ずしもプラスの表現ではないのですが、よく「つぶしがきく」学部といわれます。しかし、社会のあり方を幅広く学べることは、実社会に出て強みになります。就職面でも、本学部は企業側から「きちんと学生を育てている」と評されています。

 多様な改革で充実した学びの場を準備した「つぶしがきく」本学部に、ぜひチャレンジしてください。


この記事で取り上げた大学

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