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学部長インタビュー「社会学部の魅力とは?」立教大学 松本康先生

  • 【学部リサーチ 2018年版】社会・社会福祉学部系統の総合的研究
  • [2018/9/5]

「ほんのちょっとの勇気」を出して、
調査することから社会学は始まる

《私立》立教大学 社会学部 学部長
松本 康(まつもと やすし)先生

1979 年、東京大学文学部卒業。同大学院社会学研究科、シカゴ大学客員研究員、名古屋大学助教授、首都大学東京教授、立教大学教授などを経て現職。同社会情報教育研究センター長も兼務。専門社会調査士。専門は都市社会学・社会変動論で、社会調査に基づく先端的な都市政策に関する研究が中心。都市社会学に関する著書・訳書多数。

先生が社会学を研究する道に進まれた理由は?

 もともと、大学入学時は日本史を専攻するつもりでした。しかし、時代別に細かく縦割りされ、古文書解読や史料批判が中心の大学の歴史学に、自分のやりたいこととのズレを感じました。社会の変化に関心があったため、「実は自分がやりたいのは社会学ではないか」と思い当たり、3年進級時に所属学部・学科を選ぶとき、社会学の道を選んだのです。

 私の専門は「都市社会学」です。1970年代の社会学は「社会システム理論」が主流でしたが、抽象的すぎて、現実と乖離(かいり)した説明になる難点がありました。大学院で、社会調査のデータによって個人と社会との関わりを研究するうち、「あなたがやっているのは都市社会学だね」と指摘されたのがきっかけでした。

 名古屋大学の在職当時、従来のアーバニズム理論(都市では個人がバラバラに孤立化する)に対し、「新たにネットワークを形成するのでは?」という理論が登場しました。検証のため、名古屋市内の住民の人間関係を調査すると、転入してきた新住民が、10年ほどで地元民と同程度に緊密な人間関係を構築していることがわかったのです。

 立教大学では、先端的な都市政策に関するインタビュー調査に軸足を移しました。2006年当時、三鷹市が高齢化・空洞化対策として、SOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)という、主にITの個人事業者たちにオフィスを提供して支援する市民協働型の政策を推進していました。調査の結果、ある程度SOHOが集積し、市内の活性化に寄与したことがわかりました。

 次に対象とした横浜市では、都心臨海部の再開発について、文化芸術分野を中心としたソフトな都市再生政策を展開していました。こうした先端的な都市政策の実態を、フィールドワークで検証するのが、現在の私の研究です。最近は新たな研究対象として、新幹線開通に伴う観光客急増で変貌を遂げる金沢市の都市政策に注目しています。


先生のゼミの活動はどのように行っていますか

 本学部では、3年次からゼミ(専門演習2)に所属します。私のゼミでは、3年次前半に都市社会学の基礎を押さえ、次に調査対象である横浜市と金沢市の都市政策について、関係者の著作を読み込んだり、現役職員から実際に話を聞いたりなどして、理解を深めます。

 6月末には、フィールドワークに慣れるため、全員参加で横浜の街歩きを行います。調査対象へのアポイントの取り方の指導など、丁寧に準備したうえで、夏休み中に調査研究を行います。

 そして、秋学期に調査結果を報告書にまとめます。教員が推敲し、インタビュー先に内容確認をした後、完成時には冊子に印刷して、インタビュー先に献本します。こうして社会調査の基本を身に付け、4年次の卒業論文執筆に活かしていきます。

 私のゼミの原則に「ほんのちょっとの勇気を!」というのがあります。見知らぬ調査協力者への「ほんのちょっとの勇気」が、ささやかでも貴重な成功体験に結びつき、最終的に卒業論文をまとめ上げる力になっていくのです。


立教大学社会学部の学びの特徴は?

 本学部は、社会・現代文化・メディア社会の3学科と「国際社会コース」で構成されています。

 それぞれ、教育・研究の特徴はありますが、共通して目標とするのは「いかに社会の変化を理解し、関わり方を学ぶ能力を身につけるか」であり、身につけるのは「発見力・分析力・提言力」です。社会問題を敏感に見出し(=発見)、社会調査でデータを収集、的確に分析し(=分析)、それを基に実践的な解決法を導き出し、発信する(=提言)、という3 つの力です。

 1年次は、まず社会学の全体像や幅の広さを理解してもらうため、「社会学原論」「社会調査法」「基礎演習」といった必修科目で、基礎をしっかり学びます。一方、3学科相互の科目選択はかなり自由で、学部共通科目群をおき、学科ごとの特色ある科目群とあわせ、ほどよいバランスでカリキュラムが構成されています。

 本学部は、ゼミへの参加率が学内で最も高いのが特徴です。1年次の秋学期から「基礎演習」を開講し、2年次前半に「専門演習1」、2年次後半には各ゼミで説明会を行い、3年次から大方の学生が「専門演習2」に所属します。

 4年次は、卒業論文を書き上げて卒業する学生が約9割にのぼります。自分で研究テーマを絞り込み、3年次のゼミ研究から2年一貫の指導体制のもと、論文を作成します。残り1割、例えば公務員試験対策やスポーツ活動にウェートを置く学生は、「卒業研究」(春・秋の2回、与えられたテーマから選択し、レポートを提出)を選択します。

 いずれにせよ、きちんとした社会調査ができる人材として、社会に役立ってほしいというのが、われわれ教員の願いです。本学部では、学内の社会情報教育研究センターと連携し、「社会調査士」の資格取得を推奨しています。社会調査について、調査方法や分析手法が妥当か判断し、問題点を指摘できる能力を身につけているかを証明する資格で、学部が設定する所定の科目(社会調査士科目)の単位を取れば取得できます。なお、さらに1ランク上の「専門社会調査士」は、大学院生以上が対象で、論文の提出が必要です。


近年、最も重視している取り組みは何でしょうか?

 立教大学は「スーパーグローバル大学」に選ばれていますが、本学部でも積極的にグローバル化を進めており、開設3年目の「国際社会コース」はその象徴です。将来的な学部全体のグローバル化を想定したひな型といえる同コースは、英語によって社会学を理解することを目的にした学部英語科目を軸に、各学科の専門科目を横断的に履修できる、3学科横断型のプログラムです。「国際コース選抜入試」(英語外部検定を出願資格に利用)により1年次に15人、2年次に既存の3学科から30人を募集します。学部の雰囲気を“内向き”から“外向き”に転換し、海外留学や国際交流に積極的な学生を増やしていく牽引役が、同コースの位置づけです。

社会学に必要な適性とは何でしょうか?

 社会学は、世の中のあらゆる事象が研究対象になるといっても過言ではありません。そのため、高校で学んだことが、文理を問わず全て活かせる学問分野でもあります。

 広く社会へ関心を持ち「ふしぎだな」と思える心、そして「ほんのちょっとの勇気」があれば、社会学を学ぶ適性は十分あります。そんな皆さんのチャレンジを待っています。

この記事で取り上げた大学

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