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学部長インタビュー「情報工学部の魅力とは?」九州工業大学 梶原誠司先生

  • 【学部リサーチ 2018年版】理学部・工学部系統の総合的研究
  • [2018/8/1]

“情報”についての技術と知見を他分野と連携し社会に貢献

《国立》九州工業大学 情報工学部 学部長
梶原 誠司(かじはら せいじ)先生

1965年生まれ。広島大学総合科学部総合科学科卒業後、同大大学院工学研究科博士課程修了。続いて大阪大学大学院工学研究科博士課程修了。同大工学部助手、九州工業大学助教授、教授を経て2016年より現職。共著に『ディペンダブルシステム』(共立出版)がある。

梶原先生のご専門について教えてください

 LSI(Large Scale Integration: 大規模集積回路)という言葉は聞いたことのある方も多いと思います。マイクロコンピュータのCPU(中央演算装置)はもちろん、おもちゃから自動車まで、今やさまざまな機械に欠かせない部品です。このLSIよりもさらに大規模なものをVLSI(Very LargeScale Integration)といい、飛行機や鉄道、医療機器などに利用されています。その用途から、機械が要求するサービスを安定・継続して実行できるかという点で非常に高い動作の信頼性が求められます。VLSIを使用する人の安心・安全を保つための技術をつくることが、私の主な研究テーマです。


情報工学とはどんな学問ですか

 情報工学という学問がカバーする範囲は広く、たとえば「情報」そのものを扱うことから、情報を処理するためのしくみ、情報処理のための基盤技術や道具、メディアをつくることまでも含まれます。そうした研究の成果を工学のその他さまざまな分野と連携し、社会に貢献することがこの学問分野の目的とも言えます。先ほどお話しした私の専門分野について言うと、これは情報を処理するための基盤技術、つまり情報を処理する“道具”をつくるための研究ということになります。情報技術に関しては、最近ではAI(人工知能)やビッグデータ、あるいはIoT(Internet of Things: さまざまな機器や道具をインターネットに接続し操作したり制御したりするしくみ)などが特に注目されていますね。ビッグデータの例を挙げると、何かと情報そのものの処理技術が注目されがちですが、一方でビッグデータを処理するための基盤システムを設計する技術もまた重要です。それらが両立して発達した情報技術が、今度はたとえば材料工学といった別の工学分野と融合して、新たな産業に結びついていくのです。


九州工業大情報工学部の教育の特長を教えてください

 本学情報工学部は2018年に改組しましたが、そのねらいについていくつかお話ししたいと思います。一つは入試を変えていこうということ。以前は学科別に入試を行っていたものを「類別」の入試に改め、情工1類は数学、3類は理科、2類はその両方と、受験生の能力や興味・関心に応じた入試制度となりました。工学系統の学部・学科は多岐にわたるため、受験生が本来学びたかったことと実際に選んだ学部・学科の間に“ミスマッチ”が起きやすくなりますが、類別入試による“大括り”の選抜と、入学後1年間の学びの中で進みたい学科を決めていくというしくみを取り入れたことでミスマッチを防ぎ、安心して受験してもらえればと考えています。

 もう一つは、1年次~2年次の前半にかけて行う「共通教育」の改革です。以前、基礎教育の内容は学科ごとに分かれていましたが、改組後は情報工学部の学生として最低限学んでおいてほしいことを学部共通の内容としてまとめ、学科の壁を超えて情報工学部の全教員がこれを担当します。

 また、学科と専攻の再編にも大きなねらいがあります。新しい学科は、ネットワーク・通信、集積回路、ロボティックスなど本学が従来から得意とする分野に加え、セキュリティ、データ科学など今後の産業ニーズが期待される分野をともに強化した編成です。さらに、各学科内には2~3つのコースを設けていますが、これらもまた産業界からのニーズ、言い換えれば学生の就職先を強く意識した構成であり、企業からも、学生が「何を学んできたか」が見えやすい内容でもあります。


どんな人材の育成を目標とされていますか

 本学情報工学部の各学科の紹介と併せてお話ししたいと思います。

 まず知能情報工学科ですが、これはまさにAIやビッグデータ、あるいは音声や動画といったメディア分野に取り組む人材を養成します。学科名としては知的システム工学科と似ているのですが、この2つは人間の身体でいうと“首から上”と“首から下”の違いに例えることができると思います。知能情報工学科は首から上、つまり人間の頭脳にあたる領域の研究をします。知的システム工学科は首から下、つまり頭脳によって制御され動作する胴体や手足の領域と言っていいでしょう。ロボティクスやシステム制御など、情報技術と機械技術を統合・包括できる技術者を育成します。

 情報・通信工学科はおもにコンピュータと情報通信に関わる分野で、ハードウェアあるいはソフトウェアの設計・開発、ネットワークの設計・開発・運用なども含む、総合的な情報システム技術者を養成します。

 物理情報工学科と生命化学情報工学科はそれぞれ、情報工学と自然科学の融合からなる学科で、前者は物性・材料、後者はバイオテクノロジーや医療の世界で新たな産業分野を構築することが期待されます。


受験生へのメッセージをお願いします

 情報工学の世界は進歩が速いですから、まず好奇心旺盛な人に来てもらいたいですね。

 また、情報工学部でこんなことがやりたい! とはっきり決まっている人もいいのですが、まだよくわからないけれど世の中の新しいものに関わっていきたいというくらいの人も歓迎します。本学では先ほどもご説明した、最初の1年間の共通教育の中で各学科の内容を紹介するような授業も行っていますから、それを通じてやりたいことも見つけられるのではないでしょうか。私自身も広島大総合科学部の出身で、最初から情報工学を志していたわけではなく、当時の指導教官の研究がきっかけになって現在の学問分野に進みました。

 先ほど、情報の世界は進歩が速いと言いましたが、それこそ4 年も経てば、学問の内容がすっかり変わってしまっていることだってありえます。そういう意味では、学びたいことにあまりこだわりすぎるよりは、ある程度の柔軟性を持っていたほうがいいのかもしれませんね。


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