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学部長インタビュー「栄養科学部の魅力とは?」中村学園大学 三成由美先生

  • 【学部リサーチ 2018年版】家政・生活科学・栄養学部系統の総合的研究
  • [2018/6/27]

人々の健康への願いを“食”を通じて叶える仕事

《私立》中村学園大学 栄養科学部 学部長
三成 由美(みなり よしみ)先生

福岡県生まれ。中村学園大学家政学部卒業後、中国上海中医薬大学薬膳研究所研究生などを経て、2010年に中村学園大学教授。2018年より現職。専門は調理学で、「21世紀のアジアの食文化の形成への新たな挑戦」をテーマに、中医学の基本理論に基づく「日本型薬膳」の推進に取り組む。共著に『薬膳と中医学』(建帛社)などがある。

三成先生のご専門について教えてください

 私は中村学園の学園祖(創始者)である中村ハル先生にふれた最後の学生にあたります。女性教育者の先駆者として、料理研究と学校教育に情熱を注いでおられたハル先生の唱える「人間教育」、そして「食を通して社会貢献する」という考えに傾倒し、栄養学の道を歩いてきました。もともと料理は得意ではありませんでしたが、ハル先生や昭和29年の開学以来教員を勤められた楠喜久枝先生から指導していただき調理を科学することを学びました。

 管理栄養士の役割は従来、病気になった人を治療するための栄養管理という発想が中心でしたが、今では「予防栄養学」(病気にならないための栄養管理を考える学問)が主流となっています。この考え方に基づき、栄養疫学を基盤として人間の各ライフステージに対応した、健康に寄与する調理の科学を取り入れた研究を進めています。

 また、子どもたちの健康を守る食と調理を指導する栄養教諭のための教育にも取り組んでいます。かつて栄養教育は、子どもたちへの「集団給食指導」など、集団に対して一律に行われるのがふつうでした。しかし近年では、個々人に対応した栄養の指導である「テーラーメイド栄養学」と呼ばれる方法が求められるようになってきています。

 公衆栄養学を専門とする医師である共同研究者が中医学を取り入れた研究をしており、中医学に基づく「薬膳」こそまさにテーラーメイド栄養学であるということに気づかされました。これがきっかけで中国に1年間留学し薬膳を学びましたが、きちんと食事をしてきちんと排泄をすることが健康の最大の源である、と書かれた古い文献に出会いました。そこから、「何を食べたか」よりも「どんな便が出たか」で足りない要素を判断し指導できるしくみの構築を目指し、20年以上にわたって研究を続けています。最近、メディアなどで「腸内環境」の話題が大きく取り上げられていますが、先人の知恵を科学することの大切さを思い返しています。


栄養学とは、どんな学問でしょうか

 栄養学とは、食物が人間の口に入り、消化・吸収され代謝が行われて排泄に至るまでの流れを追い研究する学問ですが、それだけではありません。管理栄養士として身につけるべき栄養学は、いわゆるQOL(Quality of Life: 生活の質)やアメニティ(快適さ)と表現されるもの―人の五感や喜び、想いを満足させるものでなければ、人間のための栄養学とは言えません。理系に分類される学問ではありますが、単なる科学ではなく、ホスピタリティ精神や創造力、感性を備えた人に学んでほしいと考えています。

 近年、日本の医療費は40兆円を超え、生活習慣に起因する疾患が日本人の死因の上位を占めるようになっています。その中で、われわれ管理栄養士の使命として、肥満の予防、実行可能な減塩、野菜不足による低カリウム・低食物繊維対策のための栄養指導の取り組みが必要です。特に食物繊維は、先ほどもお話しした薬膳の考え方のひとつである「腸内環境の改善」につながる重要なテーマでもあります。


中村学園大栄養科学部の教育の特長について教えてください

 本学栄養科学部栄養科学科では、管理栄養士国家試験において毎年全国トップクラスの合格者数を出すことができています。ただ、私は大学というところは、管理栄養士養成のための“予備校”になってしまってはいけないと考えています。入学した学生には全員、国家試験を受験させるようにしています。つまり、合格“率”にこだわるのではなく、学生全員にきちんと管理栄養士としての学びを完結してほしいということです。そして、総合的な栄養管理能力を兼ね備え、広い視野と人間性豊かな実践力ある管理栄養士を養成するためにも、拙速な養成はせず、1年次では基礎科目、2年次で応用、3年次では臨床…と、系統立ったシークエンス(配列)を考慮したカリキュラムを構成しているのが大きな特長です。また、大学付属の医療施設である「栄養クリニック」を活用した臨床栄養学の実践的実習に加え、模擬患者実習や客観的臨床能力試験(OSCE)の段階的実施を通じて、管理栄養士としての実践力と就業力をサポートしています。

 栄養科学分野では、健康増進という観点から「人」と食を総合的にマネジメントする時代に入っており、その見方は世界レベルでの食料生産環境や食料供給バランス、流通ツールなどをマネジメントする領域にまで広がっています。それが、フード・マネジメント学科を昨年(2017年)新設した目的です。あくまで「人の健康を増進する」という栄養科学部の目的を基盤にして、食のマネジメントを研究するというスタンスです。


育てたい人材像について 教えてください

 栄養科学科、フード・マネジメント学科とも、詳細は本学のディプロマ・ポリシーに記載した内容をご覧いただきたいと思います。共通する力として育てたい人材像は、自分の目標を“企画書”として描くことができ、その目標達成に向けた熱意、そして瞬発力と持久力を兼ね備えた学生です。現状に対して常に疑問を持ち続けられる人でもありますね。また、食を通じて人々の生命を預かる職業人としての倫理観と誠実さ、またコミュニケーション能力にたけた人でもあってほしいと思います。

 古代中国の周王朝には、食事を通して皇帝の健康を管理する「食医」という官職があり、宮廷の医療職の中でも最も高い位を得ていました。管理栄養士もそれと同様、健康でありたいという国民すべての願いを叶え、自分の努力で社会を変えることができるすばらしい職業です。ぜひ挑戦してください。


この記事で取り上げた大学

蛍雪時代

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