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学部長インタビュー「生活環境学部の魅力とは?」奈良女子大学 黒子弘道先生

  • 【学部リサーチ 2018年版】家政・生活科学・栄養学部系統の総合的研究
  • [2018/6/27]

生活者の視点を正しく“科学の言葉”で語れる女性リーダーの育成を目指す

《国立》奈良女子大学 生活環境学部 学部長
黒子 弘道(くろす ひろみち)先生

東京都出身。1985年、東京工業大学工学部高分子工学科卒業。同理工学研究科、同工学部助手を経て、1997年から奈良女子大学生活環境学部の助教授に就任。同准教授、教授を経て現職。工学博士。専門は、NMR(核磁気共鳴装置)等による高分子繊維材料の研究・解析、新素材の開発。2010年、繊維学会賞を受賞。

先生はどのような研究をされていますか?

 私は本学部の情報衣環境学科に所属し、高分子繊維材料の研究を専門にしています。具体的には、固体高分解能核磁気共鳴装置(NMR。病院のMRIと原理は同じものです)を用いた非破壊検査や、量子計算などによって、繊維素材の高次構造解析を行い、情報化社会の衣類に適した新素材の研究に取り組んでいます。

 本学に着任したのも、NMRを購入した本学部で、使用に熟練した研究者を求めていたのが縁でした。男子学生が大多数を占める東京工業大学から移った当初は、女子学生ばかりの教室で教えることにとまどったものですが…。

 現在は、ウェアラブルコンピュータ(身につけられる端末)に適した繊維の研究開発を、東京工業大学と共同で行っています。繊維そのものにセンサ機能やプロセッサ機能などを組み込んだ「インテリジェント繊維」です。これを衣類に用いることで、全身のビッグデータの収集・解析が可能になり、体調不良などがいち早く察知できるようになります。また、妊婦さんの腹帯に使用すれば、病院が24時間チェックでき、異常があればすぐ検知できるなど、医療の高度情報化に役立てることが期待されます。


「生活環境学」とはどのような学問ですか?

 本学部は1993年に、前身の家政学部を改組して誕生した、国立大学で唯一の「生活環境学部」です。「生活環境学」とは、私たちの生活とそれを取り巻く環境について研究し、豊かな生活と幸せな社会の創造を目指す学問です。

 本学部は食物栄養・心身健康・情報衣環境・住環境・生活文化の5学科で構成されます。それぞれ、教育・研究の対象は異なりますが、共通する目標は「生活者の視点を正しく“科学の言葉”で語れる女性リーダーの育成」です。

 女子大は、男子学生に頼らず「自分がリーダーシップをとらなければ」という積極性や責任感が自ずと芽生えるので、女性リーダーの育成に適していると思います。ただ、本学の学生はまじめでよく勉強しますが、より高みを目指す意識がもっと強ければ…と感じることもあり、そこが課題ですね。


5つの学科それぞれの、学びや研究の特徴は?

 食物栄養学科は、食物と人間との関係を、生命科学をベースにして解き明かすため、食物の栄養・機能・安全・嗜好などについて実践的な研究を行います。卒業生は管理栄養士・栄養教諭・家庭科教員になるほか、食品関連企業などで活躍しています。

 心身健康学科は「こころとからだ」の健康について総合的に学びます。1・2年次で健康に関する幅広い知識を身につけた後、3年次から生活健康学・スポーツ健康科学・臨床心理学の3コースに分かれます。臨床心理学コースでは、2018年度入学者から公認心理師の受験資格対応もしています。

 情報衣環境学科は、衣環境学・生活情報通信科学の2コース構成です。衣環境学コースでは、安全で快適な衣環境と、モバイル装置としての次世代衣類を目指し、素材・デザイン・感性・管理の面から生活者の視点で探究します。生活情報通信科学コースは、情報通信技術(ICT)を、人間の社会生活を支援するツールとして探究します。

 住環境学科は、快適で安全、かつ自然環境と共生できる住環境を目指し、インテリア・近隣環境・地域コミュニティなどをどのように設計・整備、管理すればいいか探ります。卒業生は、インテリアプランナー、1級・2級建築士などの受験資格を得られます。

 生活文化学科は、衣食住に関する文化や歴史、人間の心理や人間関係、地域の経済・文化・法律・福祉など、生活そのものを知的に幅広く探究します。

 各学科の学生定員は1学年あたり30~40人であるのに対し、教員は10~19人の構成で、質の高い少人数教育を実現しています。

 また、心身健康学科臨床心理学コースを除く各学科・コースにおいて学修内容に対応する教員免許(家庭・栄養・保健体育・情報)を取得できます。


最近の注目すべき取り組みは何でしょうか?

 本学部では、卒業生の2割以上が大学院へ進学します。一方、大手企業の研究職の採用は修士以上を条件とするところが多く、学部卒では厳しいというのが現状です。本学大学院出身の修士であれば、ぜひ採用したいという企業も多く、大学院進学率のさらなる向上が課題となっています。

 そのため、2017年から学部と修士課程の6年一貫教育プログラムを導入しました。現在の2年生から適用し、3年次の後期に、同プログラムへ進むかどうかを選択できます。このプログラムでは、通常の4年間のカリキュラムでは長期の海外留学をすると留年を余儀なくされるところ、6年間の中で収められるよう工夫されています。

 また、お茶の水女子大学と共同し、2016年に大学院「生活工学共同専攻」を開設しました。この専攻では、新しい学位である「生活工学の修士・博士」、女子大学初の「工学の修士・博士」の学位を取得することができ、本学部のみならず、理系女子学生全体の大学院進学の動機付けになればと期待しています。

 学生が主体となった活動も盛んで、中でも「奈良の食プロジェクト」が注目されます。食物栄養学科の学生が中心になり、地元の伝統食「奈良漬」を用いたスイーツをプロデュースするなど、ユニークな活動を展開しています。


どのような受験生に入学してほしいですか?

 5学科に共通することですが、生活に関わる事柄に対して好奇心が旺盛で、主体的に物事を考えられる人に入学してほしいですね。入学後に数学や理科の知識が必要となる学科・コースが多いですが、文系の受験生であっても、本学部に合格できる学力があれば、教員や大学院生のフォローが充実しているので、安心して受験してください。


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