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学科長インタビュー「保健学科の魅力とは?」大阪大学 大野ゆう子先生

  • 【学部リサーチ 2018年版】看護・医療・保健学部系統の総合的研究
  • [2018/6/6]

人の各時期の特性、社会環境を基に健やかな生き方の実現を支援する

《国立》大阪大学 医学部保健学科 学科長
大野 ゆう子(おおの ゆうこ)先生

東京大学大学院医学系研究科 保健学専攻修士課程修了。同第一基礎医学専攻博士課程修了。専門は、数理保健学、患者行動計測と分析、看工融合研究の推進等。日本学術振興会特別研究員(東京大学、文部省統計数理研究所)等を歴任後、1995年4月~大阪大学教授。2018年4月大阪大学医学部保健学科長に就任。

保健学とはどのような学問でしょうか

 保健学とは、「健やかさを保つ」ための学問です。では、「健やかさ」とは何でしょうか。WHOは、健康の定義を「病気でない、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態」としています。保健学は、この定義が示すように、単に病気の予防だけではなく、精神面、社会的な面からもその支援について考えます。

 また、健やかさに対する考え方、取り組み方は、人が生まれて、成長して、歳を重ねていく、それぞれの時期に合わせて考えないといけません。そのため保健学では、各時期の特性を理解し、各時期に最適な支援を考察することになります。さらに、健やかさは、身体、心、精神といった個人の側面だけでなく、家族、社会生活、社会システム、自然環境、職場環境なども影響します。そうした視点も合わせて、多様な観点から健やかさについて考えるのが保健学です。


保健学の領域と、それぞれが担う支援の内容とは?

 大阪大学には看護学、放射線技術科学、検査技術科学の3つの専攻があります。いずれも病気の予防だけでなく、病気の早期発見の支援、発症後においては病状を的確に捉えて迅速に受診を促し、適切な治療へと繋げるための専門領域です。看護においては、治療をより効率的かつ効果的に、しかも安全に受けられるよう支援し、放射線技術科学と検査技術科学においては、そのための検査・診断方法の開発と支援を行います。

 たとえば、「精神的に辛い」と訴える人がいるとしましょう。その治療を考える場合、精神科、内科、神経内科などの医療部門のほか、カウンセリングなどの医療以外での対応など、さまざまな選択肢が考えられます。その時に、看護であれば、その人の体質や生活環境などを踏まえて、その中から適切な治療について助言し、受診へとつなげる支援を行います。その判断のための検査・診断データを提供するのが、放射線技術科学や検査技術科学です。

 退院後の療養支援や社会復帰の支援も重要です。病気を抱えながらも生活ができるように、介護が必要になっても安心して社会生活が送れるように助言や支援を行います。この点は看護師のほか、本学では大学院で育成する保健師が担う大事な役割です。


大阪大学 保健学科が他の資格養成機関と異なる点は?

 本学は資格取得だけを目的とした教育課程ではありません。資格を持つからこそできる世界を目指すために本学の教育はあります。その教育のひとつが、卒業研究です。看護学専攻では3年次後期から、放射線技術科学専攻と検査技術科学専攻では4年次から、それまでに抱いた問題意識や関心をもとに、研究室に所属し卒業研究を行います。本学には、さまざまな専門分野の先生方が在籍していますから、自分の研究テーマに合った先生の元で、また、学生同士で、医療者と科学者の両方の視点で諸問題について考える力を磨くことができます。まさにそれは医療現場で求められる能力です。

 実習は、大阪大学附属病院を中心に行われます。最先端の医療を担う先生方から直接、臨床の現場で学ぶことができるのは、卒業後に医療人として働く上で非常に重要な経験になります。附属病院での防災関連講義、栄養部や薬剤部の講義、見学なども本学ならではの教育です。こうした機会を通じて他職種の視点やその連携の仕方を学び、さらには「病院」「医療」について多角的に捉えて学ぶことになります。

 本学には、問題意識が高く、研究マインドを持った学生が多いです。大学院進学率の高さがそれを表しています。また、就職先としては、多くの卒業生が医療機関に進みますが、研究機関やシンクタンクなどで研究者になる人も比較的多くいます。中には、医療現場で数年働き、その過程で研究テーマを見つけて、大学院に戻って研究をする学生もいます。


先生のご専門「数理保健学」はどのような学問ですか

 医学の現場でも、高性能のコンピュータの導入やAIの威力が話題です。それがまさに数理保健学の領域です。

 数理保健学によって、個人や集団の健康状態や病気の予後について、膨大なデータをもとに分析して、推測することができます。また、医療政策の立案や評価をする際に、数理的な視点で現状を分析します。これから先、何人の看護師が必要になるのか。在宅医療関係者がどれくらい必要になるのか。そうした推計を行うことができます。また、病院などの職場を対象にして、そこでの業務量を調査し、そこでの問題点や効率的な業務体系などを数理的に検討することもします。

 数理保健学は、その状況や問題点を、数値としてはっきりと「見える化」する学問と言えます。それまで医師の経験をもとに判断されていたことや、社会や未来に対して「そういうことだろう」と漠然と考えられていたことなどを、数値に置き換えてオープンにし、関係者が共有できるデータを提示します。そのデータは意思決定の際の客観的な判断基準となり、それをもとに最適な治療方法が判断されたり、医療政策が検討されたりしています。


保健分野に関心を持つ受験生にメッセージをお願いします

 今や、治療だけでは人は健康になれない、ずっと健康ではいられないことがわかってきました。高齢者、独居者が急激に増えるこれからは、病気の予防や療養、治療支援といった保健医療が一層求められていきます。今後の社会には、保健学が医療の基盤として必要です。保健学はまさに時代のニーズに合った学問領域。これからの保健医療の現場でリーダーシップを発揮し、活躍できる人材を送り出したいと本学は考えています。

 志望する皆さんには、医療系資格の養成機関には守秘義務があることを覚えておいてほしいと思います。人の命に関わりますから、守るべきこと、やってはいけないことがあります。それは学部学生も例外ではありません。

 また、「人に感謝されること」を求めて志望する学生が少なくない分野ですが、実際の医療現場では、人に感謝できるほどの余裕さえない患者さんも多くいらっしゃることを忘れてはいけません。保健分野を志望するにあたっては、「感謝」以外の価値観を確立しておいてほしいと思います。


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