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学部長インタビュー「薬学部の魅力とは?」立命館大学 服部尚樹先生

  • 【学部リサーチ 2018年版】医学部・歯学部・薬学部の総合的研究
  • [2018/3/26]

これからの薬剤師と創薬に求められる“患者の目線”

《私立》立命館大学 薬学部 学部長
服部 尚樹(はっとり なおき)先生

岐阜県生まれ。1983年京都大学医学部卒業後、同大学大学院医学研究科内科系博士課程修了。内科医として大阪北野病院、神戸中央市民病院で勤務の後薬理学の道に進み、関西医科大学准助教授を経て2009年に立命館大学薬学部教授となり、薬物治療学を担当。研究テーマは「ホルモンに対する自己抗体の病態生理の解明」。

薬学とは、どんな学問ですか?

 私はもともと医学を学びましたので、その経験を踏まえると、薬学という学問は医学よりもはるかに幅広いものだと感じます。化学、物理学、生物学などを用いて、薬の種(シーズ)を見つけて合成することから始まり、薬理学(治療薬などの化学物質が体に与える影響を研究する分野)、製剤学(飲み薬や注射薬など薬の形態について研究する分野)、臨床薬学などをカバーしています。

 薬学部は2006年から導入された6年制と、従来の4年制の2つに大きく分けられます。6年制は臨床、つまり薬剤師になって患者さんに薬を安全に正しく使ってもらうための学問であり、4年制の方は創薬、つまり薬をつくるための学問という方向です。


6年制の薬学部について教えてください

 6年制で学ぶことの一つはまず、病気について理解した上で、その薬物治療を習得すること。ご存知のように、現代の医療は一人の患者を医師だけが診るのではなく、多くのスタッフがチームで取り組むものです。その中で、薬物治療に関しては薬剤師が積極的に意見を述べ、患者さんの目線で薬の正しい使い方を指導できるようになることが目標です。

 ただ、薬剤師の位置づけは現在、変化への過渡期にあります。本学では昨年からカナダ・トロントの小児病院と協定を結び、現地での体験プログラムを実施していますが、私もそこに同行し、カナダの薬剤師の仕事を見ることができました。

 従来の日本では、薬剤師は調剤が主な仕事で、患者さんの体に触れることもありませんでした。しかし、私がカナダで見た薬剤師の姿は、これとはまったく異なるものでした。まず大きく異なる点として、薬剤師が調剤をしません。それは、薬剤師免許を持たない「アシスタント」の仕事なのです。点滴に薬剤を注入する作業もアシスタント。では薬剤師は何をしているのかというと、患者さんと話をするのです。実は、カナダでは患者側の意識も高く、治療法や薬の効果、副作用などについて知りたいという要望が強いんですね。治療法のかなり細かいところまで聞いてくる患者やその家族に対して、薬剤師には的確な説明やアドバイスが求められます。また、薬剤師には薬物治療行為のかなりの部分が任されていることもあり、治療方針を決めるカンファレンスなどの場で、医師の処方を巡って医師と薬剤師がやりあうといった場面もしばしば見られます。それだけ薬剤師の地位が高いと言えますし、実際、現地では病気になったときにまず誰に相談するかといえば、薬剤師なのだそうです。

 カナダなどでは20年以上前に “Go to your pharmacist” という運動が起こり、日本でもそれにならって2016年から「かかりつけ薬剤師」制度が導入されました。薬や治療法の深い知識を持ち、患者さんに適切なアドバイスを与えられる薬剤師である必要がありますが、6年制課程が導入されてからあまり長く経っていないこともあり、人材育成の確立はこれからといったところです。先ほど「過渡期」とお話ししたのはそのような意味ですが、日本の薬剤師も早くカナダのような地位と力をつけてほしいと願っています。


4 年制で学ぶ「創薬」について教えてください

 近年ではがん治療薬をはじめとする新薬が数多く開発されていますね。しかし、ゼロから新薬を開発するのには薬の合成、動物実験、人体での治験を経て臨床での実用化に至るまで莫大な時間とコストを要し、努力だけではなく運も必要となる厳しい世界です。

 ただ、創薬といってもやることは新薬開発だけではありません。この分野も実に幅が広く、既存の薬の改善や適用の拡大、薬の投与方法を新しく開発することも含まれます。例えば、口から投与して腸で効かせたい薬の場合、胃で溶けずに腸まで届けるしくみをつくる必要がありますよね。「ドラッグデリバリーシステム」と呼ばれるしくみや製法の開発などです。また、患者さんが薬を正しく安全に服用できるよう、薬が入っているシートや錠剤の表面に薬品名や容量を見やすく印字する方法なども含まれます。この分野は、6年制に比べて“ものづくり”的な要素がより強いと言えるでしょう。


立命館大学薬学部の強みは何ですか?

 本学薬学部で特に力を入れているのが「フィジカルアセスメント」(実際に患者の体に触れながら、体の状態や病状を把握する訓練)です。医学生や看護学生だけでなく、薬学部生がフィジカルアセスメントに取り組むことは、在宅医療が広まった将来の医療現場において、先ほどもお話しした「かかりつけ薬剤師」の業務として必ず役立つと考えているからです。

 本学ではこのために人体を模したフィジカルアセスメント用シミュレーターを3体設置し、身体のさまざまな状態や病態を再現し、学生同士でフィジカルアセスメントをとりあう学習もしています。

 また、学生指導の手厚さも特長です。教員が「担任」として学生一人ひとりを指導するアドバイザー制度や、5回生以上の学生が実習・演習で下級生を補助するPh・A(Pharmacy assistant)制度を取り入れ、学生が日々モチベーション高く学べる環境を整えています。


受験生へのメッセージをお願いします

 本学の卒業生は、病院、薬局、製薬会社などの進路に進むことが多いのですが、いずれの道に進んだとしても患者さんや弱い人の立場に立って働くことができる人材を育てたいと思っています。たとえば創薬科学科なら、人のためになる新しい薬を創る! という強い探究心と創造力をもった学生さんに来てほしいと思います。

 それと、おそらく薬学部は理科を物理・化学で受験される人が多いのではないかと思いますが、実際には生物学も大切ですので、そのあたりの基礎力は持っておいてください。また、これだけは誰にも負けない!という強みを持った人にもぜひ来てほしいですね。みなさんの受験をお待ちしています。

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