page_top

学部長インタビュー「農林海洋科学部の魅力とは?」高知大学 尾形 凡生先生

  • 【学部リサーチ 2017年版】社会・社会福祉学部系統の総合的研究
  • [2017/12/27]

光と自然豊かな高知で、“生命の常識”を身につけてほしい

《国立》高知大学 農林海洋科学部 学部長
尾形 凡生(おがた つねお)先生

1960年生まれ。京都大学農学部卒業、同大学院農学研究科修士課程修了後、大阪府立大学農学部助手、同大学院農学生命科学研究科助教授、高知大学農学部助教授・教授等を経て2016年、同大学農学部から改組した農林海洋科学部初代学部長に就任。暖地果樹園芸学、柑橘学等を専門とし、種なし果実の品質向上に取り組む。

尾形先生のご専門についてお聞かせください

 最初に、作物の栽培について研究する分野についてご説明する必要があるのですが、農学部では昔から、栽培する作物の種類によって分野がはっきり区切られています。同じ動物学でも、昆虫の研究と牛の研究ではまったく専門分野が異なりますが、そのような感じですね。それらの中で、特に「果物」を扱う人は「果樹園芸学」という分野に入ることになります。私はその中で、常緑樹である柑橘(ミカンの仲間)を専門としていて、この高知という土地ならではの品種、たとえば土佐文旦とさぶんたんや、現地ではよく「小夏」と呼ばれる日向夏ひゅうがなつなど、ミカンよりもさらに暖かい地域で育つ柑橘類に焦点を絞って研究を行っています。たとえば、もともと文旦の果実には種が100個くらい入っていて取り除くのが大変なのですが、これを種なしにするための技術開発などに長年取り組んできました。


農学とは、どのような学問でしょうか?

 一番に言えるのは、太陽の光がもつエネルギーを効率的に活用して人の暮らしに役立てるための学問ということです。それはどういうことかというと、人の暮らしの中でも大きな部分を占めるのが“食”ですが、その点について言えば、たとえば稲に太陽の光を集めて米をつくり、人間のためのエネルギーに変えるということ。あるいは、太陽の光で育った樹木を燃料として活用することです。また、太陽の光で育ったプランクトンを使って魚を育て食用にすることもそれに当てはまります。農学の分野はそこから派生して、直接太陽エネルギーとは関係のない、たとえば水路の設計を研究する学問などにも大きく広がっていますが、農学の軸はあくまで太陽の光を人の生活のために活かすかを考える学問であり、特にその中心は食にあると考えています。


新しくなった高知大学農林海洋科学部は、どんな学部ですか?

 いまお話ししたように、農学の基本は太陽エネルギーを資源として有効活用するということが中心軸であり、特に旧来の農学部はその太陽エネルギーで育つ生物資源を有効活用することに重点を置いてきました。その当時から、農学の概念とは必ずしも一致しない学問分野とも、研究現場ではギブ・アンド・テイクのような形での連携が行われてはきましたが、分野としてはあくまで別という形を保ってきました。それが21世紀に入り、潜水調査技術をはじめとする技術発展により、これまで人類の手が届かなかった「海洋」という場所が資源のみなもととして強い魅力を生むようになったのです。海が生む資源として、魚類やプランクトンなどの生物資源はともかく、鉱物資源などは従来の農学の定義には直接当てはまらないものです。しかし、生物資源も鉱物資源も広い意味での「第一次産業」の資源としてとらえ、同じ場で研究を行おうと考えました。こうして昨年(2016年)、高知大学では農学部から農林海洋科学部への改組を行いました。

 こうして生まれた農林海洋科学部での教育の特長の一つがフィールドサイエンス実習です。これは農林海洋科学部の新入生全員を対象とし、本学部のすべての教員が出動してすべての分野(農林資源環境科学・農芸化学・海洋資源科学)を体験的に学ぶことができるプログラムです。この実習はいわば本学教員たちの「得意ワザの集積」であり、全体を通して統一的なものにはもちろんなり得ませんが、ここで学生たちが楽しみながら、「高知大学農林海洋科学部で学ぶことの意義」を自らつくっていくことを目的にしています。

 高知という土地は、非常に自然が豊かではありますが、だからといって農業にも水産業にも絶好の場所かというと必ずしもそんなことはありません。農業の専門家としての視点で言えば、平地が非常に少ないために、自給自足のための米は何とかなっても、農業を生活の糧としての産業として成立させるのに歴史的にも人々がたいへん苦労してきました。そんな中、少雨で温暖という気候の特徴や山間部の傾斜地を活かし、工夫を凝らしてきたこともあり、知恵を絞って暮らしてきた農業者の気風がある土地でもあります。そうした人々の意識に触れられることが、農学を学ぶ学生にとってはすばらしい環境です。また、高知では農業、林業、水産業といった産業が近い場所に固まって位置しており、学生にとっても“現場に近い”ということが大きなメリットと言えます。


受験生へのメッセージをお願いします

 フィールドに駆け出していくことをいとわない、元気な学生さんに来てほしいと思っています。そんな学生さんたちに、ぜひ本学で“生命の常識”を身につけてほしいと思います。それを学ぶために、光と自然が豊かなここ高知の環境はきっと助けになるはずです。


この記事で取り上げた大学

蛍雪時代

螢雪時代・7月号

国公立大&難関私立大合格!のために読む雑誌

先輩合格者の「合格体験記」、ベテラン予備校講師の「科目別アドバイス」をはじめ、センター試験関連情報 や大学入試の分析&予想など、お役立ち情報満載の月刊誌。志望校・合格へあなたをサポートします。

「螢雪時代」のご案内は、こちら

学部・学科内容ガイド 記事一覧

学部・学科内容ガイド 記事一覧に戻る

“高知大学”の関連記事一覧

今月の入試対策

supported by螢雪時代

7月のテーマ
毎月中旬更新

現役合格のために[失敗]を[成功]へつなぐ術!

大学を比べる・決める

My クリップリスト

0大学 0学部 クリップ中