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学部長インタビュー「経済学部の魅力とは?」大阪大学 谷﨑 久志先生

  • 【学部リサーチ 2017年版】経済・経営・商学部系統の総合的研究
  • [2017/11/1]

専門知識に基づいて、現実の経済問題を理解する人材を育てたい

《国立》大阪大学 経済学部 学部長
谷﨑 久志(たにざき ひさし)先生

1962年大阪府生まれ。関西学院大学経済学部卒業、神戸大学大学院経済学研究科博士課程前期課程修了、ペンシルバニア大学大学院経済学研究科卒業。神戸大学大学院経済学研究科助教授・教授、大阪大学大学院経済学研究科教授などを経て2017年より現職。大阪大学数理・データ科学教育研究センターの副センター長も兼任。

谷﨑先生のご専門「計量経済学」について教えてください

 経済学や経営学には、たとえば需要供給の法則のような理論があります。モノの価格が上がれば需要が下がるといった話ですね。こうした経済理論に対して実際の経済活動のデータを当てはめ、理論と現実が整合しているかどうかを統計的に確かめるのが計量経済学です。実際、やってみると理論と現実がうまく合っていない場合も少なくないのですが、そうしたときにはなぜうまく合わなかったのかを実証するのもこの学問です。また、そうした実証そのものだけではなく、実証を行うための推定方法を開発するのも計量経済学の範疇です。


経済学とはどんな学問ですか?

 大阪大学経済学部は経済・経営学科を設置しているということもありますので、まずは「経済」と「経営」の違いについてお話ししたいと思います。

 もちろん人によって多少の意見の違いはありますが、「経済学」はたとえば国の財政赤字や少子高齢化、失業率やデフレといった国や社会全体の経済問題を解決する方法について考える学問と言えます。一方で「経営学」は、企業組織のマネジメントや資金管理、生産管理、労務管理、販売方法等の分析などといった、企業や組織運営における経済活動を考える学問となります。

 大阪大学も含めて、国立大学では経済学と経営学が同じ学部で学べることが多いのですが、私立大学では経済学部と経営学部、あるいは商学部といったように分かれているので、私立大をめざす人は経済学と経営学のどちらを学びたいか、区別をしっかりつけておいたほうがいいかもしれませんね。

 経済学についてもう少し掘り下げると、先ほどお話ししたように、時代ごとに起こった経済問題や課題に取り組んできた歴史があります。日本に関して言うと1970年代のオイルショックに伴うインフレ、1980年代末のバブル経済とその崩壊、消費税導入の影響、1990年代以降のデフレなどです。そうした現実の出来事を極力簡略化して数式にした「経済モデル」をつくり、実際のデータに照らして実証する、という取り組みが続けられてきました。最近では情報通信技術の発達により、株式の取引は以前とは比較にならないほどの速度と量で行われていますが、そうした変化が経済にどんな影響を与えるかという研究もあります。

 また、現代はいま例に挙げた高速・大量の株取引情報やコンビニエンスストアで収集されるPOSデータなど、経済活動にまつわる「ビッグデータ」と呼ばれる大量のデータがあふれている時代でもあります。統一的な研究手法はまだこれからの段階ですが、統計学的なアプローチにも大きな広がりが期待できるところです。


経済学を学ぶのに必要な視点とは何でしょうか

 ここまで、統計学やコンピュータなど、経済学における数学的な手法を中心にお話をしてきました。ただ、経済学は意外に幅の広い学問です。計量経済学のような分野以外に、経済の歴史や哲学の面からアプローチする分野もあります。とはいえ、経済史の分野でも、例えば古文書をデータ処理して数量データを分析するといった研究手法は少なくありませんから、特に国公立大の経済学部をめざす皆さんには、数学的・統計学的な視点はできるだけ持っておいてもらいたいと思います。

 ちなみに、本学ではもともと経済学研究科の組織だった金融・保険教育研究センターを改組して「数理・データ科学教育研究センター(MMDS)」を平成27年に設置しました。旧センターが研究対象としていた金融保険のほか、数理モデリング、データ科学を合わせた3 部門で、経済学と理学・基礎工学・情報科学を横断した新しい教育プログラムに取り組んでいます。


大阪大学経済学部の教育の特長を教えてください

 まず、学生定員220名に対して教員が約40名という体系的な少人数教育が特長で、ゼミも2年生から開設しています。その指導に当たる教員には外国人もいますし、海外の大学院で学んだ教員や海外での指導経験がある教員も多く、国際的な感覚に富んでいます。

 また、理論だけでなく実学的な素養を身につけるため、大手金融・証券会社からベンチャービジネスまで、さまざまな分野の企業から講師を招いての授業も積極的に行っています。

 教員の中にも現実社会が直面する問題に関心の高い者が多く、政府の政策立案への参画や独自政策提言などの実績があります。こうしたことからも、より現実に即した経済学に取り組むことができる環境と言えるでしょう。

 それに、本学経済学部の教員の出身大学はさまざまです。私自身も関西学院大出身ですし、逆に大阪大学出身者は少数派と言えるほどです。日本の大学は母校出身の教員が集まりがちな傾向がありますが、そうした環境とは一線を画すところから生まれる自由な空気も、他にはなかなかない本学の大きな特長と言えます。

 このような教育環境を通じて、学生には世界に通用する経済学・経営学の知識を体系的に習得してもらい、人間社会と自然に関する幅広い教養を身につけつつ、専門知識に基づいて現実の経済・経営問題を理解する人材、自国だけでなくグローバルな視点で問題に向き合える人材に育ってもらいたいと考えています。


受験生へのメッセージをお願いします

 昔から「経済学部はつぶしがきく」と言われますが、それは就職に限らず、幅広い性質の学生を受け入れるだけの懐の深さがあるということでもあります。

 経済学・経営学を勉強したいという人はもちろんですが(笑)、理数系に強い人、たとえば理系志望から転向した人や、歴史・哲学・思想に興味がある受験生、あるいは就職の有利さを考える人、また国際的ビジネスマンをめざす人も大歓迎です。

 受験生のみなさんに今のうちから習慣づけておいてほしいことが一つあります。それは、経済ニュースや新聞の経済面だけではなく、いろいろな情報に視線を向けて、社会でいま何が起きているかに常に興味を持つということ。そのことは、大学で自分がやりたいことを見つけるためにも役に立つと思いますから。

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