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[教育・教員養成・体育・健康科学部系統]学べることガイド

  • 【学部リサーチ 2017年版】教育・教員養成・体育・健康科学部系統の総合的研究
  • [2017/10/4]

教育・教員養成系と体育・健康科学部系統の学部は、日本の社会情勢に応じて幅を広げている分野。
自分の将来像に合った学科や専攻を見つけよう。

学校教員になるには

 公立の小・中学校、高等学校などの教員になるには、大学等で教員免許を取得したうえで、地方自治体(都道府県および政令指定都市)が個別または合同で実施する採用試験(小学校・中学校・高等学校・特別支援学校・養護教諭、栄養教諭の区分で実施。中学と高校を一括募集する県や市もある)に合格する必要がある。一方、私立学校の場合は、学校ごとに教員採用試験を行う。

 教員免許は、幼稚園・小学校教諭はそれぞれの養成課程が設置されている大学・学部で、中学・高校については、教職課程が設置されている大学・学部で取得できる。

 教員養成課程とは小学校・中学校・特別支援学校など、主に義務教育に携わる教員を養成する課程。これらの課程では、学校教員となるために必要な科目を中心にカリキュラムが構成されており、4年間履修を積み重ねることで小学校あるいは中学校などの教員免許が取得できる。

 これに対し、教員養成系以外の大学・学部に設置されている教員志望者向けの課程を教職課程という。この課程を履修すれば、法学部や経済学部、文学部、理学部、工学部といった学部を卒業しても教員採用試験の受験資格が得られる。

 一般の大学の場合、教員免許は、文学部の日本文学科なら国語、英文学科なら英語、理学部の数学科なら数学というように、所属学部・学科・専攻により、取得できる科目が限定されている。中学・高校の社会(地歴・公民)科教員の採用試験が難関なのは、卒業生の多い法学部、経済学部、経営学部などで取得できるのはほとんどが社会科教員免許であるためだ。


教員養成課程の種類

小学校教員養成課程

 多くの大学の小学校教員養成課程では、すべての科目を教える小学校教員に合わせ、教科別の指導法や教材研究などを教授するほか、専門性を強めるため専修やコースなどを設置する大学が多くなっている。また、最近では、小学校での英語教育導入にあわせ、英語の専攻・課程を設置する大学も増えている。

 小学校教員養成課程のカリキュラムでは教育制度や教育方法、教育史などを学びつつ、子どもの実際の姿を理解するための科目として、教育心理学、学習心理学、発達心理学、教育評価などを履修する。さらに、教材の持つ文化的価値、その系統性、他の教科との関連性などについて学び、指導計画や指導法に関しても学んでいく。

 そのうえで、教育実習・介護実習が必修(介護実習は小学校・中学校教員免許取得希望者のみ)となっている。教育実習は、通常1か月間、配属されたクラスの担任の指導のもとで、教え方の見学、指導案の作成と教科指導、学校行事への参加などを行う。介護実習は1998年度大学入学者から義務づけられており、社会福祉施設(特別養護老人ホーム、知的障害者更正施設、児童養護施設など)で5日間、特別支援学校で2日間の計7日間。


中学校教員養成課程

 同じ義務教育を担う「小学校教員養成課程」よりも専門教科の教育に力を入れているのが特色。ほとんどの教員養成大学・学部では、この課程に入ると、高等学校教員免許も同時に取得できる。

 中学校教員養成課程の「専門教育科目」は、「教科に関する科目」と「教職に関する科目」で成り立っている。「教科に関する科目」は、たとえば国語専攻の学生の場合は、国語学、国文学、教材研究、教育研究など、数学専攻の学生の場合は、解析学、代数学、幾何学、教科教育学、教育・教材研究などだ。

 これに対し、高等学校の教員になろうという場合は、高度な専門性が要求されるため、教員養成大学・学部や一般大学で専門分野(数学なら数学科、国語なら日本文学科などで)を学ぶだけでなく、大学院修士課程に進んで専修免許を取得する者も多い。


特別支援学校教員養成課程

 視覚障害、聴覚障害、知的障害、言語障害、肢体不自由、病弱などの障害のある児童・生徒が通う特別支援学校の教員を養成する課程。

 特別支援学校の教員になるには、特別支援学校教員養成課程で所定の単位を修めることが必要。視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由児者、病弱者(身体虚弱者含む)の5つの専門領域があり、科目の取得状況に応じて指導できる領域が定められる。また、小・中・高・幼稚園のいずれかの普通免許の取得も必要となる。

 特別支援学校には、幼稚部、小学部、中学部、高等部、専攻科があり、教員は、在籍する児童・生徒に教育を行うだけでなく、地域の幼稚園、小・中・高校に在籍する障害のある生徒の教育に関する助言や支援を行う役割もある。


養護教諭養成課程

 学校の保健室等で、生徒の健康管理を行う専門家「養護教諭」を養成する課程。

 養護教諭は、けがをした生徒の応急手当や、気分が悪くなったり熱が出たりした子どもの一時看護などを主な役割としてきたが、最近では、健康やストレスなどの悩みの相談はもちろん、不登校・保健室登校、あるいは飲酒・喫煙・薬物、性、いじめなど、さまざまな問題に関わる仕事として重要性を増している。

 養護教諭養成課程では、基礎医学・心理学・保健学などを通して、子どもの体や心のしくみ・はたらき、発育・発達などを理解したうえで、看護学・歯科・耳鼻科・外科・応急処置などの臨床医学や、衛生・公衆衛生・保健統計などの予防医学、学校保健、健康相談などについて履修する。実習は、養護実習と看護実習がある。看護実習は、大学の附属病院や医療機関で臨床実習と救急処置を学ぶ。養護実習は、小・中・高校で養護教諭の業務や保健指導・健康診断の補助などを行う。


幼稚園教諭養成課程

 国立の教員養成大学・学部のほか、多くの大学・短大に設置されている。現在では、小学校教諭や保育士資格のいずれかと組み合わせて取得できる例が多い。幼保一元化で「認定こども園」が増えていることもあり、幼稚園教諭免許と保育士資格の両方を取得する人が増えている。

 幼稚園教諭養成課程では、幼児の健康や環境、ことば、人間関係などについて学んだうえで、心理学、教育学、生理学などの科目や、ピアノ、ダンスなどの実技を学んでいく。


教員養成以外の学科・専攻

 教育学部のなかには、国際文化課程や環境情報課程など、教員免許の取得を卒業要件としない課程もあり、俗に「ゼロ免課程」と呼ばれる。こうした課程が誕生したのは、少子化などの影響により教員就職率が大きく下降したため。しかし、団塊世代の大量退職や、クラス定員の縮小などの影響で教員就職率がここ数年回復し、2016年くらいまでに多くの教育学部でゼロ免課程の定員縮小・廃止が行われた。あるいは愛知教育大のように、旧来のゼロ免課程を見直して学校運営や教育行政職に特化した学科・課程を新設する動きも見られる。

 また、大阪大を除く旧7帝大や早稲田大などには、教員養成を目的としない「教育学」を研究対象とする学科・専攻がある(大阪大は人間科学部の中に「教育学科目」がある)。教育という営みを、社会や文化の問題として問い直し、教育という社会機能がどういう価値を生み出しているか、もし別な価値を生み出せるとすれば、どんな方法や制度がそれを可能にしているかを総合的に研究する学問のこと。

 教育学は、教育史学、教育哲学、教育心理学、教育社会学、教育行政学、学校教育学、幼児教育学、特別支援教育学、生涯教育学などで構成されているが、これらは学校教育の現場だけでなく、企業などの人材開発・社員教育部門などでも広く求められている知識のため、これらを修めた人材は、企業や官庁・自治体などで活躍する例が多い。


≪教育・教員養成学部系統≫ Trend & Topic

幼児・初等教育人材育成への動き

 教育学部系統において教員免許取得を卒業要件としない、いわゆる「ゼロ免課程」は国公立大学を中心に多くの大学で廃止・縮小あるいは新たな課程として再スタートといった見直しが盛んに行われ、2017年度までにひと通りの改組の動きは落ち着きを見た状況といえる。

 来年、2018年度に向け、私立大を中心に目立っているのが幼児・初等教育に携わる人材を育成するための学部・学科等の新・増設の動きだ。例えば九州産業大( 福岡県)では2018年から新設する人間科学部の中に子ども教育学科を設置し、保育士や幼稚園教諭、特別支援学校教員の育成を行う。また、金沢学院大(石川県)は文学部に教育学科を新設。小・中学校教員や幼稚園教諭・保育士を育成し、「英語教育に強い」人材育成を掲げているのが特徴的だ。公立大学でも、長野県立大(新設)の健康発達学部こども学科、島根県立大に新設される人間文化学部保育教育学科などの例が目立つ。

 近年、わが国では待機児童問題をはじめ、乳幼児保育のための施設やそこで働く人材の不足が大きな課題となっている。また、2020年から小学校高学年で英語が正式科目として導入されることから、初等教育における英語教育指導者確保の需要も強い。今年の各大学における学部・学科等改組の動きも、こうした社会情勢に呼応したものと見てよいだろう。



“体育系”と“健康科学系”の違い

 体育・スポーツ系大学・学部は、体育・スポーツを「科学」として追究し、アスリートや体育科教員を養成する体育・スポーツ系と、人間の健康の基盤として体育・スポーツを考える健康科学系に大きく分けられる。

 体育・スポーツ系の学部・学科では、体育史、体育哲学、スポーツ人類学、スポーツ社会学、体育心理学、武道論などに加え、運動生理学、バイオメカニクスなど運動と身体の機能についての科目が設置されている。さらに、スポーツトレーナー、コーチなどを志望する者のためには、コーチング論やスポーツ医学、スポーツ心理学などの科目も開設されている。

 これに対し健康科学系の学部・学科では、健康管理学、健康教育学、障害者教育学、社会福祉学などを基本として学び、健康栄養学や臨床心理学、精神保健学、リハビリテーション学などの臨床系科目を履修する。

 高齢化が急速に進行している日本では、がんや脳卒中、心臓病等の生活習慣病の撲滅がいま最大の課題になっている。生活習慣病は、食生活を改善し、喫煙をやめ、定期的に運動を行うことで、かなりの程度防げる。健康科学系の学部で資格取得がサポートされている「健康運動実践指導者」や「健康運動指導士」などは、健康づくりのための運動を指導するなど、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)向上に寄与することが期待されている。


体育学科

競技スポーツ学科
競技スポーツ科学科 等

 体育・スポーツを実践と理論から教育・研究する学科。体育実技の実践とともに、中・高校の体育科教員など体育の専門家養成に焦点を合わせている場合が多い。

 カリキュラムは、体育哲学、体育史、スポーツ社会学、体育経営学、体育心理学、体育科教育学など人文・社会科学系科目、運動生理学、スポーツ医学、スポーツバイオメカニクス、運動栄養学などの自然科学系科目、運動学、コーチング論などの実技系科目および体育実技で構成され、体育実技では、実技の向上だけでなく、どうすればその技術が身につくか、どう指導すればより向上することが期待できるかなどを実践的に学んでいる。


スポーツ科学科

運動科学科
健康運動科学科 等

 スポーツ科学とは、運動技能や体力を合理的に向上させるための科学的知識や方法を学ぶ学問。

 スポーツ科学が注目されるようになったのは、オリンピック選手やプロスポーツ選手の競技力向上にさまざまな科学機器が取り入れられ、それらのデータをもとに、効果的な筋肉の使い方や呼吸法、練習法などが理論化され、効果を発揮したことによる。スポーツトレーナーなどの専門家を育てるのもこの分野の役割だ。


武道学科

現代武道学科 等

 日本武道を専門的に学ぶ学科。教育・研究の対象は柔道・剣道・弓道・合気道・空手道などで、それらを実技として学ぶだけでなく、歴史的・社会的・文化的な視点から探究する。

 柔道はいちはやく世界に進出し、とくにフランスなどヨーロッパ諸国に普及した。剣道や空手道も外国人の愛好家が多く、これらを通じた国際交流も盛んだ。


社会体育学科

生涯スポーツ学科 等

 生涯にわたってスポーツを行っていくための理論と実践を探究する学科。地方自治体や民間の社会体育施設などで、スポーツを行う市民をサポートする専門家を養成することが目的だ。

 開講されているのは、生涯教育論、障害者スポーツ論、野外活動論、レクリエーション論、スポーツ経営管理学、スポーツ医学、コーチング論、スポーツ行政学などで、医学や看護福祉分野が拡大しているのが最近の傾向だ。


スポーツ医科学科

スポーツ・健康医科学科 等

 スポーツを医学の領域から探究する学科で、スポーツ医学、スポーツ生理学、バイオメカニクス、スポーツ心理学などを学び、健康や競技力向上のカギとなる栄養摂取の方法や、スポーツでどう心身をリラックスできるかなどの応用研究が行われている。

 国士舘大のスポーツ医科学科(体育学部)では、救急救命士の国家試験受験資格を取得できるカリキュラムを組んでいる。


スポーツ経営学科

スポーツマネジメント学科
スポーツビジネス学科 等

 スポーツチームやスポーツジムなどのマネジメント、スポーツイベントなどの企画・運営を行う専門家養成を目的とした学科。経営学、マーケティング。経営戦略論、経営資源論などを基礎として学び、学校体育経営、地域スポーツ経営、商業スポーツ施設経営などを演習や実習で身につける。コミュニケーションやジャーナリズム論など情報発信について学べるのも特色。

蛍雪時代

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