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[社会・社会福祉学部系統]学べることガイド

  • 【学部リサーチ 2017年版】社会・社会福祉学部系統の総合的研究

あらゆる社会現象を科学的に捉える社会学分野と、人々の幸せな生活を考える社会福祉分野。
変化の激しい現代、ますます必要が高まる学問だ。

社会学は「人のつながり」を科学する学問

 社会学という学問がどのようなことを対象にするかは、高校生にはややイメージしづらいかもしれない。小・中学校の社会科や高校の地歴・公民と名前は似ていても、大学の社会学部が対象とする分野・領域は、その研究テーマのキーワードだけを取り上げても、アイドル、イクメン、いじめ、炎上、音楽配信、格差社会、キラキラネーム、女子会、臓器移植、地域商店街、動画サイト、バリアフリー、ブラック企業、草食系男子、 SNSなど、同じ学問分野とは思えないほど幅広い。一見、研究者各々が自分の好きなテーマを思いのままに研究しているかのようだが、そうではない。ここで取り上げられるすべてのテーマは「社会」という「人と人とのつながり」の中で生じる事象であり、これらの本質や問題点、可能性を科学的・実証的な手法で明らかにしようと試みるのが、人文科学の一分野としての社会学なのだ。

 社会学を学べる大学・学部を探す場合、「社会学部」として独立しているところはわかりやすいが、人文科学の一分野として成立した経緯もあり、他の学部に学科や専攻として含まれている場合も多い。

 この学問分野は、大まかには「社会学」「メディア学」「観光学」「地域学」に分類することができる。いずれも、対象とする人間社会の営みを、人文科学・自然科学の諸科学を総動員して明らかにしようとする学際的側面の強い分野。それだけに、社会が非常な速さで変化し将来が予測しにくい現代においてはテーマも豊富で、多くの成果が期待される学問分野といえる。


社会学科

社会科学科
社会システム学科
社会文化学科 等

 社会学科は、社会学的な思考(理論)と方法(調査)を身につけるための専門教育を行う学科。人間と人間が作る社会・文化に焦点を当てたカリキュラムが設置されている。教育の特色は「社会調査」というフィールドワークをカリキュラムの核に据えていることで、たとえば龍谷大社会学部の社会学科では、「社会調査実習」として3泊4日程度の現地実習を含むフィールドワークを実施している。

 社会学部が日本の大学で最初(1951年)に設置された一橋大は、社会学部の研究分野を社会動態、社会文化、人間行動、人間・社会形成、総合政策、歴史社会、地球社会の7つに分けている。関西大 -社会(1967年設置)は、4専攻(社会学、メディア、心理学、社会システムデザイン)・13 プログラムを設置し、プログラムの中には専攻横断型のものや専攻以外の学生が受講できるものもある。また、2013年にマスコミュニケーション学専攻からリニューアルしたメディア専攻は、社会学部設置以前の 1949年から文学部新聞学科として続いてきた歴史をもつ。心理学の学科(専攻)は、情報処理や統計学の授業 が必修とされていることが多く、文系学部とはいえ数学的な素養も求められる。

メディア学科

新聞学科
マスコミュニケーション学科
メディア情報学科 等

 メディア(新聞・雑誌やテレビ・ラジオなどの情報媒体)について学ぶ学科。従来は主に新聞・雑誌・テレビ・ラジオなどのマスメディアを研究対象としていたが、現在では、 SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やブログといったインターネット媒体も重要な研究分野となっている。

 その学問分野は、メディアが大きな役割を占めている現代社会を社会学的手法で解き明かすのが目的。そのために、メディアそのものの研究とともに、ジャーナリストやエディターなどの養成も行われている。

 同志社大のメディア学科(社会学部)は、比較メディア論や映像情報学、メディア心理学などの多様な専門科目を設置、マスコミ出身教員などを配置して、メディア学基礎演習、メディア学実習、メディア学演習などを開講している。

 東洋大のメディアコミュニケーション学科(社会学部)では、メディア業界、IT業界などで活躍できる人材の養成を目指し、メディアコミュニケーションについての知識と技能を初級から上級まで順に身につけるカリキュラムを実施。「マスコミ文章論および実習」「メディア制作および実習」「情報システム構築論および実習」など実習科目も充実している。

観光学科

観光文化学科
観光ビジネス学科
観光経営学科 等

 余暇を使って自分の楽しみのために出かける旅行を意味する「観光(ツーリズム)」もまた、社会学系統の学問が対象とする「人と人とのつながり」が生み出す事象の一つの形。現代社会における観光の役割、観光地での体験を通じた地域文化との触れ合い、企業活動におけるホスピタリティーの重要性など、観光に関わる社会現象について、社会学、経済学、経営学、歴史学、地理学、統計学、心理学などの諸科学を総動員して研究するのが観光系学科だ。

 1967年に日本の 4年制大学で初めて社会学部に観光学科を設置(1998年に観光学部として独立)した立教大では、観光学科、交流文化学科の2学科を開設し、1年次に早期体験プログラムとして「スタディツアー」を国内外で実施するほか、ホテル・航空産業などのトップを講師に招いた実践的な授業を展開している。

 国立大で初めて観光学部を開設した和歌山大では、観光経営学科と地域再生学科を設置。地域・海外でのインターンシップを取り入れて、マネジメント能力を持つ人材、地域の再生に貢献できる人材の養成を行っている。また、2006年には北海道大が観光学高等研究センター、大学院観光創造専攻を開設している。観光コミュニティ学部、ホスピタリティ・ツーリズム学部などの名称を含め、この系統の学部・学科は近年増加傾向にある。

地域科学科

地域政策学科
地域文化学科
地域再生学科 等

 地域学、地域科学とは、人文科学、社会科学、自然科学の諸科学にフィールドワークを加えて地域社会を研究する学問のこと。人文科学からは考古学、歴史学、文化人類学、民俗学、民族学、言語学などが、社会科学からは環境学、地政学、地理学などが、自然科学からは生態学、地学、地質学などが動員され、地域学ではこれらを基礎に、ある地域、あるいは地域システムについて政治学的、社会学的、文化学的、心理学的な研究が行われる。

 地域という言葉は、外国語学部・国際文化学部などでは、ヨーロッパ、アジア、アフリカなどを指し「アジア地域研究」などと使われるのが一般的だが、地域学では、地方都市や農村地域など、一定の生活圏を指す場合が多い。

 鳥取大の地域学部は、地域政策、地域教育、地域文化、地域環境の 4学科を設置。フィールドワーク、インターンシップを駆使して、地域の政治、文化、教育、環境に貢献できる人材の養成を行っている。

《社会学部系統》 Trend & Topic

2020年に向け高まる観光産業の熱気

 日本政府観光局(JNTO)による2017年1月の報道発表資料によれば、2016年の訪日外国人旅行者数は約2,403万9000人( 前年比21.8%増)となって初めて2000万人を超え、JNTOが1964年に統計を取り始めて以来最多となった。クルーズ船寄港数の増加や航空路線の拡充、これまでの継続的な訪日旅行プロモーションに加え、ビザの緩和、消費税免税制度の拡充等が主な増加要因であるとJNTOは分析している。国・地域別の訪日旅行者数で最も多かったのは中国の673万人で、これに韓国(509万人)、台湾(417万人)が続く。前年に対しての伸び率はインドネシアの32.1%増を筆頭に、ロシアを除く19地域で過去最高となった。

 近年、中国、韓国や東南アジア諸国の経済発展により大幅に増加した観光客が、文化遺産や自然環境、安全でおいしい食品、接客技術など日本のさまざまな “観光資源 ”を求めて渡航し、日本の観光産業の大きな支えとなっている。

 日本政府は東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年に訪日外国人旅行者数4000万人を目標に掲げており、2017年5月30 日には「観光ビジョン実現プログラム2017」を発表した。同プログラムでは国内観光資源の開発・開拓と魅力向上、観光関連制度改革・規制緩和と財源・人材育成の強化、訪日外国人旅行者に対応する各種インフラの充実といった施策を打ち出しており、観光学部・学科系統を中心とする大学での人材育成が大きく期待されるところだ。



すべての人々の幸福を追求する社会福祉学

 社会福祉とは、広い意味では、子どもや高齢者、障害のある人を含め、すべての人々に自立した生活の実現と「幸福な状態( well-being)」を保障するための公的制度や社会的サービスのことをいう。社会保障に関するあらゆる制度に加え、保健医療、労働、教育、住宅、防災、環境なども含まれる。狭い意味では、身体障害者や高齢者、経済的困窮者などに自立のための援助を行うことを指す。一般に大学の社会福祉学部(学科)では、狭義の社会福祉について、政策に関わる分野、対人援助に関わる分野の2領域に分けて教育・研究が行われている。

 政策に関わる分野の研究対象としては、地域福祉の理論と方法、福祉行財政と福祉計画、福祉サービスの組織と経営などがあり、対人援助に関わる分野の研究対象としては、高齢者に対する支援と介護保険制度、障害者に対する支援と障害者自立支援制度、児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度、低所得者に対する支援と生活保護制度などがある。

 社会福祉学部は、社会福祉について専門的に学ぶ学部で、社会福祉学部という名称のほか、保健福祉学部、医療福祉学部、看護福祉学部、人間福祉学部、教育福祉学部などさまざまな学部名称がある。学科やコースで社会福祉学が学べる大学も数多くあり、東洋大や同志社大などでは、社会学部の中に社会学科などとともに社会福祉学科が設置されている。龍谷大 -社会では、これまでの地域福祉学科と臨床福祉学科を統合し、2016年に現代福祉学科を設置した。

 これらの学部・学科では、社会福祉士のほか、精神保健福祉士、介護福祉士、保育士、養護教諭などの養成が行われている。年々進む高齢化と要介護人口の増大で、この分野、特に介護福祉士の需給は逼迫しているが、労働環境や報酬など解決しなければならない問題も数多い。社会福祉士・精神保健福祉士の国家試験受験資格を得るには、こうした学部・学科で、老人・障害者・児童の各福祉論、社会保障論、公的扶助論、地域福祉論、介護概論などを学ぶとともに、社会福祉援助技術についての現場実習を行うことになる。

 また、現代の社会福祉において主流となっている「ノーマライゼーション」(障害者や高齢者が健常者と同じ「普通」の生活を送れるようにすること)の思想から、近年では障害者・高齢者だけでなく児童、困窮する若者への支援や自殺防止といった領域にも広がりを見せている。

社会福祉学科

人間福祉学科
健康福祉学科
保健福祉学科 等

 社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、保育士、幼稚園教諭などの養成を行う学科。保育士など幼児・児童福祉の専門家養成を目的に、教育福祉学科、子ども福祉学科、児童福祉学科などの専門学科を設置している大学も多い。

 社会福祉学科では、 1・2年次で、医学、心理学、社会学、栄養学、介護学、社会保障論、公衆衛生論などを幅広く学んだ上で、社会福祉発達史、社会福祉法制度、生活保護論などの理論科目、児童福祉、老人福祉、障害者福祉、地域福祉などの福祉学基幹科目を学ぶ。援助技術は、学内施設で実習を行った上で、老人保健施設などの学外施設で現場実習が行われる。

《社会福祉学部系統》 Trend & Topic

スクールソーシャルワーカーとは

 社会福祉学部系統の学部・学科で取得できる資格の代表的なものに社会福祉士がある。「ソーシャルワーカー」ともいい、心身の障害や経済・生活環境・家庭上等の問題を抱えた人々が日常生活を送れるよう、必要な福祉サービスを受けるためのサポートを行うことを主な役割としている。中でも、学校現場で子どもたちをサポートする仕事として高い期待を集めているのが「スクールソーシャルワーカー(SSW)」だ。

 いま、日本の学校教員は世界一忙しいとまで言われる一方で、子どもたちを取り巻く環境はいじめ、不登校、貧困、虐待などの問題が山積し、教員だけでは対応しきれない状況となっている。そこで、小中学校や自治体の教育機関に相談員としてSSWを配置する取り組みが進んでいる。

 SSWの主な役割は、子どもたちの社会的な環境を整備すること。たとえば子どもが貧困や虐待といった問題を抱えている場合、SSWは問題の内容に応じた関係部署と連絡を取り、金銭面の援助や福祉支援の方面から解決を図る。文部科学省では平成31年度までにSSWをすべての中学校区に配置(約1万人)することを目標としている。

この記事は「螢雪時代(2017年9月号)」より転載いたしました。

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