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2016年度入試から導入!東京大「推薦入試」vs京都大「特色入試」!(2015年8月)

  • 入試動向分析

2016年の国公立大入試はこう変わる! 【2015年8月】


東京大で「学部別募集」、京都大では「飛び入学」も


いよいよ、あの東京大学が「推薦入試」を、京都大学が「特色入試」を新たに実施する。将来の大学入試のあり方を先取りする方向転換だ。日本の大学の“頂点”が導入する「一般入試で測れない能力を丁寧に評価する」入試とは? その中身や特徴を見ていこう。


※この記事は『螢雪時代・2015年8月号』の特集より転載。(一部、webでの掲載にあたり、加筆・変更を施した)



将来の大学入試のあり方を先取りする“新エリート選抜”


2016年度から、東京大では一般入試の後期日程を募集停止して「推薦入試」を、京都大では「特色入試」を全学部で導入する。その概要を、東京大は表2、京都大は表3に掲載したので、参考にしてほしい。
 東京大はセンター試験(以下、セ試)を課す推薦入試で統一。一方、京都大は学部・学科によりAO入試・推薦入試・後期日程と異なる。しかし、高校での活動・成果や入学後の適性を、書類審査や長時間の選考などで、丁寧に評価する選抜を目指す方向性は共通している。
 募集枠こそ東京大が100人、京都大が約110人で定員の3~4%程度と少ないが、両大学とも、少なくとも新制大学移行後は、通常の受験生に対し一般入試のみで選抜してきたため、大きな方向転換といえる。そして、この2つの入試の重要さは、将来の大学入試のあり方を“先取り”している点にある。
 2019~20年から、大学入試のしくみは大きく変わる予定だ。高校教育と大学教育の連続性(高大接続)を重視し、セ試に代わる「1点刻み」でない共通テスト「高等学校基礎学力テスト」「大学入学希望者学力評価テスト」(仮称)の導入や、一般・推薦・AOの区分の廃止、多面的・総合的な評価を重視した選抜、英語における外部検定利用の促進など、大幅な入試改革の提言が、昨年末に中央教育審議会からなされている。
 東京大・京都大の新方式は、「高大接続」を重視し、世界的な大学間の競争が激化する中、主体的、能動的に学ぶ突出した才能の獲得を目指す点で、こうした変革の先行事例といえるのだ。


表2 東京大学「推薦入試」の概要はこうなっている!


表3 京都大学「特色入試」の概要はこうなっている!



“超高水準”の出願資格と、それを証明する膨大な提出書類は共通


両入試に共通するのは、まず“超高水準”の出願資格だ。「国際科学オリンピック上位入賞者」などの要件は、おもにスーパーサイエンスハイスクール(文部科学省指定の理数系教育重点校。SSH)の研究活動を、高度な語学力(英語外部検定など)や国際的な大学入学資格(国際バカロレアなど)などの要件は、おもにスーパーグローバルハイスクール(文科省指定の国際教育重点校。SGH)の活動を想定しているとみられる。セ試(7~8科目)の基準点も、一般入試合格者に準じるレベル(東京大では約8割以上、医学科のみ約87%)が求められる。また、出願の際には、受験者がアピールする成果等について、本人の貢献度、理解度、自分の明確な将来像など、膨大な提出書類によって証明(エビデンス)を求められるのも共通している。


●東京大「推薦入試」の特徴表1 東京大「推薦入試」入学者に対する“教育上の配慮”の例
選考方法は、全学部とも「出願→1次選考(書類審査)→2次選考(小論文、面接等)→セ試(基準点として)→最終合格」と比較的シンプルだ。出願資格に卒業年度の制限はない。2次選考は、推薦要件や提出書類・資料について、面接・プレゼンテーション・質疑応答などによって、その信憑(ぴょう)性や理解度の深さを測る色彩が強い。
 前期日程のような「科類別(文科1類~3類、理科1類~3類)」募集ではなく、学部・学科単位の募集となる。各高校からの推薦人数は男女1人ずつ。女子比率のアップや、広く全国からの入学者確保が目的とみられる。
 同入試による入学者は、1~2年次は他の学生と同じく教養学部で学ぶ(志望学部・学科に対応した科類に所属)が、「進学振り分け」(3年進級時に本人の希望や学業成績などによって所属学部・学科が決定される)を経由せず、優先的に志望学部・学科に進むことになる。また、担当教員が配置されたり、早期に学部専門科目を受講できたりするなどの配慮もなされる(表1)。


●京都大「特色入試」の特徴
 前述の通り、実施方式が多様だ。8学部でセ試を課す「学力型AO」、医学部医学科ではセ試を課さない推薦、工学部はセ試を課す推薦、そして法学部は一般入試の後期日程として行う。セ試の扱いも、第1段階選抜に利用したり、最終選考で資格試験的に利用したり、合計点に加えたり。出願資格の卒業年度もさまざまで、医学部医学科では高いハードルはあるものの、高校2年生も出願でき、「飛び入学」が可能だ。
 選考方法も東京大と異なり、書類審査に加え、総合問題・学科試験・小論文など、学部・学科の特性に応じた筆記試験の重要性が高い。
 提出書類の中で、特徴的かつ重視されるのは「学びの設計書」だ。単なる「志望理由書」からさらに踏み込み、高校時の興味や活動を踏まえて、入学後に何をどのように学びたいか、卒業後にどう活かしたいかを受験生自身に計画させる。最適の“マッチング”を図ることが目的だ。



一般入試対策とのバランスを考え、初年度は敬遠される?


一方、受験生を送りだす、高校(特に両大学に合格実績のある進学校)の進路指導の先生は、両入試に対し、初年度は「様子見」のようだ。
 SSH・SGHでも、出願資格や推薦要件を満たす該当者は、極めて限られるという。しかも「この入試で合格できるほどの実力があれば、前期日程で十分合格できる」と口をそろえる。
 また、両入試の実施時期は、現役生の学力が急速にアップする時期に当たる。そこで、膨大な提出書類の作成と対策の立てにくい2次選考の準備に注力するのは、一般入試の受験対策を考えるとリスクが高い、との考えが根強い。
 このため、志願倍率は京都大‐法の後期を除き、低めになりそうだ。しかし、最終合格発表が前期日程の前で、欠員が出ても前期の募集人員に上乗せされることから、基準を緩めても募集枠を満たすとは考えにくく、合格者も絞り込む「少数精鋭」入試になるとみられる。


●あえて他大学の参考事例を探すなら?
 選抜方法や出願資格等を考えると、東北大・九州大のAO入試、大阪大‐理の「研究奨励AO入試」などの、合格体験記や過去問などが、ある程度参考になると思われる。



(文責/小林)
この記事は「蛍雪時代(2015年8月号)」より転載いたしました。

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