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夏までの基礎固め【倫理】学習法:年表を羅針盤に教科書を熟読し、思想の相違点を明確にしていく

  • 主要[13科目別]入試に勝つ!インプット学習法
  • 河合塾/中川 雅博先生

1学期半ばから後半へと続くこの時期、難関大志望者にとって何より大切なことは、夏休み以降の得点力UPに向けた学力の土台をしっかり固めることに他ならない。
そのためにはインプット学習に注力し、“憶えるチカラ”を最大限に発揮することだ。
ここでは、志望校合格に直結するインプット学習の重要点と、記憶を定着させる学習アイテムの選び方、そして陥りがちな伸び悩み克服などを主軸に紹介する。
主要科目の特性を踏まえた、実戦的アドバイスに耳を傾けてほしい。

インプット学習、ココがポイント

・教科書の年表で時代背景を確認しつつ、大きな思想潮流をつかむ
・現代の倫理的な課題を、過去の思想家の立場で考えてみる
・さまざまな思想潮流や思想家は、共通点と差異を比較して押さえる

思想家とともに、新旧の倫理的課題を考える姿勢を育む

 倫理を学ぶ基本的な態度として、まずは「思想は難しい言葉で抽象的なことを語っている」という学習を妨げる偏見は捨ててほしい。そう見えるのは、私たちが生きている時代とは異なる時代の現実を前に新しい思想を紡ぎ出そうとしたからである。それゆえ、思想を理解するには、その思想家が置かれた社会状況を知らなければ始まらない。それには、歴史的な大事件が併記してある教科書の年表が役立つ。これを見ながら教科書の記述を読み進め、思想家たちが何をどのように問題にしていたのかを比較しながらつかんでいこう。同時に、過去の思想家が知らない現代の倫理的課題を彼らならどう考えるかも折に触れ考え、現代と過去を比較しておきたい。
 倫理の学習の手かがりは、案外、学校の行き帰りといった日常にも転がっているものだ。こうした学習姿勢が、倫理の学習を、単なる用語の暗記を中心としたものではなく理解を深める主体的な学習にし、ひいては得点力をアップさせるのである。

記憶を定着させる+α勉強法

メディアの利用や話し合いを契機に、思想や課題を印象づける

 教科書にあるものだけが倫理的課題ではない。勉強の息抜きに見る、映画・小説・アニメなどにも倫理的課題が潜んでいる。なぜなら、倫理とは人間が関わるあらゆる事象であり、ヒューマンドラマを扱う限り倫理的課題を避けては通れないからだ。それゆえ、受験生も現代のあらゆるメディアを利用して倫理的センスを磨くとともに、発見した倫理的課題を友だち・祖父母・両親・兄弟姉妹と話し合って、「他者の視点から物事を考える」という姿勢も獲得してもらいたい。

インプット学習に欠かせない記憶アイテム

●教科書
使うコツ: 学習の中心となる思想史の部分を熟読して、理解を深める

 いずれの教科書も、その記載内容は大きく①青年期の心理を中心とした心理学説、②古今東西の倫理思想史、③現代社会論に分けられるが、学習の初期段階では、歴史的展開に注意しながら②の理解を深めるのがよい。

●国語辞書
使うコツ: 語彙力の育成と理解力を高めるため、頻繁に活用する

 倫理で重要なのは、重要語の暗記よりも思想の理解である。これは、わからない言葉があればすぐに国語辞書で調べる習慣を身に付ければ、言語感覚が磨かれ微妙なニュアンスの違いがわかるようになり深められる。

●用語集
使うコツ: 学習記録帳として活用して、学習の漏れや偏りを防止する

 用語集は熟読するものというよりも、たとえば語句の横に「正の字(画線法)」を付けるなどして、後から見て学習の濃淡が客観的に自分でも確認できるもの、あるいは学習の漏れや偏りを防止するものとして活用しよう。

●一問一答集
使うコツ: 学習初期段階における、習熟状況の確認のために利用する

 倫理は思想の理解が最重要ではあるが、最低限の用語を覚えていなければ理解も深まらない。まずは教科書の太字レベルの用語が暗記できているかを、一問一答集を使って教科書を読解した直後や空き時間に確認しよう。

教科書の通読・熟読を中心に据えて、基礎学力を固める

 倫理の学習は、教科書の理解に始まって教科書の理解に終わると言えよう。
 まずは教科書の裏表紙にある年表を参考にして、歴史に沿って思想史の部分を中心に教科書の本文を素読しよう。倫理は先に学んだことが後になってわかることも少なくないから、学習の初期段階では、とにかく学習範囲の全体像をつかむことが必要だ。ただ、教科書を読むとわかったような気になる悪癖は避けたい。最近のセンター試験は、思い込みによる誤解や表面的な学習では見逃してしまう知識を問うこともあるから、曖昧かつ不確かな言葉を国語辞書や用語集で確認しながら、もう一度じっくり、注を含め教科書の全記述を通読しよう。同時に一問一答集を使って知識を確認し、間違ったものがあれば、再び教科書の関連箇所を熟読しよう。これにより思想の理解は深まり、本番で正答するための知識も貯まる。
 基礎学力がしっかりしていれば得点力は短期間で飛躍的に伸びるから、実戦的な対策は夏休み以降に講じればよい。

インプット中の悩み、Q&A

 日本思想などの漢字の用語は覚えられるのですが、外国の思想は片仮名の言葉が多いので苦労しています。


 日本思想と比べれば外国の思想は片仮名語が多いものの、人名を除けば、覚えなければならない片仮名語は案外少ないはずです。覚えにくいものは、その用語を声に出しながら何度も紙に書き、体感で覚えるようにしよう。また、覚えるべき片仮名語の中には、たとえばプシュケー(psychē)とpsychology(心理学)のように、ギリシア語でも現代英語から内容も類推できるものがあり、用語集に解説されていることもあるから見てみよう。

 教科書には多くの著作が記載されていますが、現実問題として著作名も全部覚える必要がありますか?


 過去には適当な著作を選ぶ単純な4択形式の出題もありましたが、近年は著作の内容を知らないと選択肢の正誤が判断できない、難易度の高い出題も増えていますから、教科書にあるものは、コラム中のものでも基本的にすべて覚えましょう。ただし現実的には、代表的な思想家であっても1~2つ程度(教科書の本文に記載されているものは、その簡単な内容も覚える)の著作、マイナーな思想家の著作は余力があれば覚える程度で十分だと思います。

この記事は「螢雪時代(2017年6月号)」より転載いたしました。

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