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木村達哉×安河内哲也 特別対談 第二弾「英語学習論」

  • 特別対談 第二弾 英語学習論
  • [2014/5/1]

力を高めるためには、何といっても音読学習が効果的だ。
確かにそうだ。音読の効用を一途に信じてきた人も多いだろう。
しかし、ただ英文を声に出して読めばいいわけではない。
とにかく音読すればいい。そんな暴走気味の“音読ブーム”に対し、安河内哲也先生は「行き過ぎている」と警鐘を鳴らす。
『蛍雪時代』4月号に続く対談第二弾では、木村達哉先生を聞き手とし、過熱する音読ブームの問題点、正しい音読のやり方、そして、本当の英語力を身につける学習法について、語っていただいた。

この記事は「蛍雪時代(2014年5月号)」より転載いたしました。

ブームに躍らされるな! “棒読み”音読は効果なし

木村
僕らはよく、「どうすれば英語ができるようになりますか?」という質問を受けますが、そこには「どうすればラクに成績を上げられるか」というニュアンスを感じることが多いんです。僕は、ラクして英語力をつけようなんて姿勢は甘いと思うのですが。


安河内
私は、「ラクしたいなら正しい方法で勉強せよ」と言っています。実は、間違った方法で英語学習を続け、成果が上がらず苦戦している人がとても多い。間違った方法でいくらやっても力がつかないのが、英語という科目の恐いところですね。


木村
近年は、音読が大流行していますよね。


安河内
私は20 年以上、音読学習の効用を唱えてきましたが、今の音読ブームには危機感すら感じています。手法にこだわらず、音読を妄信している学習者が非常に多い。音読は、正しい方法でやれば非常に効果の高い学習法です。
しかし、目的や手法を理解しないまま無意味な音読をダラダラと続けても、まったく効果はありません。やり方を間違えれば、マイナスにさえなるのです。


木村
間違った音読というのは、具体的にはどのようなものでしょうか?


安河内
いわゆる“棒読み”ですね。英文の意味をよく理解しないまま、ただ声に出して読んでいるだけ。正しい発音を知らないまま、自己流の発音やイントネーションで音読する。こんな状態でいくら音読をくり返しても、英語力はつかない。時間のムダです。


木村
音読をゴールだと勘違いしている人がいますが、音読は英語学習の手段に過ぎません。


安河内
音読の目的は、英語を英語のまま理解し、ルールを自動的に使いこなす力をつけることです。例えば、楽器が弾ける人は、楽譜を見れば自動的に指が動きますよね。言語の習得も同じで、読んだ瞬間に理解できる、聞いた瞬間に理解できる、という“自動化”がもっとも重要です。そして、自動化の訓練に最適なのが、音読なのです。


記事画像

英文の内容を理解し、正しい発音を知ることから

木村
楽器を習うときには最初に楽譜の読み方を覚えるのと同じで、音読の前にもやるべきことがありますよね。


安河内
まずは、英文の構造や意味を理解し、発音も含めて語彙をチェックし、不明点をなくしておかなければなりません。


木村
棒読みを防ぐためですね。


安河内
ええ。最初から英語を英語のまま理解するのが難しいなら、あえて、センスグループごとに日本語に置き換える“サイト・トランスレーション”から始めるといいでしょう。例えば、This is the report / これはレポートです /that was submitted / 提出された / by mycolleague / 私の同僚によって / yesterday. / 昨日、というように、声に出して練習するのです。ノートに書く必要はありません。


木村
意味を理解することに加え、CD などで正しい発音を確認することも欠かせませんね。


安河内
CD の音声をマネしながらくり返すのが“リピーティング”です。センテンスやセンスグループごとに、最初はスクリプトを見ながら、慣れてきたらスクリプトを見ずに行います。ただし、ネイティブの発音をマネすることに集中するあまり、英文の意味の理解がおざなりにならないよう注意が必要です。


木村
発音はやたらいいけど内容を理解していない、という生徒がときどきいますからね。


安河内
正しい発音で音読できるようになったら、“リード&ルックアップ”に挑戦です。1 回目はスクリプトを見ながら音読し、2回目は上を見て、つまりスクリプトを見ずに音読します。1 回目に英文を必死で覚えようとするため、必然的に、構造や内容、単語などを強く意識します。そのため棒読みになりにくく、文法にも強くなります。


木村
いわゆる“暗唱音読”という方法ですね。この方法は、集中力もつきます。


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さまざまな手法にバランスよく取り組む

安河内
書く力を鍛えるためには、“音読筆写”も効果的です。1回目はスクリプトを見ながら音読し、2回目は音読しながらその英文を書き出します。手と音の連動を意識するといいでしょう。


木村
これは、英作文対策としても有効ですね。僕は、音読するスピードを上げていく“加速トレーニング”も授業に取り入れています。


安河内
実は、木村先生の授業を拝見してから、私も授業に導入しているんですよ。10 回ほど、すごい速さで音読するんですよね。ただし、これは処理速度を高めるためのトレーニングなので、内容を理解したうえでやるのが鉄則です。


木村
そうですね。意味もわからず猛スピードで読んでもまったく意味はありませんから。


安河内
慣れてきたら、スクリプトの文字を追いながらCD の音声に被せて音読する“オーバーラッピング”、さらには、スクリプトを見ずにCD の音声を追いかけて音読する“シャドーイング”をやります。


木村
シャドーイングには賛否両論があります。奨励していない国もあるようです。


安河内
シャドーイングは発音矯正とリスニング力の養成には非常に効果がある方法だと思います。一方で、意味の認知が甘くなることがあります。とくに初学者は、「音に集中するあまり意味の理解ができていない」という症状に陥ってしまうことがあるのです。


木村
そういう生徒、多いですよね。


安河内
どんな方法も万能ではないですから、それぞれのメリットとデメリットを知り、バランスよく取り組むことが大切です。英文の内容をしっかりと理解しながら、正しい発音で、さまざまな手法を交えて音読する。これが、正しい音読の手法なのです。


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“正しい音読”で英語を自分のものにする

安河内
音読を中心に英語学習法について話してきましたが、最低限の単語・熟語や文法などの知識を覚えたら、あとは“正しい音読”で短文ごとに習得していけば、英語力は自ずと身につきます。


木村
知識を定着させたければ、とにかく使うこと、アクティビティが必要です。発音も文法も語彙も文構造も統合して、フレーズやセンテンスを丸ごと自分のものにする。僕はよく、生徒に“Many pieces of English”、つまり、“たくさんの英語のカケラ”を頭の中に貯めておけ、と話しています。「この表現いいな、使えそうだな」というものに出会ったら、音読して書き出して、どんどんストックを増やしていけと。


安河内
その心がけは非常に大切ですよね。「入試には発話する問題は出ないから音で学ぶことは必要ない」という考え方は、今すぐ捨ててほしい。英語学習のゴールは、入試問題が解けることではありません。真の英語力、つまり、英語を読み、書き、聞き、話すための知識とスキルを習得すれば、結果として、大学入試でも高得点が取得できるのです。


木村
 “真の英語力の習得”というのは、漠然としたゴールですよね。日々の学習のゴールとしては、何を目指せばいいのでしょうか?


安河内
まず、短文学習については、“ショートプレゼンテーション”をゴールにします。一つの英文を学んだら、今回紹介した方法で音読をくり返し、最終的には、スクリプトを見ずに自分の言葉として発話できるようにする。もちろん、正しい発音で、ネイティブに近いスピードを目指します。


木村
ショートプレゼンテーションができるようになれば、どのような問題形式でも怖くない。整序問題対策や空所補充問題対策といった小手先の対策は、本当の入試直前期に仕上げとしてやればいいんです。


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一題の長文をとことん読み込み、マスターする

安河内
一方、長文学習については、“耳で聞いて100% 理解できる”をゴールにします。耳で聞いて内容を理解できるということはつまり、日本語を介在させることなく英語を英語のまま理解できるということです。


木村
聞いて理解できれば、設問にも対応できるということですね。


安河内
ええ。ナチュラルスピードで英語を聞いて内容を理解できるのであれば、大学入試レベルの問題は難なく解けるはずです。もちろん、ここまで到達するのは決して容易なことではありませんが、一つの長文を徹底的に読み込み、聞き込み、音読し、自分のものにするのだという姿勢で、勉強してほしいのです。


木村
同感です。「とにかくたくさん問題を解けばいい」と思っている受験生が非常に多いですが、それは違う。長文問題を一題解いたら、その長文を完全にマスターするつもりで、たくさんのアクティビティを通して貪欲に吸収してほしいですね。


安河内
そのためには、英語学習時間の少なくても50 %は、音読学習にあてる必要がある。


木村
そう。英語は、黙々と静かに勉強していても決して伸びません。


安河内
そして、受験対策という姿勢で英語学習に臨んでいる限り、成績はある程度までしか伸びない。最初に「ラクしたいなら正しい方法で勉強せよ」と述べましたが、ここで紹介した正しい方法で勉強すれば、結果的には、短い時間で効率良く、言ってみれば“ラクに”、英語力を伸ばすことができるのです。


木村
なるほど。音読は楽しいものです。英語学習を楽しむ気持ちを忘れずに、やるからには本気で、がんばってほしいと思います。



木村 達哉
灘中学校・高等学校英語科教諭

教壇に立つ傍ら、『キムタツ式 英語長文速読特訓ゼミ』シリーズ(旺文社)をはじめとした参考書や英単語帳などを多数執筆。また、「英語教師塾」を立ち上げ、講演や勉強会など全国的な活動を展開している。

安河内 哲也
東進ハイスクール英語講師

上智大学外国語学部英語学科卒。大学受験生に向けた授業から、執筆活動、テレビ、ラジオ出演までこなす、カリスマ的人気講師。文部科学省の「英語教育の在り方に関する有識者会議」の委員も務めるなど、活躍の幅は広い。

撮影/荒川潤
スタイリング/眞藤伸子
ヘアメイク/泉雅人
ライター/笹原風花

この記事は「蛍雪時代(2014年5月号)」より転載いたしました。


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