
「21世紀の看護」を開発・普及する
「自我作古」「独立自尊」の人材を育てたい
■慶應義塾の看護教育
慶應義塾における看護教育は、今から90年以上も前の1918年(大正7年)、当時すでに医療における看護師の役割を重視していた慶應義塾大学医学部初代学部長であった北里柴三郎の卓見に基づいて「看護婦養成所」として始められました。このことは、慶應義塾の建学の精神に根ざした独立自尊の人格育成と「実学」の理念とを見事に具体化する一例として、広く慶應義塾内外から高く評価されてきました。
看護婦養成所は、その後慶應義塾大学医学部附属厚生女子学院、慶應義塾看護短期大学、そして2001年より慶應義塾大学看護医療学部へと名称、機構の変遷を経ながら、「深い人間愛と実践力」に満ちた伝統として引き継がれ、発展してきています。
■看護医療学部の教育の特徴
現在の看護医療を取り巻く状況は、人々の健康への強い意識の高まりとともに、以前にも増して“安全で安心できる医療”を求めるようになった事により、大きく変わりつつあります。慶應義塾大学看護医療学部は、そんな現代人のニーズに応えるとともに、さらなる発展を先導できる看護者として、様々な領域から社会の発展に寄与できる人材の育成を目指しています。
看護医療学部の教育の主な特徴の一つは、10学部(文、経、法、商、医、理工、総、環、看、薬)を有する総合大学の一学部として、他学部の学問分野と情報交換・共同研究等をしながら、“広い視野”で物事を考えることができる学習環境を整えていることであるといえます。
一例をあげると、人々の健康に関する最新の情報をどのように活用するかについて、総合政策学部や環境情報学部の授業を一緒に履修することによって、異なる視点・違う価値観から健康について考え、それにより多様性を実践できるようになるのです。
特徴の2つ目は、医学部・薬学部と一緒になって、医療事故や医療倫理等について検討を重ね、それぞれの専門性と協調すべき点について深く追求することができます。これらによって、医療への自己の存在への認識と共生・協調することの重要性を認識するようになります。
■看護医療学部を目指す人への期待
慶應義塾には「自我作古(我より古を作す)」という言葉があります。『慶應義塾豆百科』によると、この言葉の意味は、“これから自分がなさんとする事は前人未到の新しい分野であるけれども、予想される困難や試練に耐えて開拓にあたるという、勇気と使命感を示した言葉”として理解されています。
90年の歴史ある慶應義塾の看護教育は、21世紀の看護を支え・先導していくことを目指して、発展してきました。そして2001年に開設された看護医療学部は、「これからの看護」を開発し、それらを普及させていく使命を持っています。自我作古(我より古を作す)、独立自尊の人格形成を目指したい方々のchallengeをお待ちしています。
慶應義塾大学
看護医療学部長
山下 香枝子先生
(やました かえこ)名古屋大学医学部附属看護学校卒業、聖路加看護大学大学院看護学研究科単位取得退学。名古屋大学医学部附属病院、慶應義塾大学医学部の看護婦を経て、看護短期大学専任講師、助教授、教授、2000年学科長。2001年看護医療学部教授。2007年学部長に就任。『新しい看護像のデザイン』『呼吸器疾患患者の看護』など共著書多数。
