
医療専門家の職域拡大に対応し、
看護、検査、放射線などから
リハビリ、栄養、福祉へと拡大
少子高齢化による老人患者の増大、高度先進医療の拡大、重要性を増す治療後の介護・リハビリなどの医療環境の変化で、医療専門職には、介護・福祉・栄養などとの連携が欠かせなくなってきている。
■各学科の内容
●看護学科
看護師養成を主に、保健師、助産師資格が取得できるカリキュラムを組んでいるところも多い。
看護学科で学ぶのは、看護の基礎技術や理論を内容とする基礎看護学と、それを応用していく応用看護学、看護を社会的に発展・機能させていく機能看護学の3つ。
基礎看護学では、看護とはなにかがテーマ、人間と人間の生活を考察することで、より健康に生活することを考え実践する方法を研究する。多くの大学では、脈拍・呼吸・血圧の測定や、病床環境・身体の清潔、消毒や滅菌、包帯やベッドメーキングの仕方などを実習と組み合わせて学んでいる。
応用看護学では、小児、母性、成人、老人、地域、精神の各看護学を、座学(講義)と病院での実習を組み合わせて順に学んでいく。また、機能看護学では、看護管理学、看護教育学などを学ぶ。
●診療放射線(技術)学科
診療放射線技師を養成する学科。専門科目として、理化学技術系科目(放射線物理学、核医学機器工学、放射線計測学、放射線生物学、放射線管理学、放射化学など)、電気電子技術系科目(画像工学、自動制御工学、医用電子工学など)、診療現場技術系科目(放射線写真学、X線撮影技術学、放射線治療技術学、放射性同位元素検査技術学など)を、実習と組み合わせて学ぶのが基本。解剖学や病理解剖学、公衆衛生学などの医学・臨床系科目の修得も行われる。
●臨床検査(技術)学科
臨床検査技師を養成する学科。人体の構造と機能(解剖学や生理学など)、医学検査の基礎(病理学、微生物学、血液学、免疫学など)、医療工学・情報科学などを専門の基礎として学び、専門分野に進む。
専門科目は、臨床病態学、形態検査学(血液検査学、寄生虫検査学、染色体検査学など)、生物化学・分析検査学、病因・生態防御検査学(微生物検査学、臨床ウイルス学など)、生物機能検査学、検査総合管理学などからなり、いずれも実習が必須となっている。
●作業療法学科
作業療法士を養成する学科。作業療法士の援助の対象は、身体障害、精神障害、発達障害、老年期障害などと非常に幅広いため、それら障害別に体系化されたカリキュラムが編成されているのが一般的。
1年次に基礎科目・教養科目を履修するとともに、早期臨床体験を目的に、見学型の臨床実習が多くの大学で実施されている。2年次では各障害別の専門領域を講義で学び、3年次からはそれらを臨床実習と組み合わせて学ぶ。4年次では臨床実習を総合的に行い、卒業研究を実施する。
●理学療法学科
理学療法士を養成する学科。理学療法士は、身体に障害のある人に対し、治療体操などの運動や電気刺激、マッサージなどを施しで、運動能力の回復を手助けするため、医学、栄養学、薬理学、運動行動学などにわたる幅広い学問が必要。患者に向き合うためのコミュニケーション学、心理学なども必須となっている。
専門科目では、運動障害、神経障害、老年期障害、内部障害などの障害別に一般臨床医学から理学療法の専門的な評価・治療までを学ぶカリキュラムが組まれている。臨床実習を1年次から取り入れ、4年次で卒業研究を行うのが一般的だ。
●社会福祉学科
社会福祉士の養成を主に、精神保健福祉士などの養成を行う。
1・2年次では、医学、心理学、社会学、栄養学、介護学、社会保障論、公衆衛生論などを幅広く学ぶ。専門科目は、社会福祉発達史、社会福祉法制度、生活保護論などの理論とともに、児童福祉、老人福祉、障害者福祉、地域福祉などの基幹となる科目を学ぶ。援助技術については学内施設で実習を行うほか、学外の障害児・者施設、老人保健施設などで実習が行われる。
精神保健福祉士の資格をめざす場合は、社会福祉学科に設置されている科目のうち、大学が指定する精神保健福祉学などの科目を履修する必要がある。
●(管理)栄養学科
予防医学の観点から重要性を増している栄養士、管理栄養士の養成を行う。
栄養士・管理栄養士については、医学部や歯学部、薬学部などと同様、新しいモデルカリキュラムが2002年度から実施されている。
それによると、専門教育は、専門基礎分野と専門分野の2つからなり、専門基礎分野では、「社会・環境(人間と生活)と健康」「人体の構造と機能、疾病の成り立ち」「食べ物と健康」の3分野について学ぶようになっている。
専門分野では、「基礎栄養学」「応用栄養学」「臨床栄養学」「公衆栄養学」「栄養教育論」「給食経営管理論」を学ぶ。
徳島大が予防環境栄養学、国際公衆栄養学といった新分野を、静岡県立大もがん、糖尿病、アルツハイマーなどの生活習慣病を栄養学的、遺伝学的に解明するといった新分野をそれぞれ切り開くなど、栄養学は今後、医学や薬学、運動生理学と結びついてますます発展していくことはまちがいない。
■医療専門家の仕事内容と国家試験
●看護師
病院などで、検温、血圧測定、薬剤の管理、衛生管理などを行うほか、患者に適切な看護を行うのが仕事。
最近では、がん看護や精神看護などの専門看護師、WOC、重症集中ケアなどの認定看護師など、専門・認定看護師が出現し活躍を始めている。
また、社会福祉施設などで利用者の精神衛生面での健康管理や訪問看護、介護福祉法のキーパーソンとされるケアマネジャーとして活躍している例が多い。
現在看護師数は約70万人。准看護師・助産師・保健師を合わせると約118万人。国家試験の受験者は約5万1千人。合格率は90.3%である(2008年実施)。
●保健師
保健所、学校、市町村役場などで健康診断や健康指導を行ったりするのが仕事。個別に家庭を訪れて健康指導を行ったりもする。地方自治体の公務員として働くケースがほとんど。国家試験の受験者数は11,055人、合格者は10,066人、合格率は91.1%である(2008年実施)。
●助産師
産婦人科などで、妊産婦に対して、保健指導、育児相談、分娩の介助などを行う。最近では、地域住民に対して保健指導を行うなど職域が拡大している。2008年実施の国家試験の合格者は1,600人、合格率は92.9%である。
●診療放射線技師
X線を人体に照射して得た病巣の画像から、人体と病巣の関わりを正確に読み取り、検査や診断、治療のデータを医師に提供するのがもともとの仕事。
最近では、診断機器の発達で、ラジオアイソトープを利用した検査や、リニアアクセラレータによるガン治療、MRIや超音波など、放射線を使わない機器を使った検査が圧倒的に増え、それとともに、カバーしなければいけない医学的知識も飛躍的に増えている。2008年実施の国家試験の合格者は1,789人、合格率は73.2%である。
●臨床検査技師
病院や検査センターなどで、微生物、血清、血液、病理、寄生虫などの検査を行い、診断や治療の基礎データを医師に提供するほか、心電図の測定や脳波の検査も行う。
最近では、こうした検査データ作成が病院外の検査会社などで行われることが一般的で、病院での活躍の機会は減っている。2008年実施の国家試験の合格者は2,947人、合格率は73.7である。
●理学療法士
骨折などの回復期にある患者や脳卒中などで神経障害がある患者などに、運動療法や、電気・光線療法、温熱・寒冷療法、マッサージ療法などを用いてリハビリテーションの手助けをするのが仕事。
現在では障害者に限らず、健康医学、スポーツ医学、福祉医療などでは欠かせない専門家とされている。
現在、理学療法士は全国に約3万7千人いる。2008年実施の国家試験の合格者は6,924人、合格率は86.6%である。
●作業療法士
身体や精神に障害をもった人、高齢により心身に障害をもつ人に対して、手芸や造園、工作などの作業を行わせることによって、機能回復のための援助を行うのが仕事。
日常生活や心理面からサポートを行っていくことも大切で、その点でも豊かな人間性をもつことが必要とされる。
現在作業療法士は全国に約2万3千人いる。2008年実施の国家試験の合格者は4,257人、合格率は73.6%である。
●視能訓練士
斜視や弱視の子どもたちの視機能回復、視力の低下した高齢者を対象にリハビリテーション指導を行う専門家。
現在、視能訓練士約5千4百名のうち96%が医療機関の眼科・眼科医院で活躍。その他は保健所や学校、福祉センターなどで活躍している。2008年実施の国家試験の合格者は648人、合格率は94.9%である。
●言語聴覚士
失語症・難聴、発声障害、言語発達の遅れ、吃音など、音声・言語・聴覚機能に障害をもった人に言語訓練・指導・援助などを行う専門家。
1999年度に国家資格になったばかりで資格者は現在約9千人。言語訓練が必要とされる158万人をカバーするには圧倒的に足りないといわれている。2008年実施の国家試験の合格者は1,788人、合格率は69.5%である。
●臨床心理士
カウンセラー、心理カウンセラーなどとよばれる「こころの援助」の専門家。医学部で精神医学を修めた精神科医と違い、心理学的知識と心理検査などの技能を用いて、精神的に悩む人たちの相談にのり、解決へと導くのが仕事。
資格を取得するには、大学院で心理学を専攻し、修了後1年以上の心理臨床経験を有することが必要。2008年実施の国家試験の合格者は1,519人、合格率は68.9%である。
●管理栄養士
病院や社会福祉施設、児童施設など、さまざまな施設で、栄養学に基づいた献立作成、調理方法の改善・指導を行う食と栄養の専門家が栄養士。
これに対し、管理栄養士は病院などで患者のために医師や看護師と協力して栄養指導を行ったり、公衆衛生の面から栄養給食関連のマネジメントを行ったり、健康の保持増進と疾病予防のための栄養指導などを行ったりする高度な栄養専門家を指す。
病院やリハビリ施設、社会福祉施設などで、患者の回復や病気予防に携わる専門家として管理栄養士の役割は年々重要さを増している。2008年実施の国家試験の合格者は7,592人、合格率は35.2%である。
●社会福祉士
身体や精神の障害で、日常生活に支障がある人に対し、福祉に関する相談に応じたり、アドバイス、指導、援助を行ったりする。
活躍の舞台は非常に大きく、老人福祉施設や障害児・者施設では生活指導員となり、都道府県や市町村に置かれた社会福祉協議会では、住民のための福祉相談の窓口となり、福祉サービスプログラムの企画・運営に携わる。また都道府県庁や市町村役場、福祉事務所などではケースワーカー、病院や保健所などの医療機関では、医療ソーシャルワーカー(MSW)として活躍する。2008年実施の国家試験の合格者は13,865人、合格率は30.6%である。
●精神保健福祉士
偏見の目で見られることが多い精神疾患者の社会復帰を手助けするのが仕事。医療機関の精神科、保健所、精神障害者の福祉施設などに所属して、精神疾患者の就労、各種給付制度などの相談、支援制度の利用など、退院後の生活についての助言・指導などを行う。2008年実施の国家試験合格者は4,456人。合格率は60.4%である。
●介護福祉士
身体上または精神上の障害があるために、日常生活に支障のある人に対して、入浴・排泄・食事その他の介護を行い、その家族などに介護に関する指導を行うのが仕事。
身体障害者更生施設や老人ホームで専門家として働くほか、市町村や社会福祉協議会等に所属するホームヘルパーとして介護や在宅介護の指導にあたる。2008年実施の国家試験合格者は73,302人。合格率は51.3%である。
