受験科目にもあり、高校3年の時の苦手科目でもあったという「日本史」と「世界史」、「化学」の1年を通しての克服スケジュールを教えていただけますか?

4月から2月までの年間のスケジュールは、こんな感じでした。
4月 学校の勉強 (化学・日本史・世界史)
5月 学校の勉強
6月 学校の勉強
7月 学校の勉強 学校の定期試験の点数は全く良くない。
8月 社会予備校(代ゼミ)通い ・学校の補習
9月 社会:通信添削開始に備え総復習
10月 社会Z会通信添削開始
11月 社会Z会通信添削 ・ 理科まとめ資料作り
12月 社会&理科センター試験対策 ・社会通信添削 センター模試の結果最悪。
1月 社会&理科センター試験対策 実際のセンター試験はまあまあ出来た。
2月 社会の東大向け勉強(Z会通信添削)
3月  





後輩のみんなに、「日本史」と「世界史」、「化学」の学習法のポイントをアドバイスしていただけますか?

日本史1B(センター試験・慶應入試・東大入試に使用)
:基本的には授業のノート・テキストを繰り返し読むことです。特にセンターは資料がよく出題されるので「資料用問題集」を購入して解いたり、教科書でも本文よりも欄外の脚注あたりのニッチな部分からの出題も多いとのことだったので、普通なら読まないようなところにも注意して読んでいきました。反対に東大入試は大きな流れを問われるので、有名な歴史家・網野喜彦氏の「日本社会の歴史」(岩波新書)の上・中を読んだり(下巻は受験後に刊行された)、駿台予備校の有名な先生である安藤達朗先生の著作を読んだりして、歴史を「流れ」に着目して見ていったのです。このセンターと2次のメリハリをつけた勉強がポイントかと思います。

世界史1B(東大入試)
:東大の2次試験のみの使用だったので、勉強の比率としては日本史:世界史=7:3程度になってしまいました。そのためもっとも苦手な科目になってしまってもいました。東大の世界史は特徴的であり、450字の大記述1題と数十字のミニ記述が数題と、あとは全部1問1答です。どの受験生にとっても1問1答で確実にポイントを稼ぎ、あとはどれだけ450字記述で粘って部分点を取れるかという勝負になってくるのですが、僕は9月に素晴らしい問題集と出会いました。森本哲司「世界史攻略ノート38」(代々木ライブラリー)です。これは350字程度の大記述、150字程度の小記述、1問1答と様々な設問がちりばめられた問題集であり、まるで東大入試のためにつくられたかのような素晴らしい構成になっていたので、繰り返し演習しました。また代ゼミの祝田秀全先生という素晴らしい方の講義を夏・冬休みに拝聴したことも大きなポイントでした。彼の講義は受験のためとは思えないものであり、歴史に新しい物の見方を吹き込むといった感じだったのです。そのため論述問題においてオリジナリティーのある見方をしていくことが身に付いたと思います。勉強のポイントとしては、自分にとってはあまり使わない科目だったのでかけられる時間が少ないことを十分考慮して、「これだけはやっておく」という最低限のラインを定めることでしょうか。僕にとっては前述の問題集でした。それだけで足りるわけではないのですが、勉強のベースラインとしての役に立ちました。

化学1B(センター試験のみ)
:もともと理科は小学生の時から苦手でした。実際にいまでも苦手だし、高3の12月の最後の定期試験も53点(100点中)というお粗末な点数だったと記憶しています。授業にもさっぱりついていけませんでした…。それが改善されたのがある1冊の優れた参考書との出会いでした。それが照井俊「きめる! センター化学1B」(学研)。いまも手元で読み返しながらこの文章を書いているのですが、いま読んでも素晴らしい。化学の初心者向けに書かれており、「センター80点ゲット」と目標にしています。この80点というのがミソで、極力難しいところをそぎ落としているのです。そのため100点は狙えないがそこそこはイケル。僕は文系でありセンター試験にしか化学を使わなかったので、その程度で十分でした。この参考書を何度も何度も繰り返し勉強しました。はっきり言ってこれしかやりませんでした。そしてセンター直前の冬休みに入ってからはセンターの過去問と予想問題集をひたすら解きまくったのです。化学は比較的毎年似たような問題構成になっているので、繰り返し問題を解くことで試験形式に慣れることができました。ポイントとしては世界史同様、自分の苦手科目&時間をかけることのできない科目と認識し、100点を狙わずに80点をねらった勉強をしていく、つまりポイントだけをきっちりおさえておくことだろうと思います。

(参考)
結果的には・・・
日本史:センター83点。慶應入試・東大入試ともによく書けた。
世界史:完全とは言えないが、まあ合格点。
化学:センター86点。上出来。模試では60点台がザラだったので。






今の、この時期(4月)での「受験の心構え」を、後輩の受験生にお願いします。

よく考えたら受験まであと10ヶ月程度しかありません。12月がセンター試験の準備に追われることを考えてみれば、実質4月から11月までの8ヶ月間が最後の勝負の時期と言えます。ここから先はあっという間に時間が流れていきます。というのはやらなければならないことが飛躍的に増え始め、自分の思ったとおりの勉強がなかなかできないからです。そんな中できっちり勉強をしていくためには、自分の目標をしっかりと設定・認識しましょう。たとえば夏休み明けにはどうなっていたいのか? 受験の当日にはどうなっていたいのか? ここで出来れば失敗した自分の姿を思い浮かべてみて下さい。合格発表の当日。発表を自分で見に行くが、自分の番号はない・・・。周りは合格して喜ぶ人間ばかりが目に映る。ああ、こんなことならもっと勉強しておけばよかった。出来ることなら1年前に戻りたい・・・。ところがいまなら戻れるんです!! いまのあなたは不合格となった未来からタイムマシンでもどってきたのです。さあ、こうなったら同じ過ちを繰り返さないためにも、勉強するっきゃないよね!






「たとえば夏休み明けにはどうなっていたいのか? 受験の当日にはどうなっていたいのか?」というですが、ご自身は、どんな目標を設定されていましたか?

僕は受験にあたって一つのルールを自分で決めていました。それは「決して言い訳しない、決して後悔しない」ということです。人間は弱い存在なのですぐに言い訳したがります。僕もテニスの試合で負けたり学校の成績が悪かったときなどは、「今日は体調が悪かったから」とか「本気でやらなかったからなあ」などとすぐに言い訳するような人間でした。でも受験に関してはそれを自ら禁じました。落ちても一切言い訳はしない。自分に言い訳させない。高校3年生になっていつの日かそう決意していました。

具体的な勉強計画としては、完全に東大に絞った勉強は9月の夏休み明けから開始しようと考えました。そのため1学期と夏休みの内にある程度は完成させておきたい。でも全教科を完成させるのは無理なので、僕は目標を「得意教科をさらに伸ばす」ことに定めました。具体的には英・数・国を受験可能レベルまで引き上げておくことです。というのも、これら3教科は比較的完成に時間がかかる一方で一回レベルを高めてしまえば簡単には落ちないからです。苦手教科の社会と理科は暗記科目であり、1度覚えても受験までには忘れてしまうと考えて9月以降に回したという理由もあります。

また最終となる受験当日までには、「言い訳をしない」というルールを守るために、悔いのない勉強をしようと考えていました。要するに、受験当日までに自分の限界まで勉強したという状態になっておくべきだと。

そして受験当日を迎えました。初日の最初の科目、国語の解答用紙が配られて試験開始のブザーを目を閉じて待っているときに、僕はこれまでの自分の勉強を振りかえってみました。その時に真っ先に浮かんだのは次のような気持ちでした。
「あー、よく勉強したなあ。これだけやったんだから自信もっていこうよ。誰よりも勉強してきたし、少なくとも自分では限界までやった。これで落ちたら諦めもきくさ。これだけ勉強して落ちるんならもう一生受からないだろうから、精一杯やろう。」
自分でも不思議なほど落ち着くことができました。そしておかしな話ですが、テスト開始を待つこの時間に「合格」を予感できました。そして実際に合格しましたが、やはりテスト当日にそれまでの自分を振り返って、自分に自信を持てたことが大きかったと思います。






最初の質問に関連すると思いますが、苦手とは逆の得意科目であった「英語・数学・国語」の年間スケジュールは、どんなでしたか?

つぎのように取り組みました。
4月 Z会東大マスターコース受講(英・数) 英語はもともと得意。
5月         同上        数学の強化が課題だった。
6月         同上
7月 Z会東大マスターコース総復習(英・数)  学校での補習もあった。
8月 Z会東大マスターコース総復習 (英・数) かなり満足のいく勉強ができた。
9月 Z会東大マスターコースに国語を追加、英・数・国に。 このころ成績good.
10月 Z会通信添削で現代文の受講開始。 かなり丁寧に見てくれる印象。
11月 東大マスターコースと通信添削の両方に力を入れる。
12月 センター試験対策
1月 Z会の機関誌「旬報」での問題演習 センターの結果の良さで自信がつく。
2月 特に数学に関してひたすら問題演習 悔いのない勉強ができた。
3月  






後輩のみんなに、英語、数学、国語の学習法のポイントをアドバイスしていただけますか?


英語(センター197点)
:まず最も大きかったのはラジオ英語を中学1年の時から毎日欠かさず聞いていたこと。これによりリスニング力がかなり付いていました。ただ漠然と聞くのではなく、自分でどんどん発音していくことでスピーキング・英作文の力も付くのです。また「ターゲット1900」や「解体英熟語」など市販の単語・イディオム学習テキストを通学の電車の中で繰り返しcheckすることで基礎体力をつけていきました。いまでも自分の英語力(現在TOEIC900点、TOEFL590点)の維持のためにラジオ英語を聞き、ターゲットを復習しているほどです。

読解に関しては文章の構文を見抜く力を身につけること。SVC,SVOなどの基本構文は勿論のこと関係代名詞の入った物など複雑なものであっても、構文さえ理解できれば英語は「読める」。受験英語は特にひっかけ的な構文が多いため、数多くの問題を解いて慣れておくことが必要です。一例をあげると・・・
問:次の文を和訳せよ。Fat people eat accumulates. (2分以内)
解説:この問題で(Fat people)を1くくりにして「太った人」と考えるとはまる。
   そう考えると最後のaccumulatesが説明できない。良く見るとaccumulatesとsが
   語尾についていることに気づく。実はこれは動詞accumulate(蓄積する)に3人称
   単数現在のsがついたものであることに気づくと、主語が見えてくる。その前の3
   単語のうち主語となれる単数名詞はFatしかない。実はこのFatという単語、
   「太っている」という形容詞だけでなく、「脂肪」という意味の名詞にもなるのだ。
   それがわかっていれば答えも見えてくる。実はこの文は、複文なんだ!
   Fat (people eat) accumulates. =脂肪(人々が食べる)蓄積する。

解答:人々が食べる脂肪は蓄積する(体の中にたまる)。

僕が通っていたZ会東大マスターコースの最後の授業で出された問題です。英語が得意な僕ですらだまされました。大切なのは「見抜く力」です。

数学:(センター1A100点、2B67点)
これは言えることはただ1つ。ひたすら問題を解きましょう。自分の経験から言って、1問でも多くの問題をこなした人間の勝ちです。数学もある意味でパターンなので、本番で「ああ、この問題見たことある。解き方がわかる」となればしめたもんです。逆に本番で解き方がわからなくて手が止まっているようでは負けです。いわゆる公式も、単に暗記しているだけではダメです。どうやればその公式が導出されるのか、その公式が意味するものは何なのかを理解しておきましょう。

数学も数列・ベクトル・微積分・複素数などと様々な範囲があり、「全部はできないよ?」との声が聞こえてきそうです。でも逆に考えれば、それだけ範囲が広いぶん問題のタイプ・レベルは限られてきます。ベクトルを例にとれば、受験でもそれほど難しい問題は出題されていません。「この問題がベクトルで一番難しい」という問題に巡り会ってしまえば、それが難度の上限と認識して的を絞った勉強ができるはずです。逆に言えば、そのような問題に巡りあえないようなら、単純に勉強不足です。繰り返しになりますが、「その範囲で一番難しいと思われる問題=上限」にぶつかっておくことがポイントです。そうすれば「ああこれより難しい問は入試でも出ないだろう」と思えるので、ある程度は安心して勉強できるし、当日の試験にも臨めるでしょう。

国語(センター192点=現代文100点、古文42点、漢文50点)
:まずは基礎体力の強化につとめましょう。すなわち「漢字」「古文単語」「漢文の構文」など、受験生なら知っていて当然の知識をきちんと身につけていくことです。とくに古文・漢文は現代人にとっては外国語と変わらないので、しっかりと単語の意味を覚えておくことです。特に古文ではおなじ言葉でも現在とは意味がことなる単語が多いので要注意! 例えば「やさし」は優しいという意味ではなく、「優雅である」という意味です。このような現在とは意味が異なる単語を絡めた問題が受験ではひっかけ問題として数多く出題されます。本来の意味をきちんと覚えておき、「ひっかけ問題だけと気づいてる?」という出題者の意図をきちんと見抜いてあげましょう。単純にひっかかっているような人は勉強不足です。

そして読解ですが、もし時間があるのであれば本を読むことをお勧めします。国語はかなり個々人のセンスによるところが大きいです。本を多く読むことで、文章を読むスピードが向上するとともに主題を読みとるセンスが磨かれます。決して論説文に限る必要はなく、小説でもなんでも構わないと思います。問題を解くテクニックとしては、文章を読んだらいきなり設問を解き始めるのではなく、1回間をおいてその文章の主題をまとめてみましょう。時間があれば紙に書いてみるのがいいですが、なければアタマの中でまとめてみましょう。そしてその主題にそって解答していきます。こうすることで選択肢もかなり選びやすくなると思われますし、記述問題も主題にそった解答をすれば的を外すことはなくなるはずです。最初から完全に主題を短時間で正確に読みとることはできないと思いますが、いくつも文章を読んでそのたびに主題をまとめる練習をしましょう。主題をまとめずに問題を解き始めることは、羅針盤や地図も持たずに大海への航海に乗り出すようなものです。その危険性はわかりますよね!?







ところで、服部さんは、高校3年の時には、まだ部活(将棋部)続けていたんですよね。勉強との両立はどうでしたか?

決して両立は簡単ではない。自分の心の中でメリハリをつけるべし。僕は部活を高3の8月に引退しましたが、 高3になってからはほとんど部活には集中できなかった。おかげで全国大会の試合には勝てなかったが、大学には受かった。でも自分の中では全て納得しての行動だったので、後悔はしてません。是非とも、悔いのない決断を。





最後になりましたが、東京大学に入学されて実際どうでしたか? 東大の魅力は?

最大の魅力は「学ぶ環境が最高に整っている」ということです。まず教授陣が素晴らしい。すぐに思いつくだけでも、芥川賞作家の松浦寿輝教授(総合文化研究科)、ニュースステーションのコメンテーターでおなじみの船曳建夫教授(同)、IT戦略会議のメンバーやテレビ東京の人気番組WBSのコメンテーターとして有名な伊藤元重教授(経済学研究科)、財政学の権威としてひっぱりだこの井堀利宏教授(同)などなど。みなさんがTVでよく見かける先生方の授業を直に受けることができます。これだけのラインナップは東大だからこそ実現されているのです。また特に3年生以降を過ごすことになる本郷キャンパスは知的好奇心を満たすにはもってこい! ここにしかない貴重な文献も数多い総合図書館、日銀ももってないような貨幣を保存している博物館、大地震や火山噴火が発生するたびに登場する東大地震研究所。そして学園闘争の最大の舞台である安田講堂に、東大の象徴となっている赤門・・・。東京大学は学ぶ場としてのインフラ(素晴らしい環境)とコンテンツ(良質な講義)の両面を兼ね備えた、まさに「知の結晶体」と言うことができるでしょう!!



どうも、ありがとうございました。