河合塾講師/栂明宏先生
素直な設問が中心。
正確な基本知識で高得点をめざそう
出題の大部分は基本知識を素直な形で試すものであり、教科書レベルを外れる設問や長文の選択肢はあまり見られなかった。しかしその分、基本事項のきめ細かなマスターが不可欠であった。たとえば、第2問の問3では行政委員会の歴史や役割についての正確な知識が求められたし、第4問の問3の日本経済史は「GNP」と「一人当たりGNP」とを混同すると失点してしまう設問であった。基本事項を「覚えて」もあいまいな形だと、むしろ得点を失うことになるので注意しよう。
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傾向1:事実や制度を正しく把握しているかが問われる
政治や経済を論じるにあたっては、まず事実を正しく踏まえることが先決になる。だからこそセンター試験でも、基本的な事実や制度について、それを正しく把握しているかを試す設問が数多く出題されるのである。
2008年の出題でも、たとえば内閣の権限や裁判所の判例、これまでの日本経済や国際政治で生じた事件に関する問題など、知識の有無を試す設問が目立った。事実は事実としてきちんと知っておかないと正解できない。
したがって、思い込みや誤った固定観念にとらわれることなく、知識を正しく解説した教科書を活用して事実をきちんと把握することが、センター政経対策の「基本中の基本」と言える。
【対策】
歴史的事実や政治制度などの
正確できめ細かな把握が
高得点への必須条件になる
傾向2:重要なポイントは何度も繰り返し出題される
センター試験では、学習上で重要となる点については、形を変えながら、何度も繰り返し出題されている。たとえば、2008年には「主権」という言葉の意味を問うものがあった(第3問・問4)。これは、問いの形式という「見た目」こそ異なっているものの、1997年の本試験と同じ趣旨の設問であった(第5問・問4)。
こうした傾向に対処するためにも、過去問の演習は重要なのである。過去問と一字一句同じ形で出題されることはありえないが、問われている論点についての必要な知識は、過去問の演習を通じて習得できるからである。
したがって、教科書での知識確認と過去問演習とは、センター試験対策における「車の両輪」として位置づける必要がある。
【対策】
何度も繰り返し出題される
重要ポイントの知識を習得するには
過去問の演習がきわめて効果的である
傾向3:図表問題では論理的な判断力が問われる
センター試験の政治・経済では、例年必ず何問か、グラフなどのデータを用いた問題が出されている。だが、特別なことが要求されるわけではない。たとえば2008年の場合、政府一般会計歳出構成の設問(第1問・問8)は、一見すると1970年の財政についての知識が必要なようだが、当時はまだ現在ほど財政赤字が深刻化していないという基本知識が正解へのポイントであった。あるいは、日本の国・地域別直接投資額の推移の設問(第4問・問7)は、近年の中国経済の状況や1997年のアジア通貨危機から考えると、正解への道は見えやすくなったことだろう。このように、基本知識からの論理的推論能力が重要なのである。だからこそセンター対策では、用語の丸暗記に終始する貧しい学習ではとうてい太刀打ちできないことを肝に銘じておこう。
【対策】
基本力を養成するとともに
用語丸暗記型の「学習」を排して
論理的な推論能力を身につけよう
| 大問別平均点&出題分析(カッコ内は「平均点」) 「企業の社会的責任」 '08年…配点24点(16.0点) 「近年のグローバル化をめぐる動向」'07年…配点24点(17.0点) 企業論がメインテーマではあったが、財政や人権保障、法制度論など、例年と同様に分野横断的な総合問題であった。「コーポレート・ガバナンス(企業統治)」や「コンプライアンス(法令遵守)」といった、近年注目されている時事的な問題も扱われているが、決して難しいものではない。 「行政機能の拡大と統制」 '08年…配点19点(14.2点) 「立憲主義思想と人権」'07年…配点19点(13.8点) 内閣や行政委員会、国会の運営など、基本的な政治制度についての知識が主に試されており、基本知識を正確に身につけている人ならば、解答が容易であろう問題が多かった。問6では架空の選挙結果を使った論理判断問題が出題されているが、これはかなり易しい部類に属する問題であった。 「国家間の協力をめぐる問題」 '08年…配点19点(14.5点) 「地方自治とその課題」'07年…配点19点(11.0点) 国際法や国際連合、日本の国際協力の現状などが出題された。「ゲームの理論」を用いた問1は、2004年にほとんど同じ出題があった(第4問・問5)。特定の知識を必要としない論理判断問題なので有利不利は直接には生じないだろうが、過去問で接した人は落ち着いて取り組めたかもしれない。 「日本経済の歴史と国際化」 '08年…配点19点(9.3点) 「アジア経済の発展と現状」'07年…配点19点(12.5点) 会話文形式の本文をもとにしながら、日本経済や国際通貨体制についての歴史的事実、金融政策などについて問われた。事実関係をきちんと押さえていないと解答は難しいが、細かな知識が要求されているわけではない。歴史にかかわる事項は見落としがちなので、注意が必要。 「今日の労働・雇用問題」 '08年…配点19点(12.9点) 「バブル経済とその崩壊」'07年…配点19点(13.2点) 近年の非正規雇用の増加や格差問題をテーマに、労働・社会保障問題が主に問われた。問1の完全競争市場は基本事項ではあるが、その特徴をあらためて問われると戸惑った人もいただろう。問2のグラフ問題は、示されたデータと選択肢の記述を突き合わせていけば、おのずと正解に至れる。 |
