河合塾講師/昼神洋史先生
基本知識で対応可能。
思考力を磨いて高得点をめざそう!
第5問が問題本文をA〜Cに3分割していたのが他の大問と同じスタイルへと変更されたが、大問数(5)、設問数(37)は2007年と同じで、全体としてバランスのとれた問題構成である。個々の設問も2007年と同様、ほとんどが標準的な知識で解答可能で、地道な学習を積み重ねた受験生には取り組みやすかったはずだ。ただし、第3問の 20 は、受験生が見落としがちな思想家(植村正久、井上哲次郎)の判別を求めるもので、多くの受験生が虚をつかれたと思う。
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傾向1:教科書レベルの知識で解答可能な問題で構成
センター試験では、8割以上が基本的な知識で解答可能な問題構成になっている。したがって、基本事項を徹底的に学習すれば、平均点をはるかに超える得点が可能である。ただし、思想家の名前やキーワードを片っ端から暗記するなど、やみくもに取り組んでも効果は上がらない。仮に、これまで経験したことがないほど徹底的に暗記したとしても、せいぜい平均点ぐらいまでしか得点できない。
では、高得点を確保するにはどうすればいいのか。それにはまず、教科書を2、3回通読してもらいたい(これで「倫理」という科目の大まかなイメージを作る)。これをなるべく早い時期にやって、次には精読の段階に入る(個々の思想家やキーワードの内容理解を中心にする)。その際、用語集を使ってわかりにくいところを丹念に確認しながら学習すれば、効果はさらに上がるはずだ。
【対策】
基礎力を充実させることが
得点力の源になることを
決して忘れないようにしよう
傾向2:ほぼ全分野から網羅的に出題される
センター試験では、ほぼ全分野から網羅的に出題される。したがって、不得意分野を作ってしまうと後々困ることになる。"これは大変だ"と思うかもしれないが、心配する必要はない。全分野に精通せよ、と言っているわけではない。「出題分野」一覧を見てもわかるように、ほぼ毎年出題される分野とそうでもない分野があるから、それを念頭において、力配分にある程度の傾斜をつけるといいだろう。要するに、頻出分野は自分の得意分野にする一方、頻度の低い分野も不得意分野にしない、ということが重要だ。そのためには、頃合いを見計らって、克服週間や克服旬間を設定して、徹底的に取り組むことも必要だろう。このことに気をつけて、効率的な学習に励んでもらいたい。
【対策】
得意分野を増やし
不得意分野を少なくする。
その意気込みをもって取り組もう
傾向3:応用力や思考力を試す問題も散見される
センター試験では、"こんなの見たこともない"と思うような内容の選択肢に出くわすことがある。しかし、あわてることはない。さまざまな知識を問題に応じて自由自在に駆使できるようにしておけば、たいていの場合は何とか解答することができるものだ。そのために、教科書や問題集に取り組むときに意識してもらいたいことがある。各思想家がどのような歴史的課題に立ち向かい、その課題の解決のためにどのような概念を必要としたのか、ということに鋭敏であってもらいたい。その鋭敏さを備えることで、どんなに難しそうに見える問題でも大した時間をかけずにさばいてしまうことができる。
ともあれ、どのような問題が出ても、地道に蓄えてきた基本的な知識を総動員して正解にたどり着けるようにする必要がある。言い換えれば、応用力、思考力を研ぎ澄ます必要がある。応用力や思考力というと、何か難しそうに聞こえるかもしれないが、要するに、これまで蓄えてきた知識を引き出したり、それを組み合わせたりする力のことだと思えばいい。これを身につけることは、同時に臨戦態勢を整えることにほかならない。
【対策】
知識を自由自在に取り出せるように
過去問題集・用語集・資料集も使って
応用力や思考力を鍛えておこう
| 大問別平均点&出題分析(カッコ内は「平均点」) 「青年期と心理」 '08年…配点8点(6.7点)/'07年・配点8点(6.6点) 青年期との心理と自我同一性、働くことの意味が問われた。問1では、発達心理学者ジェームズ・マーシアという受験生にはなじみのない発達心理学者の名前が出てくるが、この学者のことを知らなかったとしても、論理的に判断すれば解答可能。問3では、グラフの読み取り問題が出題された。 「源流思想」 '08年…配点24点(13.1点)/'07年・配点24点(16.7点) 「運命」をテーマとする問題本文を前提として、ソクラテス、老子、イスラーム(イスラム教)、アウグスティヌス、ゴータマ・ブッダ、インドの宗教的実践などが問われた。ブッダに関する資料文読解問題(問6)を含めて、全体的に難しい問題はなく、基本的な知識を駆使すれば解答可能である。 「日本思想」 '08年…配点24点(17.9点)/'07年・配点24点(15.3点) 「武士道と自尊心」をテーマとする問題本文を前提として、山鹿素行の士道論、本地垂迹説、山崎闇斎、夏目漱石、新渡戸稲造、植村正久などが出題された。問7は、選択肢に植村正久、井上哲次郎という受験生には馴染みの薄い思想家が配置され、この両者の判別を求められているため難度が高い。 「西洋近現代思想」 '08年…配点24点(15.9点)/'07年・配点24点(17.6点) 「道徳的な責務」をテーマとする問題本文を前提として、功利主義、ベーコン、デカルト、アダム・スミス、ホルクハイマー、ヘーゲル、ハイデッガーなどについて問われた。問6は、ウィリアム・ジェームズの著作もとにした資料文読解問題であるが、彼についての詳細な知識がなくても解答可能。 「現代社会の諸問題」 '08年…配点20点(14.3点)/'07年・配点20点(15.1点) 「現代における組織・個人の責任」をテーマとする問題本文をもとに、汚染者負担の原則(PPP)、公益通報、アカウンタビリティ(説明責任)、官僚制の特徴、ラッセル−アインシュタイン宣言、NGO・NPOの活動、環境倫理などが問われた。難問と言えるものはなく基本的な知識で解答可能。 |
