河合塾講師/金城透先生
試される基礎力と現代社会への関心度。
教科書と報道に注目
出題形式、大問数、マーク数には変化がなかった。難易度は、2007年とは異なり素直な問題が大半を占め、易しくなった。教科書水準の基本的知識で正解可能な問題が多くなったとはいえ、教科書だけの学習では十分に対応しきれない問題も出題されている。2008年の傾向としては、現代社会の動向への関心の度合いを試すものが少なからず出題されていることが指摘できる。また、例年通り「調べ学習」に関する出題が見られた。このタイプの問題は定番化したようだ。
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傾向1:出題のウエイトの高い基本事項の理解を問う問題
センター試験では、各分野からまんべんなく出題される。選択制となっている分野も含めて、各分野の基本事項を押さえることが第一に重要である。基本的には教科書を使って、この作業を行おう。ただし単に読むだけではなく、サブノートを自分で作るなどして、教科書の内容を整理しながら理解していこう。その際、言葉を丸暗記すればいい、という考えは捨てよう。センター試験の問題はなかなかよくできている。表面的な知識では得点できないものが数多く出題されるのだ。1つ1つの言葉の意味内容をきちんと押さえながら学習を進めてほしい。たとえば、ホッブズが社会契約説の1人である、と覚えるだけでは十分ではない。なぜホッブズは社会契約を交わして主権者を創出しなければならないと考えたのか、ということを理解しなければならないのである。また、市場機構や国民所得などのように、基本事項の理解が難しい分野がある。こうした分野に関しては、先生に聞いたり信頼できる参考書を利用したりして、理解のポイントを確認するとよい。
【対策】
内容を理解しながら
基本事項の習得をめざそう。
難しい分野は先生や参考書に頼ろう
傾向2:応用力や細かい知識を問う難度の高い問題も出される
難度の高い問題を克服できるかどうかが高得点獲得のカギを握っているが、その難度の高い問題には2つのタイプがある。1つには高度な応用力が要求されるもので、たとえば、2008年でも出題された外国為替に関する問題がそうである。基本が理解できていれば正解に至ることはそれほど難しくない。しかし、どのような形で応用力が要求される問題が出るかわからないだけに、自信をつけるために問題演習を通じて「腕を磨く」ことが必要であろう。できるだけ多くのタイプの問題にあたるとよい。「政治・経済」の過去問を利用してもよい。
もう1つのタイプは細かな知識を問うものである。こうした知識重視のタイプの難問に対しては、詳しい解説が掲載されている参考書を利用するか、資料集・用語集を利用するなどして知識を拡充することが必要である。基本事項と同様、これについてもサブノートを作るなどして、繰り返し学習できるようにしておこう。
【対策】
センター試験の過去問を利用して
応用力を高め、資料集を使って
知識を拡充しよう
傾向3:社会問題への関心の有無や時事的知識が問われる
「政治・経済」に比べ、「現代社会」の問題は時事的知識が問われる傾向にある。2008年はとくにその傾向が顕著であった。たとえば、テロ対策のために来日外国人に指紋採取と写真撮影が義務づけられたことが問われたり、セーフティネットやモラルハザードという最近しばしば耳にする言葉の理解が問われたりした。
こうした問題への対策としては、日頃から関心を持ってニュースなどに接するという姿勢を持つことが最良と言える。こうした姿勢は、時事問題の知識を増やすことに役立つだけでなく、政治や経済の仕組みを具体的に理解することにも役立つ。ぜひとも心がけてもらいたい。
【対策】
時事問題の知識拡充だけでなく
基本事項の確認にも役立つ
ニュース報道への関心を持とう
| 大問別平均点&出題分析(カッコ内は「平均点」) 「民主政治と平和・安全の維持」 '08年…配点24点(15.8点) 「日本国憲法と民主政治」'07年…配点22点(11.2点) 政治分野の多様な知識が問われた。問8では、違憲立法審査権が法の支配を支える制度であることの理解が、また、問6では内心の自由が制約されない絶対的な権利であることの理解が問われた。そのほかは、教科書の基本的な知識からか、または一般常識で判断できる問題であった。 「国際政治と日本」 '08年…配点14点(7.9点) 「国際経済」'07年…配点14点(6.9点) 問4と問5がやや難。問4は、1980年代半ば以降、日本の製品輸入比率が上昇し、現在では6割の水準にある、という知識が問われた。また、問5では、最恵国待遇についての理解が問われた。後者はセンター試験での出題例があるが、どちらも教科書だけでの学習では正誤の判定が難しい。 「科学と宗教」 '08年…配点12点(9.9点) 「青年期」'07年…配点17点(10.9点) 世界遺産の具体例が出題されたが、日本の事例なので常識的な判断で正解できよう。文化財保存の日本の取り組みについての問2も、常識的判断で正解できる。しかし日本の宗教についての問3は、受験対策から漏れやすい分野なだけに正答率は低いだろう。生命倫理についての問4は易しい。 「国際連合」 '08年…配点22点(11.7点) 「国際経済と国民の福祉」'07年…配点14点(7.7点) 本問は全般的に難しい。信託統治理事会の現状についての問1や経済社会理事会の表決方式を問うた問5は、教科書水準の知識だけだと正誤の判定が難しい。また、問3は、安全保障理事会の「決定」の効力を知っていると、かえって判断に迷う問題と言える。そのほかは標準的な問題である。 「青年期」 '08年…配点14点(12.2点) 「国際経済」'07年…配点16点(8.7点) 2007年の青年期からの出題は難しかったが、2008年は得点の稼ぎどころとなった。問1は先進国では青年期が延長傾向にあるということを知っていれば簡単。問2、問3は易しい。図表問題の問4も単純な読み取り問題。「調べ学習」についての問5も常識的な判断で正解できる。 「市場と政府の役割」 '08年…配点14点(8.6点) 「現代社会の特質と私たちの課題」'07年…配点17点(9.6点) セーフティネットやモラルハザードなど、マスメディアでも取り上げられた言葉についての知識が問われたが、両問とも本文を参考にしながら常識的な判断で正解できる。問1は政府の経済的役割、問3は社会保障制度だが、基礎的知識で対応できる。問4のペイオフの解禁はやや難しい。 |
