代々木ゼミナールTVネット講師/菅野祐孝先生
過去問が再度出題!
第1問のテーマ史は指導要領を反映
時代的には原始から昭和戦後まで網羅されているが、第1問は学習指導要領を反映させたテーマ史の問題で、「祭礼と信仰」に焦点を当てた神道史絡みの民衆文化史。第2問は原始・古代史で、原始時代からの出題も復活した。第3問は中世、第4問は近世、第5問は明治時代、第6問は尾崎行雄の政治的足跡を主軸にリード文が設定され、大正から昭和戦後史までの政治・外交史から出題された。全体的な特徴では、文化史が減少し、読解力をみる史料問題が増加している。
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傾向1:第1問目は学習指導要領を反映させたテーマ史が出る
学習指導要領では、時代ごとに区切らないテーマを設定して歴史的追究をめざす学習が求められている。それを試験問題に反映させ場合、生活史として「日本人の生活と信仰」「衣食住の変遷」、歴史地理として「日本列島の地域的差異」、技術史・教育史として「技術・情報の発達と教育の普及」、外交史として「世界の中の日本」、法制史として「法制の変化と社会」などが出題テーマとなる。そのほか土地制度史・刑罰史・災害史・女性史なども重要テーマとなっている。2008年はその中の「日本人の生活と信仰」がそのまま出題された。そうした授業は、一見、テストの点数に直結しないような感があるかもしれないが、センター試験はそこを突いて出題されるのである。一問一答的な学習や単なる時代史的な学習ではフォローしきれない内容だけに、日常の授業をしっかり受けることが大切である。
【対策】
学習指導要領対策は授業を大切にし
『大学受験日本史Bノート』(旺文社)の
「巻末付録テーマ史」などで補っておく
傾向2:リード文中の空欄完成の組合せ問題も定番化した
リード文の中に2つの空欄を設け、そこに入る語句の正しい組合せを選ばせる問題も定番化したが、必ずしも歴史名辞が入るとは限らず、2008年には第4問で「減少・増加」を選ばせる問題が出ているのは注目される。
また、第1問では、祈年祭と新嘗祭の区別ができているかどうかを試す問題も出たので、紛らわしい歴史名辞はその都度、教科書の索引を使って確実に整理して理解していくようにしておきたい。
【対策】
黒田清隆と清輝、警視庁と警察庁など
ケアレスミスをしそうな歴史名辞は
教科書の索引をうまく使って整理する
傾向3:史料問題の傾向として読解力も試されている
2008年は初見史料が3問出題され、その読解力を試す問題が見られた。ゆっくり吟味しながら読めば、容易に文意が汲みとれるものばかりである。難解な語句には必ず注がついているので、過去問で演習して、注を参考にしながら文章を解読できるようにしておきたい。また、本文中にヒントとなる語句(人名・年号など)が隠れていることが多いので、それをいかに早く見つけられるかがポイントになる。
【対策】
史料問題で狙われる文章は
それほど難しくないので
過去問で演習しておく程度でよい
| 大問別平均点&出題分析(カッコ内は「平均点」) 「テーマ史」 '08年…配点12点(8.6点)/'07年・配点12点(9.9点) 神社に伝わる祭礼や信仰についてのテーマ史問題で、図版を提示しながら、それぞれの時代の特徴が狙われた。文化史の中でも仏教信仰に関する出題は多いが、神道史を主軸とする出題はそう多くはない。その意味で、神道史をテーマ史学習していないと<やや難>といったところだろう。 「古代史」 '08年…配点18点(13.6点)/'07年・配点18点(13.4点) 原始時代からの出題が復活し、遺跡の特徴から時代を判断させる問題が出題された。古代の教育に関する時代整序問題、古代の貨幣事情、『日本霊異記』の解読のほか、1999年に出題された平城京平面図も再び登場した。「過去の良問は繰り返し出題することもある」と公言した通りであった。 「中世の政治と文化」 '08年…配点18点(12.2点) 「中世史」'07年…配点18点(10.7点) 平安時代末期の東北地方の状況(奥州藤原氏と中尊寺金色堂)と、室町時代の守護の成長に焦点を当てた問題で、6つの設問はいずれも平易であるが、問5の「守護の権限や行ったこと」に関する誤文選択問題と、問6の戦国大名の出自に関する組合せ問題で点差が開くものと思われる。 「近世の政治・経済」 '08年…配点17点(12.5点)/'07年・配点17点(11.5点) 社会経済史に焦点を当てた問題で、江戸時代の貿易の変化や貨幣制度、特産物栽培の奨励と商品作物、江戸後期の薩摩藩に関する知識、『広益国産考』に関する読解力を試す問題が出題された。全体的に教科書レベルで難易度としては<標準>と言えよう。問4の選択問題で点差が開くと思われる。 「明治前期の政治」 '08年…配点12点(8.9点) 「近代史」'07年…配点12点(7.9点) 自由民権運動と立憲国家の確立に関する基礎的な問題。自由民権運動の進展と政府の弾圧、私擬憲法に関する組合せ問題、内閣制度に関する誤文選択問題、大日本帝国憲法に関する正誤組合せ問題が出題されたが、出題形式も設問内容もオーソドックスである。ケアレスミスなどによる失点に注意。 「大正〜昭和戦後の政治と外交」 '08年…配点23点(15.4点) 「近現代史」'07年…配点23点(18.3点) 尾崎行雄の政治的足跡をテーマとして、大正〜戦後史までの政治・外交の要点を問う問題である。個々の設問そのものはいたってオーソドックスでレベルも標準である。『尾崎咢堂全集』から引用した史料文に関する解釈問題も容易であった。問6・問7あたりで点差がつきそうである。 |
