河合塾/武蔵予備校講師/鹿子島康二先生
論構造の設問が多発。
文章展開を重視した
読解練習をしよう!
2008年は昨年より取り組みやすい問題となり、15パーセントほど平均点が向上した。その大きな要因としては、現代文のボリュームが昨年より大幅に減少したこと、古文で難関となる和歌が出題されなかったことが挙げられる。一方で論の進め方の問題や表現の問題がどの大問でも問われたり、4年ぶりに古典文学史の設問が設けられるなど、設問のバリエーションが増加した。総括して言えば、レベルは標準的だが、広く浅く予備知識が必要とされる出題であったと言える。
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傾向1:論の構造や表現についてすべての大問で問われる
国語総合Iがカリキュラムに導入されて以来、第1問では必ず論の進め方が問6で問われてきた。2008年にはこの傾向が拡大して、構造や表現がすべての大問で問われていた。
したがって、現代文の学習においては文章を論理的に整理する力を意識的に養っていかなければならない。評論では標準的なレベルの問題集を用意して、読解時に見出しとなる文や対比されるキーワードを軸に段落ごと整理しよう。さらに要点に傍線を付したり、展開を整理しながら、キーワードの相互関係を図式にして書き出したり、要約したりする作業を今から心がけるとよい。また、小説でもやはり標準的なレベルの問題集を用意して、評論と同様に傍線や矢印を付しながら、心情推移を律儀に整理する習慣をつけよう。
こういった作業を繰り返すことで、古文や漢文においても論理的に構成を理解する読解力が養われるはずだ。
【対策】
現代文は標準問題集を用意して
要点に傍線を付して、図式化したり
要約する練習を繰り返そう
傾向2:古文は古典文法、古文単語の学力が反映される出題が継続
第3問の古文は、江戸初期の仮名草子からの出題だった。これまで7年ほど継続した和歌絡みの文章ではなく、定型を破った出題だったが、擬古文的な物語であることには変わりはなく、文法や語彙も高校の学習範囲に収まる標準的な範囲で問われていた。こうした基礎学力がストレートに反映される問題が継続していることから、おそらく2009年もこの傾向は変わらないだろう。やはり基礎知識となる文法・語彙は、早めに修得しておくことに越したことはない。
まずは早めに300語程度の頻出語と助動詞・敬語を中心とした中古(平安時代)の古典文法を修習しておこう。注意すべきは、問6に表現の特徴を問う設問が設けられたことだ。しかも古典文学史と絡めた問題になっていた。基礎学力を早めに修得することで、こうした設問のバリエーションに対応する学習時間を確保できるように年間の計画が進められれば理想的だ。
【対策】
標準的な古典文法・古文単語を
早めに修得しておくことで
古文を得意分野にしよう
傾向3:漢文は句形や語彙と論の構造の型が質問の力点
現代文と古文がやや易しくなった一方で、漢文は2年連続してやや難化した。学問における真実を絵の技法に関する逸話と対応させて論ずるという内容の文章だったが、主題が抽象的なもので、逸話との対応関係をつかみきれないと内容の理解に至らず、大きな失点をしたケースが目立った。漢文では例や比喩と趣旨とを対応させるのが典型的な論構造の型であり、各部の対応関係をとらえて整理する習慣をつけておくことが大事だ。
もう一つ特徴として言えることは、問1・2の語義問題と句形をポイントとした白文訓読問題である。これらは例年出題される基礎点となる部分であるが、問われていた内容も比較や使役といった標準的なものであった。
まずは読解の基礎である構文的な理解や、疑問、反語、使役、受身、否定、比較、比喩、仮定などの基本句形を短文式の問題集などで早めに確認しておこう。
【対策】
例や比喩と趣旨を対応させ
論構造の型に留意しながら
文章を解析するトレーニングをしよう
| 大問別平均点&出題分析(カッコ内は「平均点」) 「評論的文章」 '08年…配点50点(38.5点)/'07年・配点50点(34.3点) 文化論についての出題はここ数年の傾向を踏襲していた。文章は昨年より700字ほど減少。問1の漢字は例年通り常用漢字から。問4の例示の問題は平易。問6は論の進め方についての問題だが、選択肢を2群に分けて問うのは新傾向だった。問3以外は全体に平易な設問。 「文芸的文章」 '08年…配点50点(36.8点)/'07年・配点50点(31.6点) ここ2年は現代小説だったのに対し、一気に古いものになり、明治期からの出題となった。夏目漱石は3回目の出題で、これもパターンを破っている。問1が語義問題、問2から問5まで一貫して主人公の心情推移を問う設問で、細かい内面の動きを緻密にとらえる力が要求された。 「古文」 '08年…配点50点(32.3点)/'07年・配点50点(30.5点) 和歌の出題がなかったこと、空欄補充問題が設けられたこと、表現の鑑賞が古典文学史と絡めて出題されたことは大きな変化だった。ただし、文章や設問のレベルは標準ないしそれ以下だったので、解答に大きな影響は及ぼさなかったはず。問1の語義問題、問2の文法問題は例年通りの出題だった。 「漢文」 '08年…配点50点(30.4点)/'07年・配点50点(29.1点) 前半の逸話は平易な内容。後半の趣旨が読み取りづらく、前半の理解が内容把握のカギを握った。問1の語義問題、問2の白文訓読の問題は例年通り、問6の論の進め方の問題は新傾向だった。例年、知識問題と内容把握の設問の配点比は半々だったが、内容把握の比重が増加した点に変化があった。 |
