こんにちは、灘中学校・高等学校英語科の木村達哉です。僕のブログ『もっと高く!もっと遠くへ!』はお陰様で1日に1万人以上の人たちが訪れてくれるんやけど、今回『螢雪時代』で誌上ブログ的な連載を担当することになりました。よろしくお願いします。それとこれまた毎年お断りしてることなんやけど、ここでは素の自分を出すために、関西弁で書くことにしてる。だから関西弁に慣れない人は「なんてガラの悪い教員や」なんて思うかもしれへんけど、決してそういうわけではないので、ご容赦くださいね。では今年度もスタート!
これを読んでいる人って高3生が多いと思うんやけど、すでに自分の目的地は見えてるかな? まだ決まってないという人も多いとは思うし、それでもいいんやけど、でもだいたいの目星は付けておかないと旅立てないよ。
大学受験までの何か月間かを旅に例えるとわかる。単に「大学」という目的地では「やってやろう」という気持ちもおきないし、計画の立てようもない。高3になったらいきなり過去問に手を出す人もいるらしいけど、目的地を明確にしないと過去問をやっても意味がない。受験勉強を始める際に大事なことは、現在地と目的地をはっきり認識し、その距離を着実に移動することなんや。
ところが目的地をちゃんと見据えてない上に、現在地の認識も甘く、さらに言えば旅程もちゃんと決めてない旅行が成功するわけないやろう。「よし、受験生や!」と慌てて勉強し出すのではなく、まずは目的地を見据えること。そして自分の現在地を認識した上で、どういう勉強をせなあかんのかを考えて計画を練り、それを実行に移すことが大事なんや。
世間では勉強法の本が飛ぶように売れてるらしいね。それはそれでいいんやけど、勉強法以前の問題で苦労してる受験生が多いんちゃうかな。それは何かというと、どうもやる気が続かないという問題や。僕のブログでも「やる気が起きない」ってコメントを寄せてくれる人がおるんやけど、今から何かをやろうと息巻いているはずやのに、それではどうも情けない。
やる気が起きない最大の原因は、僕はきっと目的意識の欠如なんやないかと思ってる。目的地、つまり志望大学について書いたけど、そこに絶対に入ってやるという意識がないと、やる気は続かんよ。「入れたらいいな」とか「今の自分には厳しいな」とかいうような意識の人が長続きするわけないわ。
恋愛に例えよう。ある女性と付き合いたいと思ってる男がおるとする。その女性を口説き落としたいと言うてる男が、「どうも口説くのにやる気が出ない」って言うてるとしようや。女性からしたら、「アンタ、ほんまに私のことが好きなんか?」ってことになるやろ。勉強する気にならんというのは、どうしてもその大学に入りたいという気持ちが足らんのや。
大学に合格した人の体験談を読むのはモチベーションアップにつながることもある。でもな、その人の方法が自分にも当てはまるかどうかはわからんぞ。その人が「できる人」であった場合、下手すると「できない人」の気持ちもわからずに「高3の春から過去問をバシバシやろうぜ!」なんて書くこともあり得る。
勉強ってのは山登りと同じで、高3の2月本番の段階で頂上に登りつめていればいいわけや。4月から過去問が解ける必要はない。ほとんどの人は2月の段階で解けて合格できればいいなと思ってるから、今から頑張って勉強するわけで、4月から過去問が解けなくても焦る必要は全くない。
逆にこのスタート時点で大事なことは、過去問を解く前の段階で絶対に必要となる基礎部分をしっかり固めることや。そしてできる部分を増やしていくねん。それがモチベーションアップにもつながる。やってもやってもわからないことだらけでは、やる気も起きんよ。
英語で言うたらセンター試験レベルの単語や文法を押さえるとか、数学なら教科書の例題を片っ端から解いていくとか、要するにそういう基礎ができていれば、夏以降に実戦的な勉強に手をつけられる。ところが秋になってもそのレベルの単語や熟語を知らず、文法の知識がいい加減で、数学の例題が解けず、古文の助動詞の変化や漢文の重要な句形を覚えていない人がやで、「さあ、直前期やから過去問や!」って息巻いたところで手も足も出んわな。
受験生活ってのは1年で済めば短い。短いからこそ計画性が要求される。先を見ないで手っ取り早く目の前の模試の偏差値を上げたい人が、やたらと過去問や類題に手を出す傾向にあるけど、やっても解けない人がそういう難問に向かうのは逆効果やな。それより今のうちに基礎を固めることや。そういう姿勢が秋以降の成績の上昇につながるねん。
大学受験は数か月間の「旅」や。
目的地を見据えることから始めよう!
自分の姿勢を振り返ってみてほしい
成績が思うように上がらないと、学校や先生のせいにしたがる人が多い。また、それに便乗して「やっぱり学校の先生じゃダメでしょ?」なんて感じで営業トークを繰りひろげる塾や予備校、あるいは講師がいるとも聞く。そんな人にぜひとも読んでほしいのがこの本。この本を読めば、「そうか、先生ってのはえらいんやな」ということがわかると思うし、勉強の何たるかもわかるはずや。そして、誰か他の人のせいにしている間は成績も上がらないのだということもわかってもらえるんやないかな。
勉強は常に主体的なものであり、主体的に勉強をしている人にとっては「先生はえらい」んや。それが理解できるようになれば、それにそういう姿勢で勉強ができるようになれば、受験生としては合格かな。どうして「先生はえらい」んやろうという気持ちで読み続けること。そして「勉強って何やろう」という疑問を抱きながら読み進めてほしい。
ブログ「もっと高く! もっと 遠くへ!」は受験生の間で大人気。
著書『夢をかなえる英単語 ユメタン』 (アルク)など。


